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差し出される無機質な手


 がたいのいい二足歩行のオレンジのロボが何体もズンズンと歩いて来た。

 こんなロボ作る技術、元の世界にも無いぞおい……。

 この世界に不釣り合いの、近未来SF映画とかに出てくるような見た目をしたロボは、赤い光を放ち俺達のことを睨んでいる。

 

「おいおいおいどうすんだよおい」


 いつもの俺ならともかく、今の俺じゃあこんな奴らをどうこうできる自信は無いぞ……。


「想像以上にすぐに現れてしまいましたね……」


 カリバが冷や汗を流し、ロボ達を見る。

 チッ。考えれば考える程絶望的な状況だ。

 そもそもあいつら何体いるんだ? えーと……1,2,3、4。全部で四体、か。


 頼むから見掛け倒しであってくれ。見た目が強そうでも実はかなり弱いという僅かな可能性を信じるしかない。


「大人しくしていれば私達に攻撃を行うようなことはありませんが、強制的に連れていかれてしまいます。一度捕まれば最後、作戦は全てパーです」


 レスキューロボと呼んでいるだけあって、あくまで目的はレスキューだってわけか。


「で、抵抗したらどうなる?」


「パニック状態だと判断され、落ち着かせにきます」


「落ち着かせにくる、ね……」


 睡眠薬を使われる、とかならカリバの回復でどうとでもなるが、カリバの表情から察するに、そういう類いのものではないのだろう。おそらく、力ずくで拘束ってところか。


「ダイジョウブデスカ?」


 無機質な音声で、ロボは俺達の反応を待つ。

 とりあえずは――


「ああ、大丈夫だ。だから帰ってもらいないか?」


 そもそも会話することできるのか? いくら技術が進んでいるとはいえ、ロボと会話は――


「ソウイウワケニハイキマセン。ワタシノテヲニギッテクダサイ」


 マジかよ……。当然のように会話できるのか。


「カプチーノさん、分かっていますよね?」


 もちろん分かっているさ。ここで手を握れば――終わる。

 

 俺はその差し出された手に向けて、火の玉を放った。


 どうだ……?


 希望を抱いて、ロボの腕を見る。


「だろうな……クソッ!」


 残念ながらロボには傷一つ付けることができておらず、何も無かったかのように、ロボはそこに立っていた。


「走るぞ!!」


 倒すのは無理だと判断し、俺は叫び声と共に、三人と全力で走り出した。


「ほんともう、あなたって人は……」


「もっとやりようがあっただろってか?」


「いえ、正直他に何かしたところで今と同じ結果になっていたでしょう。手を掴んだら連行されて不法侵入がバレて豚箱行き。掴まなければ――」


 ドタドタドタドタ、と音を立てて、ロボは俺達を追いかけてきた。


「こうなるってわけだ……」


「あんちゃんねえちゃん、あいつら速すぎっぞ。逃げるのは無理だ!!」


「分かってるって、だからって立ち止まるわけには……」


「あれ! あれ使ってくれ! あんちゃんの空に飛ばす奴! んで、メジハみたいにあのロボを落とせば壊れるんじゃないか?」


「なるほどな……! よし!」


 急ブレーキで振り返り、ロボと対面する。


 まずは先頭にいるロボを飛ばす!


 力を入れ、ロボの下に風を起こす。が――


「ぐっ……。ぐぬぬ……」


 ロボは全く浮かなかった。足はべたりと地面に貼り付いたままだ。


「お、重すぎるッ……!」

 

 なんちゅう重さをしているんだ。

 どれだけ力を入れても何も変わらない。


「そんな気はしていました……。なんせ、体全体、街の外には流出していない特別な技術で作られた装甲でガチガチに固められていますからね」


「んだよそれっ……」


「それに、一体浮かせたところで、その間に他のロボに捕まっておしまいですよ」


「じゃあどうすればいいんだよ!」


「オチツイテクダサイ。ワタシハアナタヲスクイニキタノデス」


 再び無機質な音声を俺達にかけ、ロボは手を伸ばす。


「くっ……!」


 再び走り出そうとしたが、いつの間にか俺達の周りを四体のロボが囲んでいた。これではもう逃げられない。


「あんちゃん! ロボがダメなら俺達を飛ばしてくれ!!」


「そうしたいのは山々なんだが……カリバ! 今一番近い穴はどこにある!」


「ここからはまだ少し距離が……、あ、あそこです! 見えますか?」


「カリバが指差した方向には、確かに穴があった。あの穴にさえ行けば。


「よし、じゃあ一人ずつあの穴に飛ばす!」


「……よく考えてください。このロボ達は、どうやって私達を連行すると思いますか?」


「どうやってって、力ずくで」


「そうじゃなくてです。人のいるところは地下ではなく地上です。そして、その地上へ連行ができるってことは」


「まさか……飛べるのか?」


 俺の言葉に、カリバは頷く。


「じゃあ、いくら上に逃げたって、こいつらは追ってくるってのかよ……」


 これじゃあもう、俺達は捕まるしかないってことなのか?


諦めるしかない、のか?


「カプチーノさん!」


 突然、カリバが叫んだ。


「言いましたよね! 私を、あなたが守るって!!」


 カリバの瞳が、俺をじっと見つめる。

 俺を、信じてくれてるのか?


「ったく! そんな目で見られたら、諦めるわけにはいかないだろうが!!」


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