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太陽はうるさいほどに輝いている。


トタース第2支部の皆は、トタースへと居住を移すことが決まった。

トタースであの男に働かされていた女達と共に、新しいトタースへと変わっていくようだ。


「さて、そろそろ行くか」


世界全体が震えるほどの大騒ぎなパーティーを昨夜行った為、もう昼だというのに寝ていた仲間を起こす。


起こすのはあくまで、共に帰る仲間だけ。

萌衣、シュカ、ウト、カリバ。


元の世界に戻る為に予め待機してくれていたメイドと共にトタース第2支部へと向かう。


これで、もう皆とはお別れだ。

色々とあったけど、今のこの世界を俺は大好きになれた。


俺達の世界には、まだ平行世界に行くことの出来る機械は無い。

だから一度帰れば再び来れるのはいつになるか分からない。

それでも、いつか来れたらいいと思う。


「待って!」


背後から、今最も求めていて、それでいて今最も求めていなかった声がする。


「ミステ、起きてたのか」


少女はこの世界で何年もの時を生きてきた。俺達が帰る世界で生きた時間よりもずっと。


そして、俺の妹、萌衣と同一人物だ。

同じ人間は本来出会うはずがない。出会えない。彼女と俺達は、相容れない。


「だって、寝ていたらこのまま行ってしまうことはなんとなく想像できていたから」


「さすが俺の妹だな。俺の行動なんか、簡単に予想できちまうってわけか」


極めて冷静に、この場で必要のない感情を押し殺して、俺は言った。


「このまま、行くつもりなんだね」


「……ああ」


「わたしも行く」


「駄目だ。お前の世界はこ――」


「違う! 分かってよ! わたしは、記憶が戻る以前に、あなたに恋をした。わたしにとってあなたは、たとえお兄ちゃんじゃなかったとしても、お兄ちゃんと同じくらい大切な人なんだよ!」


「……」


「それに何より、あなたがここを出たあとには、この世界には()()()()()()()んだよ」


「俺と、こっちの俺、か」


「そう。でも、あなたと一緒なら、いつか会える気がするの。お兄ちゃんに」


「その証拠は?」


「証拠なんて無い! けど……絶対に間違いない」


普通に考えたら、ミステの兄はこの世界に帰ってくるはずだ。だって、ここに帰るって約束しているから。

でも、それでもその約束をしたミステがそう言うなら。


「ほんとに、いいんだな?」


「うん」


「……分かったよ。一緒に行こう、ミステ」


「うん」


本当は、俺はこうなることは最初から分かっていたのかもしれない。

それに、もしこうならなかったら――


「お兄ちゃん、ほんとツンデレ。素直に一緒に来て欲しいって言えばいいのに」


「だねー。傍から見てたらそんなの丸わかり」


こいつらも悲しむからな。


「誰がツンデレだアホ。だいたい、お前らだって同じだろうが」


そう言って、笑う。

俺達は、笑う。


ミステと"共"に、俺達はトタース第2支部へと向かった。

ここに来たのはたった数日前なのに、なんだか随分昔に思えた。


って。


「お前ら……!」


平行世界へと飛ぶ機械の周りには、この世界で何度も助けてくれた皆がいた。


「もう行っちゃうんだね」


共に修行したシュカが、名残惜しそうにそう呟く。


「ああ。俺達の世界が今どうなってるのかも気になるしな」


「それでも、早すぎるよ」


「ごめん」


「……わたしにとって、初めての……いや、なんでもない。うん、いってらっしゃい」


「おう、行ってくる」


初めての、なんであったのかは聞かない。

それを聞くと、俺の足がこの世界から行きたくなくなってしまうから。


「本当に、ありがとうございました。この場所には、あなた達全員を讃えた銅像が立つことになりました。この世界は永遠に、あなた達への感謝を忘れません」


ピンチの時に何度も回復してくれたもう一人のカリバが、微笑みながらそう言う。

まあもっとも、その微笑みが寂しさを紛らわす為の無理矢理作ったものであるくらい、俺にも分かるが。


それから、超伝説級の四人や、アイス、チカ。レジスタンスの皆まで。

皆が皆、俺達に言葉を告げていく。


「またな」


一言、そう最後に伝え、俺達は戻る。

あの場所へ、俺達の世界へ。


「なぁミステ」


「なに?」


「この世界、良かったか?」


「うん、とっても!」


「そうだな」


そしてこれから、もっと良くなる。


「俺達の世界も、負けてられないな!」

救済編はここで終わりです。

次回から新編に入ります。

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