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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
陸幕
36/61

湖下祠

「…おい、こら。起きろー。おいー、起きろってのー」


陽矢「…うっ…。…?」


「よーし、目が覚めたな?

 …ったく、再会したと思ったら、ぶっ倒れてるなんて驚いたぜ」


どこかで聞いたような気がする言葉を聞きながら目が覚めた。

上半身を起こし周りを見る。そして俺の肩を見ても、レキはいない。


「どーこ見てんだ?こっちだこっち」


陽矢「…ん?」


後ろを振り向くと、…なんか髪の長い男の人がいるんだが。


「ん?なんだよその目は。俺だ俺、お前の肩で世話になったな」


陽矢「…アンタ、レキ…なのか?」


「おう。これが俺の本当の姿、霊神村陰陽師の神支寺暦(カミシジコヨミ)サマだ!」


陰陽師‐神支寺暦。

確かによく聞けばレキと同じ声だな…。…ん?


陽矢「か、神支寺?アンタ今神支寺って言ったか…?」


暦「ん。おう、言った言った」


陽矢「…えーっと、まさか朝美の…」


暦「俺は朝美の兄貴だ。んで夜月の幼馴染で友人だ」


マジかー。うわー、よく見たらスゲーそっくりー。目も二重だし眉毛が太いところとか…


「陽矢殿ー。暦様ー」


暦「おっ、夜。無事だったみたいだな」


夜「暦様…いきなりご自分の体に戻られて大丈夫なのですか…?」


暦「ん?ああ、そういやなんともねぇな。体も特に不自由な部分とか無いし」


陽矢「…あのー。二人は一体…?」


暦「ああ。夜は俺の式神なんだ。ちなみに名前の由来は夜月からな」


いや由来とか知らんわ。


夜「…先程、湖下祠全体を見てきましたが、吉平様はどこにも居りませんでした」


暦「まぁ、あの人なら俺みたいに精神だけ外に飛び出すんじゃなくて、少し時間はかかるが体ごと外に出れただろうな」


陽矢「…凄い、人なのか?」


暦「まぁな。俺と比べ物とならない程な」


陽矢「…そりゃそうか。夜月の父さんだもんな」


暦「…」


夜「…」


陽矢「…?」


俺なんか変なこと言ったか?

妙に真剣な顔っていうか、なんつーか。


暦「…えっと、ああ。そうだったな。そうかそうか…うんうん」


陽矢「…?」


なんか勝手に納得されてもなー…。


暦「…さて、陽矢」


陽矢「ん?何だ…うおっ!?」


急に後ろを向いたかと思うと…目の前に銀色の刃が向けられた。


夜「こ、暦様!」


暦「止めるな夜。

 陽矢。今から、俺がこの体に戻っている間に…俺はお前に、戦術を教える」


陽矢「せ…戦術を?」


暦「おう。…我が二刀『薄明(ハクメイ)』と『薄暮(ハクボ)』を持って、『百』の執行者であるお前に、俺が持っている全てを、叩き込む。

 否定はさせねえ。…俺は外に出られないかもしれない、だから、今出来ることをする」


陽矢「暦…。…分かった」


俺は十六夜を構え、暦と対峙する。


暦「そうこなきゃな…。こい、陽矢!」


夜「え、ええぇー…」










































──かれこれ数時間後。やっと戻ってこれた。だが、今までとは違うことが起きた…。


暦「…あー、うん…。なんか、戻ってこれたみたいだな…」


陽矢「…おう」


現在、俺と暦は擦り傷やら掠り傷やらで細かい傷だらけだ。

あと、意外なことに祠から暦も出られた。


夜「お二人とも…。どうするんですか、夜月様と桃芽様に怒られますよ」


暦「ゲッ。ヤッベェそれは勘弁だ…桃芽はともかく夜月怒らせるなんてただじゃ済まねぇよ…」


陽矢「…そういえば、二人の姿が見えないんだが」


「二人なら村長の屋敷に向かったよ」


陽矢「…ん?」


聞き覚えのある声がしてその方向を見た。

そこには、笑顔で立ってる夜桜の姿があった。


夜桜「どうやら間に合ったみたいで良かったよ。暦」


暦「間に合った?…どういうことだァ?」


夜桜「先輩の札、結界解くのに間に合ったってこと」


先輩?先輩って…


暦「はぁ!?吉平さんここに来たのか!?」


陽矢「…はい!?」


夜桜「違うよ。僕が先輩から直々に預かった仕事だよ。君を祠の外に出すことが、アレを倒すのに必要なんだってさ」


暦「…アレを、倒す?」


夜桜「まぁまぁ。詳しい話は屋敷に行ってから話すよ。僕は桃芽に言われて君達が出てくるのを待ってたんだから」


待ってた、なー…?

俺と暦は互いの顔を見合って、溜め息が出た。

説教喰らうことを覚悟して、二人のいるらしい村長の屋敷へ向かった。

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