16 兵器
威嚇するように、鈍色の触手がセオの顔面をかすめる。セオは一も二もなくロジーを助け起こしに向かう。
ロジーの体を支えながら、旧式銃で触手を撃つが、実弾は弾かれてしまう。
すぐにでもロジーの怪我の応急処置をしてやりたいが、セオにも相手にもそんな余裕はない。
奇妙なものが壁に埋め込まれている。表面に凹凸のある体と手は時々、波打った。普通の金属ではないような機械じかけの存在。中心に窪みがあり、その奥は暗く、見通せそうにない。まるで掃除機の奥のように吸い込まれそうだ。
「何なんだ、あれは」
セオは、ロジーを抱えて触手の届かぬ範囲に逃げ出すので精一杯だ。途中、セオもいくつか傷を負ったがロジーほどではない。
腕の中でロジーがふるえたので、セオは彼女の様子を窺う。
「……あ、れは……あれが、ラフタハの新型兵器……」
息をするにも辛そうな声だった。あまりしゃべるなと言おうとして、セオは顔を上げたロジーに目を見張る。
「あれは、考えて増殖する、化け物みたいな兵器だ」
茶色だったはずのロジーの虹彩が、黄金色に輝いている。かと思えば紫色に――そして玉虫色に変化する。ハーマン人にはあり得ない虹彩の色と変化だ。
さっきは慌てていた為セオは気づかなかったが、ロジーの両腕もハーマン人らしからぬ変化を遂げている。爪の先から二の腕間近まで、黒と灰の混じったような獣の毛並みが生え、手先には猛禽類のような爪が鋭く伸びている。
「……おまえ」
「ああ……これか? 計画の、成果みてーだな。ここまでなったのは初めてだけど」
獣じみた姿。それは、獣に似た亜人の力を取り込む手術を行ったから。彼女に与えられた薬は切れてしまった。だから、普通のハーマン人の姿を保つ事が出来なくなった。
これが、“新ハーマン人創成計画”。
戦闘に特化した改造されたハーマン人の姿。
セオは心臓に鑢を捻じ込まれたような気分になる。
つまらなそうに苦笑するロジーの瞳が、赤い色に揺れる。
「だからなんで、お前がそんな顔」
ロジーは疲れたように目を伏せた。セオは今更になって彼女の怪我の具合を見る。“新ハーマン人創成計画”によって与えられた高い治癒力でふさがった傷もあるが、さっき負ったばかりの傷口からはまだ出血がある。
「あれは、あれを壊さなきゃダメだ」
セオが止血をするうちに、ロジーは続ける。
「有益と判断したものを、あれは、食っていく。最初はもっと小さいサイズだったのに、どんどんと巨大になっていったらしい」
あの兵器の判断で、ロジーは攻撃をされていたのか、取り込まれそうになっていたのか。ロジーの特異な体質を考えれば後者の可能性も低くはない。セオは止まりかけた手を動かす。
「ここに来た時、研究員が自慢げに教えてくれたよ。そいつも食われちまったけどな」
この広い部屋にはロジー以外誰もいなかった。いたとしてもあの機械の兵器に取り込まれしまったのだ。
「あれは、おかしくなったみてーだ。いつかこの地下研究所も食いつくして、都市も――この星も乗っ取っちまう。初期の計画からは外れちまったって話だ、図面を持ち帰ってももう意味はねえ。早いとこ壊さないと……っ」
ケーセス陸軍がラフタハの兵器の設計図を手に入れたがったのは、レヴド連邦の脅威と成りうるかを確認したかったから。あるいは、その技術を盗みたかったからだ。
だが、今あのいびつな生き物のような兵器をロジーは破壊すべきだと考えている。存在してはならないと。
ラーマーティ地下研究所の新型兵器は、研究所の者さえ手に負えないものになっている。
『第一区画で異常事態発生、全職員は直ちに避難して下さい。当施設はあと六百秒後に封鎖が完了します。直ちに避難して下さい』
さっきからけたたましく鳴っている警報と共に流れる放送は、蠢く兵器を研究所が見捨てたととれる。焦りで聞き取れていなかったが、セオは今頃になって自分たちに残された時間はないと思い知る。
探せばあの兵器の設計図なり情報を収集する事も可能だろう。しかしロジーはそうするつもりはないし、セオはまだ状況を呑み込みきれないでいる。
簡易な手当てを終えたあとのロジーは床に手をつくと体を起こす。
「ロジー」
立ち上がったロジーは傷だらけだ。瞳はまた黄金に光っているが、体に傷や血のりのない場所はない。彼女はもうボロボロだ。こんなところ早く立ち去るべきだとセオは思った。
突如、ロジーが目を見張る。
「っ、後ろだッ!」
二人は咄嗟に背後に飛びすさった。触手の届かない場所に逃げ込んだはずが、あの手は伸びている。
触手は届かないと分かると引っ込めるが二本の手をすり合わせる。すると二つの触手が融合し、成長したように太く長くなる。
その手を伸ばし届くところにある椅子やキャビネットを掴み、補食するように窪みの奥に放り込む。食べた分だけ大きくなるというのか――床や壁を覆う機械と同じ鈍色が増えていく。あの兵器は、建物まで呑み込もうとしている。
「ほら見ろ、また増殖してやがる。逃げ場なんかねーんだ」
ロジーの言葉と、目の前で繰り広げられる光景にセオは悪態をついた。
ラフタハの新型兵器がまさか、あんな訳の分からないものとはセオは予想もしなかった。精々、原子爆弾や水素爆弾、ミサイルなどの類いかと考えていた。
触手から逃げる間にセオは無駄と知りながら銃を撃つ。その効き目はなく、相手はガチャガチャと音を立ててセオに標的を定める。
「作戦は!」
この場に残るというのなら、何か考えがあっての事かとセオは叫んだ。
「んなもんあるかよ!」
投げやりにロジー。相棒のあんまりな物言いにセオは盛大に顔をしかめる。
だがロジーには、“創成計画”で得た能力がある。まだセオはそれがどのようなものかは知らないがそれが鍵となるのかもしれない。だとしたら自分が囮になるべきだ。セオは触手が絡まるまで翻弄してやろうと床を蹴った。
セオの旧式銃の一つが弾切れを起こす。肩にかけていた警備兵に借りた長い旧式銃を構えて使うが、それも間を持たず弾がなくなった。
腹立ち紛れにセオは、長い銃身で触手を打った。殴打の方が手応えがあったように感じたセオだが、打たれた触手が細かに分かれて、セオの旧式銃を覆った。
ぎょっとしてセオは自分の腕に絡みつく細い触手から逃れようとする。旧式銃を犠牲にする事でなんとか解放されたセオだが、あの機械は咀嚼するように銃を体の内で波立たせた。
見た目には生物にはとても思えないのに、本当に生きているかのようだ。
あと一歩判断が遅れていたら、セオがあの中に呑み込まれるところだった。ぞっとしてしまったのがいけなかった。セオが目を見張るうちに触手が彼を振り払う。
セオは全身を打ち付けて床に転がった。彼が体勢を立て直すうちに、ロジーが触手の一つに取りつく。
「とりあえず、この忌々しい蔦、むしりとってやる……ッ」
ロジーが両手を広げてもまだ余る太さの触手を、彼女は抱き込んだ。引きちぎろうと、ロジーは力を込める。
まさか、セオは上手くいくとは思わなかった。ロジーは込める力を強くし、気合いの雄叫びを上げる。
耳鳴りと、暴れる触手ののたうつ音。
ついにロジーは触手を一本むしりとった。
苦しんでいる、とセオは感じた。敵の兵器は残った手でじたばたもがく。失った一本の痛みに苦しんでいるのだ。それは胸糞の悪くなる光景であった。
砲丸投げでもするように彼女が機械の手を放り投げると、落ちた衝撃で床が揺れる。
あの兵器の体は、そんなにやわなはずがない。銃弾さえ通さぬ身のはずが、ロジーの――改造ハーマン人の手によってちぎりとられるとは。それだけの力を、“新ハーマン人創成計画”は生み出したのだ。
動揺したセオは、反応が遅れた。脇腹をえぐった別の触手に、彼は悲鳴を飲み込む。
得物を失ったセオは、室内にわずかに残る机から何か武器代わりを探せないかと駆け出す。
そこを触手に足を掬われセオは倒れた。次の瞬間に脳天をかち割ろうとする触手の先が、セオに迫る。身をよじって避けると、視界の端にロジーが跳躍しているのが見えた。
あんなに高いジャンプは、鍛え上げたハーマン人にだって無理だ。初めてカストたちに会った時の彼女の跳躍もそうだったと思い至る。あれを見てカストは不審に思ったのだろう。
ロジーの腕の、獣の体毛が増したように見える。
セオは目前の触手から逃れながらも机を目指す。机の端を掴むと、何でもいいからと引っ張った。引き出しが出てきたので無理矢理に取り出して触手に投げつける。
ロジーがまた触手に飛びついてねじ切ろうとしている。
その背後で、他の触手が切られた手の一部に接触しようとしていた。ロジーが引きちぎった一本は動く事はないが、あえてそれを狙うという事はあの兵器は失った体をもう一度取り込む事が出来るのか。
させるか、とセオは歯を食いしばる。
自分に向かう触手を避けるため伏せていた体を起こすとセオの腹部が痛む。つけられた傷は止血をする暇もなかった。手を押さえながら駆けると、また触手が伸びてくる。
身を屈めた瞬間に傷の痛みが強くなる。意識を少し逸らしてしまったからか――
「セオッ!」
足を動かしたが遅かった。
セオの腹には触手の先が突き刺さり、貫通していた。
爪の先は意外と細いんだな、とセオは場違いな事を思った。
触手が引き抜かれ、セオは床に倒れこんだ。体を動かそうとしても力が入らない。
いいところなしだな、とも思った。
どうせならセオはロジーを庇って倒れたかった。庇うなとは言われたが、仲間に対してそれをするなというのは無理な話。そうでなくとも、セオは――。
吠えたロジーの特殊な右腕が、触手に穴を開ける。セオは今更ながらこの部屋までの道のりで見た、壁の穴はロジーが開けたのだと気づいた。怪力で有名なレンセラ人やゼーカイ人だって素手であそこまで出来るか分からない。本当に、ロジーは普通のハーマン人ではなくなってしまったのだ。
「くそっ、くそ……っ」
何度も汚い言葉を使うロジーの声が、セオの近くに迫ってくる。
こんなはずではなかった。
セオは生きて帰れたらもっと己を鍛え直さなくてはと思った。生きて帰れたら――の話だが。
「こいつに、何してんだよ……!」
セオの意識は曖昧になっている。さっきまで近くにあったはずの人の気配がない。それとも、その気配は本当に存在したのだろうか。
こんな状況、何度も味わってきたではないか。いつだって限界に追いこまれても、ギリギリのところで凌いだはずだ。セオは自分の持つはずの両手を思い出し、己を奮い立たせる。
立ち上がるんだ、と自身に言い聞かせセオは体を起こす。上半身を持ち上げたはずが頭くらいしか浮かせられなかった。
金属や何かがぶつかり合う音がする。
ロジーが、機械じかけのラフレシアと戦っていた。武器もなく、素手で。
彼女は先程より動きが格段に早くなっている。セオは目を凝らした。
ロジーが――笑っている。
戦場で己を奮い立たせる為に笑う事はあっても、あんな風に楽しそうにした事はなかった。
改造ハーマン人が触手を一本引き抜いた。声を立てて笑いながら。
まるで相手をいたぶる事が楽しくて仕方がないとでもいうような、猟奇的な笑み――。
おかしな手術を施し、薬を投与し続ける。それが身体だけでなく精神にも影響を与えないとどうして断言出来ようか。
ロジーはふたたび怪力で触手を引きちぎったが、彼女が有利という訳ではない。現に今も無事な触手の先に肩を貫かれている。だがそれを痛がる様子はない。血は流れているのに。
改造ハーマン人でも、普通のハーマン人と同じ、赤い血が流れる。
名前を呼んだつもりだった。セオはあの娘の名前を呼んでこちらを向かせるつもりだった。せめて返事をしてほしかった。
それなのにロジーは、かつてロジーだった生き物は、獣のように特攻する。
亜人の中には気が昂ると他者の言葉はまったく耳に入らず、標的がなくなるまで暴れ狂うものもいる。ロジーに植えつけられた亜人の能力が悪い方に傾いたのだ。
己の身を顧みず動くものを殴り捕まえようとする姿は、とても理性的とはいえない。
広かったはずの部屋の壁や天井は、ほとんど機械の鈍色に覆われている。敵の侵蝕はとどまる事を知らない。
意識はぼんやりとしていたがセオは地面から体を起こす。
突然、遠くから音がする。何かが閉じられた音だ。
この研究所は封鎖されようとしている、とセオは思い出した。あの兵器を破壊して地下を抜け出す事など出来るはずがない。だがセオは、ロジーを失う訳にはいかない。彼女の心を失う訳には。
自我を失ったように戦う故か、自律する機械に対峙するロジーは気づいていない。蠢く触手がちぎられた一本を取り戻そうとゆっくり手を伸ばしている事に。
駆け出そうとしたセオだが上手くいかない。自分の体が他人のもののようだ。
触手が、元の体の一部を掴んだ。うぞうぞと揺らめいて二つが一つになる。融合された手は感覚を取り戻すかのように揺れ、ロジーに飛びかかる。
セオに出来たのは、体当たりでロジーを退かす事だけ。
触手を避けた二人は床に倒れこみ、ロジーは邪魔が入った事で唸りを上げる。
「ロジー」
押しのけられて、セオはまだ彼女が正気に戻っていないのを知る。
セオの意識は体を離れようとしているかのごとくあやふやで、ロジーの目に白目がなく、すべて黒に塗りつぶされているのを不思議にも思わなかった。
獣じみた息を吐くと、ロジーはかつての仲間など視界に入らないかのように立ち上がった。
「ロジー……行くな」
“そちら側”に行ってはならない。
「帰ってこい」
掴んだ手は、理性をなくした娘に振り払われる。
「お前を、失う訳にはいかない」
セオは諦めない。
獣のように唸る娘の口を塞ぎたくて、セオは顔を近づける。振り払われた手をもう一度引く。ロジーの唇は冷たかった。
キスをしたのは彼女を正気に戻そうと思ったからだ。ロジーは拘束から逃れようともがく。
理性を失っても、唇だけはセオの覚えているロジーのもの。
「ロジー、お前の事が仕事仲間だから大切なんじゃない。ただの仲間よりももっと、大切な――」
触手が二人の元に影を落とす。
ロジーが飛びのくと、今度の触手はセオを目指した。セオには体を起こす余裕はなかった。
最後の力を振り絞りセオは身をよじろうとした。
強い力に引っ張られたのはその時だ。
怪力を手に入れたハーマン人の娘に腕を引かれる。その力は強すぎたが、お陰でセオは触手から逃れる事が出来た。
ロジーが一度セオの手を放し、近くにあった机を放る。軽々と。それを食らった機械の方はうるさい音を立てて痛がった。
額が切れていたセオは、血で視界が悪くなる中目を開ける。
「……セオ」
おかえり、と言いたいところだ。今のセオにはよく見えないがロジーの瞳にはハーマン人らしい白目が戻っている。
「あたし、今……」
我を失っていた事に、ロジーも戸惑いを隠せないらしい。こんなにもひどく狼狽えた彼女の姿を、セオは初めて見るかもしれない。
相手を間近にしてロジーの傷が塞がっていないとセオは知る。再生能力にも限界があるのか、ロジーの出血はやまない。セオも同じだ。
それでも敵はまだ沈黙していない。セオは立ち上がるしかなかった。何度でも。
触手を避けるその時に、セオとロジーは一度部屋の外に逃げ込もうとする。背後には廊下があるはずだったのに、ロジーは壁にぶつかった。先程非常扉が閉じられたのだ。この部屋は完全に閉ざされてしまった。
逃げ場は、ない。
敵の魔の手から逃れるには、走るしかない。
分が悪いのは、ただのハーマン人であるセオだ。彼の足はもつれ、腹部に開いた穴から血が吹き出した。咄嗟にロジーが手を伸ばすが、セオがしたのは彼女を突き飛ばす事だった。
背中を舐める機械の爪の先は、セオの肌に焼けつく痛みを与える。
自分を支える事も出来ず、セオは頭から地面に倒れこむ。ロジーが触手を殴りつけセオを支える。
「庇うなって、言っただろうが……っ」
目を伏せたセオは何かを言おうとした。
彼女の気持ちは分かる。だが、セオの気持ちも分かってほしい、と。言葉を選ぶ暇も、しゃべり続ける気力なんてなかった。
だからセオは言葉に頼るのをやめた。
ほとんど手探りでロジーの顎を引き寄せると、唇を重ねる。
さっきよりも、心なしか熱を帯びた唇。
惚れた女を守って何が悪い。
そういう意味を込めて、ロジーに口づけた。
これが最後になるかもしれないから、という思いもあった。自分たちは絶望的な状況にいる。セオは既に意識を手放したくなっている。
だがこの時のぬくもりだけは本物で、ロジーはキスを返してきた。
情熱的なものではないのに、ゆっくりと力が抜けていくようなキス――
おかしい、とセオは頭のどこかで思った。確かに怪我はひどいがこんなにも、思考を奪われるほどに弱ってはいなかったはずだ。それとも、腹が貫通しているから無理もないのか。
セオはどんどんと思考力をなくし――意識を失った。
セオに覆いかぶさるようにして口づけをしていたロジーは、顔を上げる。
「……ヴァンプール人の能力は、他者から生命力を奪う、だったか」
気絶した男を片手で抱え、ロジーは口元を拭う。
最初はロジーも普通のキスのつもりだったが、自分の中に流れ込む不可思議なエネルギーに気づいた。いつの間にかロジーは、セオの生命力を吸いとっていたのだ。お陰でセオは意識を失ったが、ロジーはさっきより体に力が満ちている。
ハーマン人には出来ない芸当だが、手術で普通のハーマン人から逸脱したロジーなら可能な事だった。彼女はヴァンプール人の生命力を奪う能力を有しているのだ。
相棒をゆっくりと床におろすと、ロジーは敵を向く。
「腐れ計画に感謝なんかしたくはないがな……」
今、ヴァンプール人の能力に助けられたのは確かだ。セオには災難だが、ロジーの体に力がみなぎって、何でも出来そうなくらいだ。
ロジーに勝算はない。だが、ちぎった一本の触手まで歩くと、彼女らしい不敵な笑みを浮かべる。
太い触手を引き上げ、彼女の肩にのせる。
「どきな、ガラクタ野郎! あたしたちはケーセスに帰るんだッ!」
大声で、吠えた。
獣の両腕で、ロジーは切れた触手を敵の窪み目掛けて投げ込んだ。
どうなるかなど誰にも分からなかった。
機械じかけのラフレシアは――爆発した。




