東清村
※前書きではなく思いっきり本編
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──真っ暗な、何もない世界。
陽矢はそこを歩いていた。
しばらく歩いていると、目の前に…
『…朝美…!』
陽矢は、急いで駆け付けると…
『…!?』
陽矢「──うわあ!?」
飛び起きると、目の前には…
「あー陽矢、気がついたんだね」
この口調は…。
行方不明になった巫女の一人…綺羅がそこにいた。
陽矢「…お前…なんでここに…?」
綺羅「へ?」
二人「「……………」」
綺羅「…\(^o^)/」
陽矢「はあっ!?今何て!?…今の何語!?」
「…静かにせんか。騒々しい」
横を見ると夜月たちが座っていた。
よく見ると、夜月は治療等を受けたあとが見られる。
夜月「まったく…いきなり倒れよって。
先ほどまで眠っていたのが嘘のようだな」
皮肉を込め、陽矢に言う。
陽矢「何だと…」
陽矢が夜月に文句を言ってやろうとしたが、
綺羅に耳打ちをされてその気はなくなった。
綺羅「実は一番心配してたんだよ、夜月お姉ちゃん」
夜月たちの方を見ると、夜と桃芽が頷いていた。
夜月「…お前たち。後で覚えておれ」
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しばらくすると、誰かが来た。
どうやら女性のようだ。
「はじめまして。私はこの村の村長、ミクマリと申します。
使いの者から、既に話は聞いております」
話を聞くと此処は東清村といい、陽矢たちのいる所は村長の家。
誰かの術でここに移動させられたのか、気が付いたらこの村にいたらしい。
夜曰く、移動した場所がかなり雑だったとか(空中)。
ちなみに、夜月の傷は着地の際に陽矢を庇ったためらしい(桃芽・綺羅談)。
綺羅「…そういえば陽矢、ずっと魘されてたみたいだけど…悪い夢でも見た?」
悪い夢…。
確かにあれは悪夢だった。
嫌なほど現実味があった…
綺羅「…どんな夢?」
陽矢「え?ああ…」
あれは夢の出来事。
だか…話すにも話せない。
桃芽「……『お嬢に刺された』…そういう夢ですね」
その通りだった。
しかし、それほど顔には出てな…
綺羅「あ、それみたい」
…出ていたようだ。
それを聞いた途端、夜月の顔が変わった。
桃芽「…先程、夜月も同じようなことを言っていましたわね」
夜月「…」
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陽矢は、一度村の様子を見に行ってみることにした。
東清村は川が多く、ここまで綺麗な水を見るのは初めてだった。
陽矢「魚が泳いでるってことは、水が綺麗なことなんだよな(?)」
月狼「ワンッ!」
陽矢「…って、ついて来てたのか」
「…ねえ、君」
陽矢「…?」
横を見ると…自分と似た少年が立っていた。
しかしよく見ると…どこか自分と違う。
「…君、名前なんて言うの?」
陽矢「俺?…道陰 陽矢だ」
「僕は…陽炎っていうんだ」
陽炎。
この村の子供だろうか…?
陽炎「陽矢。君はこの村に来たのは初めてかい?」
陽矢「ん、まあ…この日神祀に来たこと自体が初めてかもな」
陽炎「へえ…そうなんだ」
陽炎と話していると、気のせいだろうか。
…視界がぼやけてくる。
陽炎「…どうかしたかい?」
陽矢「え…いや…なんでもない。
…あ。そろそろ戻るか…」
陽炎「そうかい…それじゃ…
──せいぜい迷子にならないように…」
陽矢「…え?」
突然、陽炎の眼の色が変わった。
そのことに気を取られ、その隙を突かれた。
陽炎「君の存在は色々と厄介でね、一度消えてもらうよ」
陽矢「しまっ…!」
一瞬のうちに、陽矢がその場から消えてしまった。
陽炎「…これもすべて、我が主…天邪鬼様の命令。
…悪く思わないでくれ」
陽炎は、突然消えた陽矢を心配する月狼を見つけると一言。
陽炎「…君は、ご主人様のもとにでも戻ったらどうだい?」
ゾッとするような陽炎の笑みを見て、その場から逃げるように月狼は夜月たちのもとに急いで行った。
月狼が見えなくなると、誰に言うでもなく言った。
陽炎「…さて、どうなるかな。
全ては…君次第だよ、陽矢」
作者の一言…
陽矢と陽炎って名前表示がパッと見区別しづらい。