1話
1話目です
これからも登校していく予定なのでよろしくお願いします
ついでに、感想なども募集中です
「俺の名前は桃前数多十兵衛。数多と十兵衛どちらも名前だ」
「兄ちゃん何やってるの…」
今日、行われる始業式の後にある、クラスでの自己紹介の練習をしていると今年から小学5年生で、俺の弟である辜月があきれた感じで言ってきた。
だが、今はそちらに構っている暇はない。
こちら、これからがかかっている重要な問題なのだ。
最初でミスるとこれからの学校生活がボッチ生活になってしまうのだ。
「弟よ、兄は今日は何が何でもミスる事は許されないのだ」
「兄ちゃん…他の人たちは初等部から同じなんだからそれは無駄な努力だよ。むしろ、普通にしてるだけで人は声かけてくると思うよ。高等部からなんて前例がなかったみたいだし、それに……桃前家に引き取られた養子ってだけで珍獣扱いだからね」
「な、んだと!?」
驚きの真実だ。
これはいきなり友達百人とかもいけるんじゃね?
「何年も前から兄ちゃんは学内では有名人だよ。まあ、桃前家に養子に来てからも普通の学校に通ってたから知らないだろうけど」
「そ、そうか、なら安心した。辜月、朝ごはん食べに行こう!」
「いや、僕もう食べ終わったし。それに……もう食べる時間はないと思うよ」
時計を見ると、出る時間まであと五分。
まだ、パジャマを装備中だ。
要するに、行く準備をしていない。
「辜月よ……」
「何?兄ちゃんよ」
「おにぎりだけでも頼むとお義母さんに伝えてくれ」
朝食が食べれないのはいたい。
だが、今日は、今日だけは遅刻するわけには行かない。
転校初日に遅刻はやばい。
不良のレッテルが貼られてしまう。
いや、待てよ。
遅刻しそう→パンをくわえる→女の子との激突→そこから始まる恋
いけるかもしれない!
俺がそんなことを考えているだろうことをわかってる辜月はあきれた目をして、言ってきた。
「はいはい。急いでね、僕が場所教えることになってるんだから」
「心得ている」
俺は、その後急いで準備をし、時間通りに家を出ることができた。
「兄ちゃん、本当に大丈夫?」
「ふぁにふぁは」
「食べてからでいいよ……」
「…………んぐっ。はー、おいしい。んで、なにがだ?」
こんな急いでるときに言うことなのか?と思いながらも弟が可愛い兄である俺はしっかりと聞いてやる。
「だって兄ちゃん、自称平和主義のヘタレで」
グサッ!
「武気保有量が少ない劣等生だし」
グサッ!グサッ!
「人付き合いが上手いわけでもないし」
グサッ!グサッ!グサッ!
「それに―」
「もう止めて!俺のライフはもう0だから!!」
弟は容赦なかった……。
「そう?まあ、頑張ってよ。あの学園、決闘なんてしょっちゅうあるし、武姫持ちの武士同士の戦いになると地形の変化や、物が壊れるのは当たり前の所だから」
「なんか、行きたくなくなってきた」
「そんな、直前で言われてもね。もう目の前が学園だし。父上が決めたことだから」
「わかってる。お義父さんにはお世話になってるし、養子にしてもらった恩もある。それに、何でここに入学することになったかはお義父さんから説明されてるから」
(頭下げて、頼まれたから断れなかったんだけど…)
「それじゃ、教官室はあっちだから」
辜月はそう言って、学園の隣にある建物を指した後、走って行ってしまった。
「はあ、行くか…」
建物に入ってみると、中は普通だった。
数多が前に通っていた学校と変わらない。
歩いていくと、学園長室と書かれたプレートがついた木製のドアがあった。
深呼吸をして、ドアをノックすると中からどうぞと男の声がした。
「失礼します」
ドアを開けると、調度品のように武器が置かれた部屋だった。
「ようこそ、士学園へ。桃前家の十番目よ、我々は君を歓迎しよう」
「はじめまして。桃前数多十兵衛です。数多も十兵衛も名前です」
「聞いておるよ。元々の名前が数多で桃前家の養子になったときに十兵衛を貰ったのであろう?」
「はい。その通りです」
そう、俺の名前が数多十兵衛と長いのは、もともと数多という名前だったが、桃前家の本家に養子になるときに十兵衛を追加されたのだ。
これは、少し議論になったらしい。
何でも、桃前家の本家は代々子供には上から1,2,3とその数字に関係する言葉や数字自体をつけた名前にするらしい。
しかし、元々本家の人間でなかった俺は当然入ってることはなく、名前を変えるか、それとも元々本家の人間ではないのだから変えるべきでない、今なき親からもらった大切な名前なのだからそれをなくすのはどうなのかという議論になったらしい。
結局、それならどっちもつけてしまおう、議論がめんどくさいしという桃前本家の当主の一声で今の俺の名前となった。
9の数字が入っているのは俺と同じ歳で、俺より誕生日が5ヶ月遅い九宇。
誕生日は俺が5月で、九宇が10月だ。
余談だが、10月は神無月といって、神々が出雲大社に集まるっと言われているが、九宇が産まれたときは神々が九宇の近くに集まったらしい。
何が言いたいかというと、俺が養子になった時、九宇はすでに産まれていて、名前がつけられていた。
ちなみに、俺が養子になったのは3歳の頃だ。
まあ、そういう事情があり俺が十になったのだ。
「それでなのだが、まず十番目のクラスを教える前に渡すものがある」
「これは……刀?」
学園長が出したのは、刀だった。
「まあ、普通の刀ではない」
「その前に、これは誰からでしょうか?」
俺には刀をわざわざ学園長を通してまで贈ってくれる人はいない。
「ん?ああ、これはお前の親からといえばわかるかの」
「母さんと父さんですか!?」
まさかの人物だった。
親が死んでから12年経ち、やっと俺の元まで届いた贈り物。
「ああ、ワシはあやつらとは仲が良くての。これは、将来ここにお主が入ったときに渡してくれと言われていた物でな」
「……俺がここに来るのは予知していたと」
「そうなるの」
(ということは、自分たちがいなくなることがわかっていたのか…。母さんも父さんもここに入れなんて言ってなかったし、俺も養子にはいたりしなきゃ入ることはなかったからな)
「……ありがとうございます」
「うむ。それはきっとお主の手助けをしてくれるじゃろう」
その後は、クラスや学園での注意事項、生徒証などを渡されるだけだった。
礼をして学園長室を出ると、部屋の前に一人の女が立っていた。
「あなたの担任になる鈴梨音奈です」
「あ、はい。桃前数多十兵衛です」
「桃前君……だといっぱいいるし、なんて呼べばいいかしら?」
「数多でも十兵衛でもいいですよ。俺は数多のほうが呼ばれなれてますけど」
「わかったわ、桃前数多君」
鈴梨先生について行く。
鈴梨先生は1年G組の前で止まった。
クラスはSからGまであり、武気保有量でクラスが決まる。
Sクラスが武気保有量が10万以上とほとんどいない。
Aクラスは5万以上10万未満で多くはないがいる。
Bクラスは1万以上5万未満でこのクラスにいる人は多い。というのも、平均が2、3万なのだ。
Cクラスは7千以上1万未満でBの次に多い。
Dクラスは5千以上7千未満。
Eクラスは3千以上1千未満。
Fクラスは5百以上1千未満。
そして、俺が入るクラスであるGクラスは5百未満。
Gクラスの教室に入ると中には人は一人もいなかった。
「あの、一人も人がいないんですけど」
「このクラスには桃前数多君しかいませんから」
自己紹介をミスしないですんだが、ボッチな学園生活に一歩近づいた。
誤字・脱字あればどうぞ言ってください
最初のほうは説明が多くなるかもしませんが、飽きないで見てもらえるとうれしいです