2話
後何話かやったら、もう少し更新速度が落ちると思います
それでも、見てもらえるとうれしいです
「それでは、授業を始めます」
「お願いします」
一人しかいない教室での授業も一週間もやれば慣れてきた。
鈴梨先生の教え方はわかりやすいし、一人しかいないからしっかりわかるまで教えてもらえるのは結構ありがたい。
「それでは、今日の一時間目は武姫学です」
この学園で習うのは…
国語、数学、歴史、地理、地学、化学、物理学、生物学の基礎科目。
心理学、外国語、政治学、経済学、法学、薬学、医学、栄養学、美術の副基礎科目。
軍事学、武姫学、武気学、武器学、整備の必修科目。
戦闘、野営、体術、武器術、武気術、武姫顕現の演習科目。
運転、機械操作、分析、製作の補助科目だ。
ちょっと覚えるの多くねと思ったが、この学園内は時間の流れが遅くなっているのに加えて、物事が覚えやすい効果がある結界があるらしい。
この結界は武気学がかなり進歩している国なら作れるものらしい。
だが、俺にはつらい。
もともと50分6時間授業が普通の俺には60分13時間授業はきつい。
しかも、土曜日にも平日より少ないが9時間授業だ。
ゆとりの俺にはきついを通り越して辛い。
「まず、武姫はわかりますよね?」
「まあ、うちで顕現できないの俺だけなんで」
「……ごめんなさい」
「いえいえ、続けてください」
「わ、わかりました。武姫は武気によって武姫化することが出来、この世界に顕現することが出来ます」
そう、武姫化するとその武姫が持っている能力の効果が上がり、1つ以上の武技が使えるようになる。
武気の多さでクラスが分かれるのもこれが原因だ。
要は、武気の持っている量(武気保有量)が多いと、多くの武姫を武姫化することが出来る。
また、武技を使うのにも武気を使うし、武技とまでは行かないまでも身体能力の強化などが出来る武気術などにも武気を使う。
武気保有量が多い者が強い。まれに、Sクラスの人にAクラスやBクラスのやつが勝てることはある。
それは、武気術の使い方や使う場面の選択が上手かったり、武姫の能力が強かったりすることがあるからだ。
でも、やはり一般的には武気保有量が多い人が強いのだ。
それこそ、武姫を武姫化することが出来ず、武気術の初歩である身体強化や感覚強化などが、7分も続かない俺のようなGクラスはSやAなどには普通では勝てないのだ。
それを俺はあの家|《桃前家》で学んだ。
「それで、武姫の武姫化には約500の武気が必要といわれています」
そう、武気保有量400の俺には武姫化は出来ない。
「……保有量は少しずつですが上げる方法はありますので、そう落ち込まないでください!?」
俺が頭でいろいろ考えているのが、落ち込んでいるように見えたのか、鈴梨先生が慌ててなだめてくる。
「あ、いえ考え事してただけです。別に落ち込んでいませんよ。もう、1年ほど前に諦めてますから」
そう、俺の元々の武気保有量は390。
その、少しずつ上げる方法を10年間続けてやっと10上がったのだ。
「あ、諦めちゃってるんですか…?」
「ええ。まあでも俺にはこいつらがいますから」
俺はそう言って、左右に佩いている刀の柄に手を置いた。
「ええと、刀ですか?」
「ええ、刀です」
「……もしかして、武姫化できるとか!?」
「いえ、普通に考えて、俺の武気保有量じゃ無理ですから」
あなた、そのこと知ってるのに何で聞くんですか!?
「あ、言ってませんでしたね。さっき、武姫化するのに必要な武気は約500と言いました。これは、500程度の『約』ではなく、例外もあるため500以外の場合、つまり例外もあるの『約』なのです」
「たとえば、どんなのがあるんですか?」
「そうですね。たとえ……あ、桃前家の家宝である鬼斬は武姫化するのに、Sクラスの人達でも出来ないほど膨大な武気が必要らしいです」
鈴梨先生はあごに手をあて、考え出しながらしゃべり始めた。
そして、言ってる途中で何か思いついたのか、ひらめてたって感じの顔をしてそう言った。
「え、……あのどこにでもありそうな刀ですか?」
そう、あの刀は見た目がすごく普通なのだ。
そこら辺……では売ってないが、この学園の売店で売っている大量生産された刀と見た目は変わらない。
ようは、安っぽいのだ。
「はい。鬼斬のように強い力のある武姫は多くの武気が必要です」
「それなら、500より小さい場合もあるんですか?今の流れからして、粗悪なものだと減るとか?」
「いえ、どんなに粗悪でも武姫化には500が必要です。減る現象がおきるのはその武姫が持ち主を認め、持ち主も武姫を認めた時。つまり、持ち主と武姫との心の距離が縮まり、絆が深まると、それだけ必要な武気の量も減ります」
俺の、希望ははかなく打ち砕かれた。
と思ったが、まだ希望の光が―
「それじゃあ、俺でも武姫化できるかもしれないんですか?」
「……出来…………ないわ」
出来そうな雰囲気をながらまた打ち砕かれた。
ついでに、俺の心も打ち砕かれた。
そのため、つい言ってしまった。
「おい!今のタメはなんだよ!?しかも、それじゃなんでさっき俺に出来るか聞いたし!?」
「聞いたのは、発見されていない例外があるのかと思ったからです。あとひとつ言うと、絆を深めるのには一回以上その武姫を武姫化しなきゃいけないの。だから、残念だけど桃前数多君には、その前提条件がクリアできないから……」
言葉を濁すなよ。
惨めな気持ちになるだろうが。
なので、あえて自分から言う。
「……たしかに、それじゃ無理ですね」
「はい。あ、あとさっきの暴言は仕方ないので見逃してあげます」
鈴梨先生は笑いながらにっこりとそう言った。
見逃していただき、ありがとうございます。
その後は、桃前家でも習った武姫についてのことを聞き授業は終わった。
やっと、8時間目まで終わり、お昼の時間になった。
この学園に張られている結界はようは体感時間を引き延ばすような感じで、おなかがすいてくるのは結界の外での12時くらいだ。
つまり、ご飯食べるのは外にいるときとさほど変わらない。
お昼は、一人だった。
「いや、まあわかってけどね!クラスメイトなんとものはいなかったし、元からの友達とかいるはずもないしね!」
などと、口に出して言うことによって、寂しさを解消する。
まあ、言ったことによって周りに一人もおらず、さらに寂しさが増してしまう結果となったが……。
「いただきまーす」
そう言って、弁当箱を開けてみた。
あ、ちなみに弁当はお義母さんが作ってくれました。
一般の学校に通っている時もいつも弁当を作ってくれていて、それは学園に入っても変わらずだ。
とてもありがたい。
そして、食べてみるといつもどおりおいしい。
とても幸せだ。
「おいしそうなお弁当ですね」
「ぶふっ!ごほっ、ごほっ、……いきなり話しかけないでくださいよ」
俺は、後ろから鈴梨先生が話しかけてきたので、びっくりしてむせてしまった。
「あら?ごめんなさいね。武術のほうはかなりの腕前だって聞いてたから、気づいてるんだろうなって思っていたわ」
「……いつもなら気づいていたかも知れませんが、今はお義母さんが作ってくれた弁当に、幸せと感謝と喜びを感じるのに全キャパを使っていたので……」
「……弁当だけで?」
俺は、その言葉に憤慨を感じ―
「弁当だけ!?弁当を毎日作ってくれることがどれだけ感謝すべきことかわかってないのかぁ…、ですか!?」
「いや、今完全に言った後無理やり付け足したよね!?」
鈴梨先生は突っ込んでくるが、今はそれど頃ではない。
こっちは怒り心頭なのだ。
よりによって、お義母さんのお弁当を……。
「そんなことはどうでもいいんです!今は弁当を毎日作ってくれることの偉大さの話です!」
「いや……、まあそうだけど」
俺の気迫にちょっと引き気味になり、鈴梨先生がそう言った。
それにしても、こんな簡単にだまされてくれるとは。
「……ちょろい」
「ちょっと!今の聞こえてるんですからね!」
「まあ、それよりも弁当を作るのは大変なんですよ。しかも、お義母さんのは一つ一つ全部手作りなので、なおさらです」
「ふーん。私のも手作りだけどね」
「なんだって……」
今、俺はかなり驚いている。
だって、見た目お嬢様って感じの鈴梨先生が自分で料理?
ははは、ありえねぇー。
「いや、私普通に料理できるよ!?何で、出来ない人みたいに思われてるの?」
「いや、……見た目?」
「ふーん、そういうこと言うんですか。そうですか……」
なんか、少し雰囲気が怖い。
「まあ、作れてもおいしいかどうかはまた別ですしねー」
あら?なんか鈴梨先生が手を握って、プルプル震えてる。
「そこまで言うなら!今度作ってきますから食べてみてください!」
「え?……あ、はい」
こうして、女の子っという歳ではないけれど、異性からお弁当をもらうというリア充イベに突入した。
誤字脱字などありましたら、言ってください
次回はやっと女の子…ではないですが、異性とのイベントです