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はじまりの街

何日ぶりだろうか。

懐かしい風に頬を撫でられながら、俺は感慨に浸っていた。

平行世界でいくら色々なことが起こっても、この世界にはなんの影響も無い。

ただし、世界が変わっていない訳では無い。

俺達がいない間に、この世界に何らかのことがあったとしても何もおかしくはない。


不安と期待を織り交ぜながら、俺達は馴染み深いトタースの城へと足を進める。


こっちのトタースは、平行世界のトタースとは雰囲気が全く違う。

どちらが良いとかは無いが、俺達のトタースはここだ。


トタースの街に入ると、たくさんの女がこちらを向いた。

そうか、こいつらは俺の能力で落とされてるんだよな……。

外から来た人もいるだろうし全員とは言えないが、ほぼ全員俺に惚れている。

俺はその状況を受け入れ自惚れていたが、今思うととても歪だ。

とても1つの世界を救った人間のしてきたこととは思えない。

だからといって、彼女達を解放したりはしない。ここは俺の世界だ。俺の好きにしてきたことで今更どうこうするつもりはない。


彼女達に軽く会釈をしながら、城の中へと入った。

ふと、思う。

彼女達は皆、独占欲などは無いのだろうか。

俺は明らかに周りにいる女にだけ特別に接しているし、彼女達には雑に接している。

恋は盲目って奴なのか?

普通は嫁達を恨むと思うのだが。

いつか俺を得る為に嫁達を襲いに来たりしてな……。

でもそれならそれできっと大丈夫だ。俺の嫁達は負けたりはしない。

ま、平和が一番だがな。


「お帰りなさい」


一瞬ぱっと顔を輝かせてすぐにキリッとした顔に戻ったメイドを一瞥し、部屋に戻る。


さて、これからどうしようか。

なんたって俺は世界を征服している人間だし、やるべきことはたくさんあるはずだ。

だが、いざ何かをしようと思うと何に手をつければいいのか分からない。

そういえば、俺達がいない間はこの世界は誰が束ねていたのだろうか。

トタースのメイドか? それとも他の国のお偉いさんか?

もしかして俺から支配を乗っ取ってたりしてな……。


「お兄ちゃん!」


突如、萌衣が俺を呼んだ。


「ん? どうした?」


「カリバちゃんが、いない」


「いない? 平行世界から戻ってきた時はいたよな?」


「うん。いつの間にかいなくなってた」


「そうか……」


城に戻ってる途中に街のどこかの店に寄り道して遅れてるとかか?


「まぁ久々の元の世界だから、別に城以外に行ってたっておかしくはないだろ」


「そう……かもだけど、普通はここに真っ先に戻ってくるんじゃないかなぁ?」


「ま、夕飯までには戻ってくるさ。ゆっくり待とう」




しかしカリバは、夕方どころか、1週間、俺たちの元へ戻ってこなかった。

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