圧倒
「カプチーノ様、カプチーノ様に会いたいという旅のお方がいらっしゃっていますが、どうしましょう」
「呼んでこい」
「はっ!」
俺以外全員女というこの街は他の街と比べて珍しいらしく、こうしてよく客が訪れることがある。
俺は客をいつも歓迎している。
というより、何も変化が無い人生を送るよりは、そいつらの相手をしている方が幾分か楽しい。
しばらく待つと、見るからに歴戦の勇者っぽい青年が来た。
「チッ、男か……」
男は好きではない。
この世界に来て、更にその気持ちは増した。
男には俺のウインクは全く効かない。ホモになるとかそういうこともない。
なぜなら、俺の能力『全ての女を落とす目』は、あくまで【あらゆる女をウインク一つで落とす能力】だからだ。
「ふぅん。あんたが噂の一匹もモンスターを倒すことなく最強の力を宿した男か。噂と違って見るからにヒョロいんだな」
そう言って客人はケラケラと笑うと、胡坐で座った。
「貴様、無礼だぞ!」
その行動を見かねた俺の側近カリバが、持っていた剣を素早く抜き、客人の喉元近くに向ける。
「構わん、下げろ」
客人の態度は確かに気に入らないが、そんな風に敵意を向けてしまっては用件を話したくなくなってしまうかもしれない。
それでは招き入れた意味が無い。
「ひぃ~おっかねえ女」
俺の命令通りカリバが剣を収めると、客人はそう一言呟いてから、まるで何事も無かったかのように話し始めた。
「俺はよ、あんたの噂がどうも信じらんなくてね。良ければ手合せしてもらおうとわざわざこんなところまで来たんだ」
「ほぅ」
馬鹿な奴だな。
「言っとくけど俺は強いぜ? レベルも30を超えてるし、人々に恐れられていた強いモンスターを倒したこともある」
「レベル30、ねぇ」
レベル30という数字に思わず笑ってしまいそうになったが、冷静を保つ。
「じゃあそういうわけだから早速やらせて貰うぜ! 先手必勝!!」
言うが早いか客人は高そうな剣を構えると、俺の方へ一直線に走り出した。
「カリバ、手は出すなよ」
「了解です」
近づいてくる客人を、俺は構えることなく迎える。
ガギィィィイン!
客人は剣を振り下ろし、刀身は俺の鎧に直撃した。
その瞬間、大きな音をたて、バラバラに砕けた。
鎧ではなく剣の方が。
剣を失い丸腰になった客人に、俺は一発、全く力を込めずにパンチを入れた。
すると、客人は後方へ大きく吹き飛び、「ぐはっ!」と一声漏らすと、ドタッと音をたて倒れた。
「カリバ、回復してやれ」
「こんな奴にですか?」
「ああ」
「カプチーノ様がそう言うなら……」
カリバの周囲を緑色の光が包む。
そして、その光は客人の方へと移り――客人はすぐに目を覚ました。




