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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
弐幕
9/61

水龍

月狼に聞きながら、夜月が陽矢のいたらしき場所へ向かうと、

あの少年…陽炎が立っていた。

しかし、背を向けているので顔は分からない。


月狼を見ると、少年に対して怯えているようだ。


陽炎「…どうやら戻ってきちゃったみたいだね」


夜月「…誰だ」


陽炎「…いずれ分かるよ。今は話せないけど」


背を向けたまま、何処からか吹きぬけた風と共に陽炎はその場から消えた。


夜月「…クソッ」

------------------------

──青龍の祠


陽矢「…なー、ホントにあってんのか?」


レキ『う、うーん…ここまで来ると自信ねえな…』


肩に乗ったレキが、陽矢に出口を教えると言ったが…

未だ、洞窟内を迷子になっている。

しばらく進んでいると、出口ではなく…祠のところに出てしまう。


陽矢「…出口じゃないじゃないか」


レキ『おっかしーな…祠のある所なら、出口の光が見えるハズ…』


陽矢「…」


レキ『…そんな目で見んなよ。

 …あーもう!祠! よし! 祠見に行ってこい!』


陽矢「…アンタ、ヤケになってない?

 ていうか、見に行く意味が分からないし…」


レキ『うるさーいッ!!』


陽矢「…はあ…」


レキに言われて、祠の方に歩み寄る。

祠を見ると、自分の知っているタイプの祠と特に代わりはないが、真ん中に青色の水晶のようなモノが祀られているようだ。


レキ『それはだな…青龍が持っていたモノらしく、水を自在に操ることが出来るらしいんだ』


陽矢「ふーん…」


レキ『ふーん…って、興味ないのかよ』


そんな会話をしていると、どこからか声がした。


『少年…』


陽矢「…?」


レキ『ん、なんだ?』


突然、景色が変わった。陽矢は今、水面の上に立っている。

目の前に、両手に球体を持った青い龍が水中から飛び出し、陽矢を見る。

呆気にとられ、その場に立ちつくしていると…


『少年…どうやら汝には私の姿が見えるようだな』


どうやらこの龍が声の主のようだ。


『私は青龍。四神の一人、水を司る者なり。

 我ら四神が仕えし主の命により、汝に水を操る我が力を授けよう…!』


陽矢から笛が飛び出し、青龍の放った力が笛に宿った瞬間…

笛が…白銀の刀へと変化した。


陽矢「笛が…!?」

青龍『それが本来の姿…十六夜(イザヨイ)。だがしかし、本来の力を出せてはおらぬ』


レキ『…』


青龍『さあ…祠の外に導こう。

 …後のことは…私の娘・ミクマリが話してくれるだろう…』


陽矢「ちょ…ちょっと…!?」

------------------------

陽矢は気が付くと、外にいた。

どうやら誰かが傍にいるようだ。


「…陽矢。君はまだ気付いていないかもしれないけど…

 この旅は、君の大切な友人を助け出すことと他に、君だけの目的があるんだ。


──ここにいた時の記憶を全て思い出すこと。そして、自分の本当の名前を思い出すこと。


 …覚えておいて。君が思い出す頃には…きっと、家族にも…友人にも会えるよ」


視界がぼやけていて、誰なのか分からない。

次第にまた意識が遠のいて、再び視界が暗くなる。


どこかで、自分の名前を呼ぶ…懐かしいような声がした気がした。

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