反撃開始
陰陽寺家の屋敷に戻った俺達は、戻ってきた父様に話を聞いていた。
吉平「私が身を隠していたのは、奴の結界を解く為に霊力を極限まで高める必要があったからだ」
陽矢「結界?」
夜桜「アレのいる場所には強力な結界が張られていて、中には入れないんだ。
それに、結界を解くにはそれなりの武器が必要なんだ。ちなみに陽矢君が持ってるそれだったりする」
陽矢「それなり…な。…ん?」
夜桜の指さす方向には、俺が陽炎から預かった黎明と黄昏があった。
夜桜「それは元々、この村の村長に受け継がれる神器。それに扱えるのは長一族のみなんだよ」
陽矢「…」
だから、陽炎はこれを持っていたのか。…というか持たされた、か。
俺を基にして造られた理由も、その一つか…。
吉平「私がその刀を使って、結界を破り…陽矢、お前が十六夜を使い奴を封印する」
夜月達と俺が、か…。
…なんとなく、勿忘草に触れた。
桃芽「(どうして頭にさっきの勿忘草つけているのでしょう…?)」
吉平「…お前が連れていた空間で起きたことはなんとなく感じていた。…辛かっただろう」
夜月「…。…何が起きたのかは知らないが、いつまでも気にしていたら…」
陽矢「…分かってる、分かってるんだ。でも…」
もしかしたら、消える必要なんて無かったんじゃないかって…アイツが残れる方法もあったんじゃないかって、気になってしょうがない。
暦「……。…だぁあああああーっ!!」
陽矢「うおっ!?」
突然暦が叫んで立ち上がった。
暦「いつまでも暗い顔してんな!お前が暗い顔してたらえーっとカゲロウ?が悲しむだろうが!」
陽矢「…」
夜「こ、暦様…」
夜桜「あらら…始まったね」
暦「それに、アイツはお前に何て言ったんだ!」
陽矢「…」
──もうすぐ、世界が闇に包まれる時が…如何なる神でも抗えぬ世界が来てしまう。唯一の希望は、君だけなんだ。
──どうか、もう一度彼に…父様に会うんだ。どんなに辛いことがあっても、君は乗り越えて…常闇を打ち払って。
──ありがとう…、僕に、「心」を教えてくれて…楽しかったよ。
陽矢「…!」
暦「アイツはアイツなりに『覚悟』決めて消えたんなら、お前もアイツの行動に答えてやれ!」
俺は暦に叱咤されてやっと気付いた。
そうだ。陽炎だって…
吉昌「…暦、落ち着いたのなら座れ」
暦「…あ。お、おう。…悪い、急に怒鳴って」
陽矢「いや…。おかげで目が覚めた、ありがとう」
…陽炎。例えお前の期待通じゃなくても、俺は…。
陽矢「絶対に、遣り遂げるさ」
吉平「…(今まで成長ぶりを見守っていたが…強くなったな、我が息子よ)」
父様の案内で奴らのいるという場所に向かう。
お爺様、母様、倭代さん、和佳さんは村を守る為に屋敷に残った。
吉平「…ここだ」
そこは…巨大な湖(というか最早海)の真ん中に浮く怪しい島、そこの島まで道が続いている。
その島の入り口には、不気味な紫色の結界が張られていた。…ここには本来「太陰」という神器で封印されていたらしい。
あの日の数日前、おそらく九尾に盗まれたのだろうということだった。
奴を完全に封印するには、それも取り返す必要があるということか…。
吉平「皆、準備は良いな」
父様の声に一斉に頷き、各々の武器を構えた。
吉平「…はぁっ!」
手にした黎明と黄昏で、結界を斬る。数秒ぐらいの時差で、結界が消えた。
…奥から禍々しい妖気を感じる。
陽矢「…陽炎、俺に力を貸してくれ」
俺はまた、勿忘草に触れた。
吉平「…行くぞ、皆」
俺達は先が見えない暗い入り口を通って…島の奥へと進んだ。




