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強くなるために

 

「せいやっ!」


 掛け声とともに目の前に置いてあった蝋燭の先に火が灯った。


「いやぁ、完璧だね」


「まあな」


 修行を初めて一週間が経った。最初は慣れなかった能力も、今では集中せずとも使えるまでになった。

 この一週間、俺は修行に精を出した。一週間も萌衣達に連絡しないのは良くないと思い、一度トタース第二支部に帰ろうとしたのだが、なんとレジスタンスとトタース第二支部は同じ思想を持つ組織同士なこともあり少なからず繋がりがあったようで、わざわざ俺が向こうに行かなくても俺の安否を伝えることができた。


 それでも出来れば実際に会いたかったのだが、シュカはトタース第二支部に行ったことが無く瞬間移動で行くことが出来なかった。瞬間移動を出来ないとなれば何日もかけて向かうしかなく、今の俺にはそんな時間は残念ながら無い。

 萌衣達には悪いが、もう少しだけ会えない日は続きそうだ。まあ、俺は大丈夫だから心配すんなと伝えることが出来ただけでも十分すぎるさ。


「大分コツが掴めてるみたいだし、このままいけばもうすぐアイスを倒すことが出来るかな?」


「どうだかな」


 あいつの強さは圧倒的だった。それなのに、おそらくあれでもまだ本気ではない。

 つまり、俺はアイスの本当の強さを知らない。もしかしたら、何をやっても勝てないほどの次元に奴はいるのかもしれない。


「きっと勝てるよ。君ならきっと」


「だといいけど」


 不思議なもので、俺はトタースで女を食いまくった人間であるにもかかわらずシュカとそういう関係になることはなかった。だが、今の関係に十分満足している。シュカはいつだって俺の修行の為に頑張ってくれているし、それ以上に望むのは贅沢すぎるってものさ。


「さて、ではいよいよ次の修行に移ります!」


 ビシッとかっこよく謎の敬礼を見せた後、シュカは瞬間移動でこの野原から消えた。


「次の修行、何やるんだか」


 今の俺は、風林火山をそれぞれある程度は操れるようになっている。もっとも、シュカを傷つけないためにも高火力で使ったことはまだ一度も無いのだが。

 これ以上、何か成長が見られるのだろうか。ひょっとして、俺はここが限界ではないのだろうか。


「おまたせ」


 いつも持っている風呂敷を丸めて両手で支えて、シュカは戻ってきた。


「じゃじゃーん!」


 風呂敷を広げると、大量の、風車(かざぐるま)、種の入った植木鉢、蝋燭、小さなバケツがあった。


「これは……」


 俺が普段修行で使っているものだ。

 風車は羽根を回す風の修行、種は成長を促す林の修行、蝋燭は炎を点す火の修行、バケツは土を溜める山の修行。


「結局いつもの修行なんじゃないのか?」


 数こそ違うものの、使っているのは同じだ。


「ちっちっち。いつもと同じようでいつもと違うんだよ。名付けて! 全部一緒にやっちゃいましょう作戦!」


 ババン! と自信満々にシュカは告げた。


「そのまんまの作戦名だな……。まあそのおかげで作戦内容は深く聞かずして何をやるのか理解できたが」


「分かりやすくていい作戦名でしょう? その名の通り、君には最終的にはここにあるすべての小物を同時に使用してもらうよ」


「同時って、例えば蝋燭に火を付けるのとバケツに土を入れるのを一緒にするってことだよな?」


「そう! それをここのアイテム全てを使ってね」


「なるほど」


 確かにいい修行になるかもしれない。


「だけどさ、俺はまだ二つ同時すら試したことは無いんだぞ?」


「分かってるよ。だから、まずは二つ同時、それが出来たら三つ同時ってどんどん増やしていく予定だよ」


「そんな一つずつ増やしていってたら、終わるのはすごく先の話になるんじゃ」


 風車も種も蝋燭もバケツも数えるのが嫌になるほど大量にある。これら全てを使えるようにするなんて、そう簡単に出来るはずがない。


「いいや、そんなことはないね。私の予想だと大体四個を超えた時点で後はぽんぽん出来るようになっちゃうんじゃないかな。使う能力は結局四種類だしね」


「そうかなぁ……」


 どういう理由でそんな予想になったのかは知らんが、俺にはとてもそうは思えないんだが。


「まあまあ。まずはやってみようよ! はい!」


 俺の前に、風車と種が置かれた。


「この二つを同時にやれと?」


「そ。片方ずつやるんじゃなくて、二つ同時!」


「って、言われてもなぁ」


 やったことないので、出来るかどうかはわからない。が、やるしかないか。

 ここ最近は集中せずに能力を使えていたが、二つ同時だとそうはいかないだろう。

 意識を、風と林二つ同時に集中する。分かっていたこととはいえ凄く難しい。一つのことに集中するのは誰でも出来ることだが、二つのことを一辺に集中するのはかなりのテクニックが必要となる。


「っ!」


 なんとか頭の中で形にして、二つ同時に能力を使った。

 だが――


「うわっ!」


 風車を回すくらいの風を起こすはずが、風の勢いが強すぎて風車は遠くへ飛んで行ってしまった。一方種は、ほんの少しだけ芽が出ていない。


「なるほどな」


 かなりきつい特訓になりそうではあるが、希望は見えた。強弱は出来てないにしろ、確かに能力を二種類同時に使えていた。これなら――不可能ではない!


 

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