表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
捌幕
57/61

決着

陽矢「…はぁ…はぁ……っ…」


駄目だ全然隙が見えない。俺一人じゃ難しいのか…。

…いや。何というか、これは…攻めに行けない?


陽矢「…なぁ、アンタ…。…もしかして、…倒されること、望んでんのか…?」


八岐大蛇『何ヲ言イ出スカト思エバ…ソンナ事カ』


陽矢「さっきから…、アンタから、全然殺意らしきもんとか感じらんねぇんだよ…」


途切れ途切れなのは攻撃を避けるのに苦労して体力を消耗した結果だから気にするな。

(…って誰に言ってるんだか俺。)


「──陽矢―――ッ!」


俺がここに来た時の道から皆が走ってくる姿が見えた。

…。


陽矢「…なぁ、姉ちゃん…」


夜月「聞かないでくれ、頼むから」


陽矢「…。…バランスいいな、姉ちゃん」


暦に背負われながらも両手で顔覆ってて、全然揺れてないのが凄い。

つーか後ろで花護寺兄妹が黒い笑顔をしているんだが。

叔父さんに至っては頭抱えてるじゃねえか。何で父様と夜はそんな温かい目で見てるんだ。


暦「走れなさそうだから俺が背負った方が早いと思ったんだが、さっきからなんでかこの調子なんだよな」


陽矢「とりあえず背負うのをやめればいいと思います」


暦「?」


陽矢「兄妹そろって天然かよ」


吉昌「……どこで教育を間違えたか…」


暦は何故なのか分からないみたいな顔をしながら姉ちゃんをおろした。

…さてと。話が脱線したんだが…。俺は再度アイツを見た。

だが…そこには、あの八つの首をもった蛇の妖怪ではなく、七匹の蛇が体に巻きついている人の姿に変わった。

黒く長い髪で蛇みたいな赤い目。性別は中性的で全然分からない。


陽矢「…なぁ。アンタ本当は…征服とか望んでないんじゃないのか」


八岐大蛇「……。確かに、我はそうだった。かもしれんな」


暦「望んでなかったって…じゃ、じゃあ伝説のは一体なんなんだよ!?」


八岐大蛇「知らんな。そもそもあれは貴様ら人間が作り出した話。…良い様に話を変えられているかもな」


夜月「…。…昔、お爺様から聞いたことがある。

 本当は…神話では英雄となった男と、オロチは恋仲であったと」


陽矢「恋仲?」


八岐大蛇「…。可笑しな話だろう、嫌われた化け物と人望の厚い人間がそのような関係にあるなど。だから、我はあの男にこの地に眠りにつくことを願った、永久のな。

 だが…アイツでも千年が限界だったらしいな。その結果がこれだ。

 興味もないのに我が身から滲み出る妖気のせいで世界が常闇に包まれるのなど…死ねたらどんなに楽だっただろうか」


話すオロチの顔は無表情だが、時折自嘲しているかのような感じがする。


八岐大蛇「のう、『百』。貴様にはあ奴とは異なり…仲間がおる。貴様なら、永久の眠りに我を封じられるような気がする」


陽矢「…どうすればいいんだ」


八岐大蛇「そうだな…。あ奴が施したのは笛の音で我を眠りに就かせる術。だが…中途半端でしかできなかったようだ。…元々そうだとも言っておったな」


中途半端か…。確か昔お爺様から教えられたものであってるよな。


八岐大蛇「…そういえば、あ奴は確か…太陰は元々別の笛と対を成す物と語っておったな。大体の話は小難しくて聞き流してしまったが…太陽神の力がどうのといった笛が、と…」


陽矢・夜月「「…あ」」


俺と姉ちゃんは同時に思い出したらしく、同じタイミングで声を出した。


八岐大蛇「…なんだ、何か分かったのか」


陽矢「…まさか」


夜月「…そういうことなのか」


姉ちゃんは父様から太陰を預かり、俺は手に持っていた十六夜を…巫月夜の姿に戻した。


吉平「…そうか。巫月夜もまた笛だ。5神の力…天照大神、太陽神の力が宿っている。対を成すとしたら…」


吉昌「…昔、父上から教わった曲も二種類だった。『太陰』と『太陽』…必ず覚えるように聞かされた」


夜桜「…なるほど。つまりこの二つを重ねれば…かなり特殊な術みたいだね」


俺と姉ちゃんは互いを見て、頷き合った。

そして…俺は巫月夜で『太陽』を、姉ちゃんは笛の太陰で『太陰』を、笛を吹き始めた。
































八岐大蛇『…ありがとう。人間達』


笛を吹き終える頃には、オロチの姿は光の粒になり消え始めていた。

安らかな笑顔を浮かべながら消えていくその隣には…。


陽矢「…これで、良かったんだな」


夜月「…そうだな」


主がいなくなった祠からは妖気が消えた。

朝美を捕えていた黒い鳥居からもその気配は消えている。


吉昌「…陽矢。朝美を屋敷まで運んでくれるか?」


陽矢「…え?」


吉平「私と吉昌で帰り道を確保しなければならない」


夜「常闇の王が消えたからといって…まだ外には妖怪がいますからね」


暦「闇日蝕も終わったみたいだが…それでも暫くは妖気に満ちてるからな」


夜桜「これから僕達陰陽師が大忙しになりそうだよー」


桃芽「暦はこれからまた夜月を背負うのですし(笑)」


夜月「なっ…!?」


陽矢「……あー…うん。はい…」


何故だか強制されていないのに強制されている気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ