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彼女がその能力を持つ理由


「どうなってやがる」


どれだけ待ってもカリバは帰ってこないし見つからない。

あいつは勝手に何も言わずにどこかに出かけるようなやつではなかったはずだ。


「まさか、攫われたのか?」


いや、カリバを攫うなんてアホがいてたまるか。あいつ攫ったらどうなるかなんてどんな奴だって分かるはず。そんな無謀なことするとは思えない。


「カプチーノ」


「おおシュカ戻ってきたか。どうだった?」


「だめ。色んなとこ瞬間移動で探し回ったけど手がかりすら無し」


「そうか……」


本当にどこに行ったんだカリバ。


何かこうなる前触れはあったか?

いや、何も分からない。俺の記憶が確かならいなくなるまでずっといつも通りのカリバだったはずだ。


「もう、大天使様のとこに行くしかないかなぁ」


『うん、もうわたし達がいくら探しても意味無い気がする』


いつの間にか帰ってきていた萌衣とミステもどうやら捜索は上手くいかなかったようだ。

ちなみにミステは正体が萌衣だと発覚してこの世界に戻ってきて以降、こんな感じで魔法文字で文を書くことは今まで通りに、口調だけは今までと変わって萌衣らしいものになった。まだ慣れないけどそのうち慣れるだろう。

って、今はそんなこと考えてる場合ではなくて。


「よし、シュカ。大天使様の所へ行こう」


なんなら行くと決めたのが遅すぎたくらいだ。大天使様のところくらいいつでも行けたのに。


「おっけー。じゃあ皆捕まって。瞬間移動するよ」


大天使様のいる場所は能力が使えず直接瞬間移動できない為、一旦ラソへと飛び、そして例の円盤に乗り大天使様の元へと向かった。


目的の場所に着くと、もうすっかり見慣れた大きな図体を見上げる。


「なぁ、カリバが」


「言わずとも分かってますよ。ずっと待っていましたから」


「待ってた? どういうことだ?」


「あなたがここに来るのは決まってたのです」


「決まってた? そうか、そういやあんたは未来が見えるんだったな」


だからツヨジョと俺は出会えたし、萌衣を生き返らせる方法を知れた。


「今回のケースに関しては未来が見えるとか見えないとか関係ないんですけどね」


「なんだそれ。じゃあカリバの居場所は分かるのか? 分からないのか?」


「もちろん分かりますよ。私は大天使ですからね。ただ、その居場所をお伝えすることはできません」


「できない!? なんでだよ!」


俺はカリバの居場所を知るためにここに来たんだ。ここで知れなかったら完全に手詰まりだ。


「そう怒らないでください。私だって本当は会わせてあげたいのですが、事態はそう簡単なものでもないのですよ」


「なんだ? 強い奴が関わってるのか?」


たとえどんな敵でも俺の力さえあれば簡単に――


「そうではありません。そもそもですね、あなた達は彼女について疑問を感じたことがありませんでしたか? 彼女、明らかにおかしくありませんか?」


「おかしい? 別に何も……」


「おかしいんですよ、明らかに。彼女の能力は、なんでも回復できるというものです。これってどう考えても普通じゃありませんよね? こんなチート能力が普通であっていいはずがありません。あなたやシスタさんのように他の世界から来てその時に能力を授かったわけでも、シュカさんのように一族の血から来たわけでも、伝説級の能力者達のように伝説になっているわけでもないんですよ。なのにあなた達は何も疑問を持たずに、理由も聞かずに、本来ありえないとんでもないチートな能力に頼っていたんです」


「た、確かにそうか」


最初の頃こそ疑問を持っていた気もするが、いつの間にかあの能力になんの違和感も持たなくなっていた。


「でもだったらチカだって!」


「チカさんにも理由はあります。そして、カリバさんにもね」


「カリバが、あの能力を持っている理由……」


「はい。理由無くしてあんな能力はありえません」


カリバにも、なんらかの理由があるのか。

そりゃそうか。確かにあれはチート級の能力だしな。

問題は、その能力を持っている理由とやらがなんなのかだ。


「なんなんだ? その理由ってのは」


「簡単な話です。カリバさんは、"神"です」

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