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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
捌幕
52/61

反撃開始

陰陽寺家の屋敷に戻った俺達は、戻ってきた父様に話を聞いていた。


吉平「私が身を隠していたのは、奴の結界を解く為に霊力を極限まで高める必要があったからだ」


陽矢「結界?」


夜桜「アレのいる場所には強力な結界が張られていて、中には入れないんだ。

 それに、結界を解くにはそれなりの武器が必要なんだ。ちなみに陽矢君が持ってるそれだったりする」


陽矢「それなり…な。…ん?」


夜桜の指さす方向には、俺が陽炎から預かった黎明と黄昏があった。


夜桜「それは元々、この村の村長に受け継がれる神器。それに扱えるのは長一族のみなんだよ」


陽矢「…」


だから、陽炎はこれを持っていたのか。…というか持たされた、か。

俺を基にして造られた理由も、その一つか…。


吉平「私がその刀を使って、結界を破り…陽矢、お前が十六夜を使い奴を封印する」


夜月達と俺が、か…。

…なんとなく、勿忘草に触れた。


桃芽「(どうして頭にさっきの勿忘草つけているのでしょう…?)」


吉平「…お前が連れていた空間で起きたことはなんとなく感じていた。…辛かっただろう」


夜月「…。…何が起きたのかは知らないが、いつまでも気にしていたら…」


陽矢「…分かってる、分かってるんだ。でも…」


もしかしたら、消える必要なんて無かったんじゃないかって…アイツが残れる方法もあったんじゃないかって、気になってしょうがない。


暦「……。…だぁあああああーっ!!」


陽矢「うおっ!?」


突然暦が叫んで立ち上がった。


暦「いつまでも暗い顔してんな!お前が暗い顔してたらえーっとカゲロウ?が悲しむだろうが!」


陽矢「…」


夜「こ、暦様…」


夜桜「あらら…始まったね」


暦「それに、アイツはお前に何て言ったんだ!」


陽矢「…」



──もうすぐ、世界が闇に包まれる時が…如何なる神でも抗えぬ世界が来てしまう。唯一の希望は、君だけなんだ。


──どうか、もう一度彼に…父様に会うんだ。どんなに辛いことがあっても、君は乗り越えて…常闇を打ち払って。


──ありがとう…、僕に、「心」を教えてくれて…楽しかったよ。



陽矢「…!」


暦「アイツはアイツなりに『覚悟』決めて消えたんなら、お前もアイツの行動に答えてやれ!」


俺は暦に叱咤されてやっと気付いた。

そうだ。陽炎だって…


吉昌「…暦、落ち着いたのなら座れ」


暦「…あ。お、おう。…悪い、急に怒鳴って」


陽矢「いや…。おかげで目が覚めた、ありがとう」


…陽炎。例えお前の期待通じゃなくても、俺は…。


陽矢「絶対に、遣り遂げるさ」


吉平「…(今まで成長ぶりを見守っていたが…強くなったな、我が息子よ)」
































父様の案内で奴らのいるという場所に向かう。

お爺様、母様、倭代さん、和佳さんは村を守る為に屋敷に残った。


吉平「…ここだ」


そこは…巨大な湖(というか最早海)の真ん中に浮く怪しい島、そこの島まで道が続いている。

その島の入り口には、不気味な紫色の結界が張られていた。…ここには本来「太陰」という神器で封印されていたらしい。

あの日の数日前、おそらく九尾に盗まれたのだろうということだった。

奴を完全に封印するには、それも取り返す必要があるということか…。


吉平「皆、準備は良いな」


父様の声に一斉に頷き、各々の武器を構えた。


吉平「…はぁっ!」


手にした黎明と黄昏で、結界を斬る。数秒ぐらいの時差で、結界が消えた。

…奥から禍々しい妖気を感じる。


陽矢「…陽炎、俺に力を貸してくれ」


俺はまた、勿忘草に触れた。


吉平「…行くぞ、皆」


俺達は先が見えない暗い入り口を通って…島の奥へと進んだ。

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