資格
「いっただっきまーす! はむ」
『美味』
クリームたっぷりのクレープを、三人で頬張る。
うん、美味しい。
「ん? あれ、これって」
「どうした? 何かあったのか?」
「いや、ほら。このチラシ」
萌衣が指差したのは、クレープ屋に置いてあった無料配布のチラシ。
「えーと、なになに、『来たれ! 帝王杯挑戦者よ! サオルの側近は君だ!』って、これ帝王杯のチラシか!」
「そ! わたしが見つけたんだよ! 褒めて褒めて!」
「凄い凄い。お、エントリーは今日までみたいだな、良かった。そして、開催は明日か」
「お兄ちゃんが出るの?」
「ああ、その予定だ」
「でもお兄ちゃん。お兄ちゃん、男だから駄目なんじゃないの?」
「は? どういうことだ?」
萌衣が言っていることの意味が分からず、首を捻る。
「ほら、ここに書いてあるでしょ。来たれ、最強の女戦士よって」
「うわっ、マジかよ」
萌衣の言った通り、確かにそう書いてある。
これって、女しか出場できないってことだよな?
くそ! 完全に予想外だった。
普通こういう戦う大会って、男がやるもんじゃないのか?
どうする?
女装して参加するか?
いや、それは無理だ。俺はアニメによくいる女装するとどう見ても女の子にしか見えない主人公と違って、女装しようがどこからどう見ても男にしか見えないはずだ。俺の容姿には可愛さの欠片も無い。
となると、萌衣かミステかカリバか。
「なあ萌衣、お前のレベルはいくつだ?」
「レベル? 何それ?」
間違いない。こいつのレベルは1だ。
そうなると、ミステかカリバか。
いや、ミステは駄目だな。
もしミステが優勝したところで、側近としての仕事をしながら隙を見つけて立場を奪うとかできそうにない。こいつに側近の仕事ができるとは思えない。
それに、サオルを消しちゃって大問題になる可能性だってあるし。
となると、出場するのは――
「カプチーノ様、ここにいましたか。情報、集めてきましたよ」
こいつだよな。
「そうか。ということは、出場資格もしっているな?」
「はい。女のみ、ですよね?」
「そうだ。だから俺は参加することはできない。ついでに、萌衣は雑魚だしミステは無理。というわけでカリバ、お前に出てもらう」
「えぇ!? 私、ですか? 無理ですよ。私、全然強くありませんよ?」
確かに、カリバが得意とするのは回復魔法のみで、攻撃力も防御力もそれほど高くない。
だが、カリバ以外に適任者がいないんだ。
「私が出たところで、優勝できないし意味ないのでは?」
「いや、意味は無くない。というか、優勝しなければ困る」
「そんなこと言われましても……」
「ま、お前がただ戦うだけなら勝つことはできないだろうな。だが、俺達が手を貸せば、勝てる」
「手を貸す? この大会は一対一ですよ?」
「分かっている。だから、バレないように、俺達でズルをする」
審判や観客に気づかれないように、俺達でカリバをサポートすれば、勝機はあるはずだ。
「ズル、ですか。ズルで勝つというのはあまり気が乗らないのですが、これもカプチーノ様のためです。分かりました、参加しましょう」
よし。
「ズルって何やるの? 武器に何か仕込むとか?」
「武器は使用禁止です。使えるのは拳のみです」
「じゃあ、お兄ちゃんのウインクを使うの?」
「いや、それは無理だ。戦う相手を俺達は知らないからな。ウインクする相手が分からない」
「それなら、戦ってるときにウインクすればいいんじゃないの?」
「いや、戦っている時にウインクをしたところで、相手を落とすことはできるが、負けさせることはできない。俺の能力は、あくまでも女を落とす能力だからな。まあ戦闘前に相手に接触できればウインクをして『勝負に負けてくれ』って頼むことができるんだが、さっきも言ったが、対戦相手が分からないんじゃそんなのは無理だ」
「えー、じゃあもう勝てる方法無いんじゃ」
「いいやあるね。俺達には、ミステがいるんだから」




