連行からの話
…何か知らないが、休憩している間に暦達が連れてこられたかと思えば…。
「何をしておった暦―――ッ!夜桜―――ッ!修行を抜け出すとは言語道断!」
「ギャァアアアアアアッ!!!」
「ごめんなさぁあああいい!!」
「夜、お前も連帯責任だ!」
「すみませ…うわぁあああああっ!!」
「親父容赦ねぇえええッ!!」
陽矢「…うわぁ…ひでぇ」
恐ろし過ぎて中が見れない…。
「陽矢。入って来ても良いぞ」
陽矢「はっ、はいっ!」
急に呼ばれて心臓が跳ねた。あと声も裏返った。
俺はビビりながらも、戸を開けた。
案の定…全員鉄槌を喰らった後に正座させられていた。その前には竹刀を杖のように持って立っている叔父様が見えた。
吉昌「どうした。何をそんなに驚いている」
陽矢「え、えーっと…その…」
この人は絶対怒らせないようにしようと思った。
────────────
暦「なんだ、お前思い出せてたのか」
夜「記憶が戻ったようで一安心しました」
夜桜「まぁそろそろだと思っていたよ」
未だに正座させられている三人に叔父様が俺のことを話した。
驚くかと思ったが、驚いたのは俺の方だった。
陽矢「え、えぇーっ!?」
暦「あたりめーだろ。俺あん時お前の傍にいたんだからよ。そもそも俺と伯父さんが出てこれたのはお前のおかげでもあるし」
夜「私はなんとなくというか、吉平様に助けられた時というか…まぁ、薄々ですね」
夜桜「先輩から君達を見守るように言われた時、事前に聞いてた」
陽矢「重要単語が多すぎるわ」
よ、よし、整理しよう。
暦は俺が傍にいたから知っていた、で。夜は父様に助けられたというか、そこは曖昧で。夜桜は事前に父様から聞いていた。
…おいこら待てや。
陽矢「え、えっと…?まず一から聞くけど。俺のおかげで出てこれたって…」
暦「ん?ああ、思い出したなら分かるだろ。お前毎日伯母さんに花届にいってた事。あの日も花摘んでただろ?俺が助けた時には花は四本に減ってたっぽいけど」
陽矢「…うん、まぁ」
暦「実を言うとさ俺、お前抱えてる時にちょっと拝借してな(笑)」
陽矢「…うん?」
暦「んで夜に一本こっそり仕込んで、二本はお前に、一本は俺が」
陽矢「…」
暦「いやそんな顔すんなって…。あの花は元々天照の祠に咲いている神聖な花。万が一の時に備えて、それをお守り代わりにしてたんだよ。
おかげであの九尾野郎が出て行ったあとに、伯父さんは精神体だったものの、なんとか陽矢だけは氷の外には出せたんだ。…こっからは分かるな」
陽矢「…朝美達のいる神奉神社に、俺は隠された」
暦「そういうことだ。それからは何年か掛ったものの、伯父さんは体ごと。俺はまぁその…アレな」
吉昌「日頃の行いだ」
暦「そういうなって…。とはいっても伯父さんはかなりの力を使ったらしく、本来の力が戻るのには時間がかかるんだ。だからまぁ、コロボックルみたいな姿になった俺とともに暫く姿を晦ましていたんだ」
夜桜「まぁ、その途中偶然僕と出会ってしまったって訳なんだよね」
陽矢「…?」
夜桜「あ。言っておくけど、先輩の居場所は僕にも暦にも分からないよ。
そうだな…『敵の目を欺くには味方からという。だからお前達にも言う訳にはいかない』なんて言ってたね」
吉昌「…兄さんらしいな」
陽矢「…それで、夜はどうして知っていたのは」
夜「…さっきも言った通り、私はあの後…吉平様に助けられたからです」
暦「たぶんだが、お前を母さんの所まで連れて行った後だろうな」
夜「…。ヨウヤ君を助けに暦様と吉平様が湖に飛び込んだ後、私は九尾に妨害され、その衝撃で気絶してしまいました。
気がつくと、精神体だけの吉平様が目の前にいたのです」
『ヨウヤは日美子の所に逃がした。
…いつか、ここでの記憶をなくしたヨウヤがお前の前に現れるだろう。その時は…あの子を守ってくれ。
それと…私のことは、行方が分からなくなったと伝えてくれ。私はまだ、姿を見せる訳にはいかない』
夜「…私はそのあと、また気を失いました。次に目が覚めた時は、皆様に介抱された時です。
私は言われた通りに…皆様に行方不明と伝えました」
吉昌「…滅多に嘘をつかないお前だからこそ、信じると思ったのか…」
夜桜「その通りに、信じちゃったんだけどね…」
…父様。
今は、一体どこにいるんだ…?




