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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
漆幕
49/61

修行

(前半は久しぶりの作者ナレです)


陽矢が修行して数日。陽矢は着実に力をつけていた。

しかしその間…陰陽師である者達は日に日に強くなる「闇」を感じ取っていた。


清明「…五百年に一度の『あの日』が来てしまう。それは…もうじき、アレが目覚めることを意味する」


六花「『如何なる神も抗えぬ、常闇の時空』。四神の暴走…半分は天邪鬼の仕業とはいえ、力が弱まっている証拠…」


倭代「幸い、まだ夜月ちゃんや桃芽ちゃん。そして陽矢君には気付かれていないらしいわね」


吉昌「…各村の結界を夜桜が強めたおかげで今はまだ安全だが…『あの日』が来たら一体…どうなるんだ」


目に見えない闇の存在に恐怖を覚えながらも、対策を練っていた。

────────────

俺は叔父様の指導の元、剣術の修行を受けている。修行に励めば励む程…霊力が強くなるのを感じた。

だが…それと同時に…強大な妖力を感じ始めた。


陽矢「…」


「…おや?」


「ん?よー、陽矢。庭で何してんだ」


陽矢「…」


「…おーい」


「…瞑想中、ですかね」


「あれ、どうしたんだい二人とも」


「お。いや実はな…」


陽矢「…っ」


「…!」


長時間、集中していた俺はついに倒れた。そういえばさっきから誰かの声が聞こえてると思ってたが、どうやら暦達だったらしい。

…こんな傍にいたのに気付かないなんて俺どんだけ集中してたんだ。


暦「お、おい!大丈夫か!?」


陽矢「お、おー…。…これも一応、叔父様に出された修行の一つなんだけどよ…」


夜桜「暦よりも熱心」


暦「オイ」


夜「それにしても…凄い集中力でしたね。先程から暦様が話し掛けても全く反応していませんでしたよ」


陽矢「俺自身も驚いた…まさかこんな近くにいたなんて」


夜桜「それで、そんな状態で大丈夫なのかい?そろそろ別の修行の時間だと聞いてるんだけど…」


暦「なかなか来ないから俺らで呼びに来たんだが…」


陽矢「…え?」


夜「もしや…一時間以上もここに立っていたのですか…?」


陽矢「…マジかよ!?」


我ながら引くわそんな集中力!そりゃ倒れるっての!

慌てて俺は修練所に向かった。当然、竹刀を持った状態の叔父様が待っていた。


吉昌「遅かったな、陽矢」


陽矢「えっと…すみません…」


吉昌「修行をしてから七日…日を増すごとに霊力が高まっているようだな。呼びに行った暦の声に気付けないぐらいにな」


笑顔で言われてるから誉めてるのかからかってるのか正直よく分からないな。


暦「七日間でそんな霊力つけるのって珍しいことなんだぜ?ちなみに父さんは誉めてるから安心しろ」


あ、誉められてるんだ。


吉昌「陽矢。少し遅くなったが、始めるぞ」


陽矢「はい」


暦「…そういや陽矢の修行は初めて見るよな」


夜「そうですね…」


夜桜「僕もだよ」


…なんか誰かに見られてやるのって妙に緊張するな。

とりあえず俺も準備するか。


吉昌「…暦、ちょっと来い」


暦「ん?……はぁ?」


夜「…あれは」


陽矢「お願いします」


視界を遮断して、霊力だけで相手の動きを探る。

始めた頃は全然分からなかったが、今は居場所や人の区別ぐらいなら集中しなくても見えるようになった。

…父様から聞いたことがあったけな、叔父様は人に教えるのが上手いって。


吉昌「陽矢。今の位置は分かるな」


陽矢「はい。…この波長は、暦が俺の相手ということなのか?」


吉昌「その通りだ。今までは俺がある程度加減をしながら相手をしていたが、常に本気を出す暦とやってみろ」


暦「…それ遠まわしに加減を知らないって言ってね?」


夜桜「しかし合っている」


夜「そ、それは……その…なんというか…」


暦「夜。それは地味に傷つくからいっそ一思いに言ってくれ。…それより、どうやら本気でやれってことか」


吉昌「いや。お前も陽矢同様に視界を遮断して霊力だけでやれ。お前は意外とこういう戦い方に慣れているだろうし、それにお前も体を慣らしておけ」


暦「今『意外』って言ったか?最近俺の扱い酷くね?…まぁいいや、んじゃ布」


…この修行を受ける前に瞑想を必ずやるように言われたが、最近はその意味がよくわかった。

瞑想をすることで、集中力を高めてく。


暦「さっき父さんも言ってた通り、俺はこういうやり方のほうが得意でもあるんだ。防御より攻撃重視だからな」


陽矢「修業を始める前、叔父様同じことを言ってたな」


暦「息子のやり方はなんとなく分かってるもんなんだよ、父親ってのは」


吉昌「…二人とも、準備はいいな。一応言っておくが、お互い手加減はしなくていい」


暦「おうよ」


陽矢「はい」


吉昌「それでは…始め!」













































吉昌「──それまで!」


暦「…あっぶねぇ…」


陽矢「…」


叔父様の声でお互い竹刀を下ろして目を覆っていた黒い布を外す。

二人とも同じように汗だくで息を切らしていた。

…だが、俺は負けた。


吉昌「惜しかったな陽矢、前半に力を使い過ぎて後半で何度か隙が出来た。暦、お前はある程度技術で補っているとはいえお前も陽矢と同じく後半に一瞬隙が出来た。

 二人とも、長期戦になることを考えずに一気に決着をつけようとするから、後半まで集中力が持たずに隙ができるんだ」


暦「どうもさっさと終わらせようとしちまうんだよな…」


陽矢「俺も…」


吉昌「まぁ、今までは時間が関係していたこともあるが…。この先、長期戦にならなければならない時があるだろう」


夜「細かいところまで見ているのですね」


夜桜「知らないうちにここまで成長しているとはね…驚いたよ」


陽矢「…ところで、夜と夜桜はこういうのやらないのか?」


吉昌「二人はこういった戦闘より、援護に回った方が良いんだ」


まぁ見たところ夜はともかく夜桜は「僕サポート専門だよー」みたいな顔して…

…?


『もうすぐ、世界が闇に包まれる時が…如何なる神でも抗えぬ世界が来てしまう。唯一の希望は、君だけなんだ』


急に声が響いてきた。


陽矢「…」


暦「どうした?」


『どうか、もう一度彼に…父様に会うんだ。どんなに辛いことがあっても、君は乗り越えて…常闇を打ち払って…──』


暦「…おーい」


陽矢「…うわぁ!?」


暦「うおぉっ!?な、なんだよ急に」


陽矢「…あ、い、いや…何でもない」


声がやんだかと思えば目の前に暦がいて驚いた…。

…ある意味集中力が高いっていうのも問題か。

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