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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
伍幕
28/61

月夜の会話

相変わらず寝付けず、外を眺めていた。


「まだ、気にしているのか?」


陽矢「…夜月」


心配そうでいて、どこか俺にはない強さがある目。思わず目を逸らした。

俺の隣に夜月が座る。


夜月「…人には人のやり方というものがある。お前はお前なりに…」


陽矢「どうして、そうも強くいられるんだよ」


夜月「…」


自分でもわかってる。これはただの八つ当たりだ。

俺より少ししか年が変わらないのに、こうも大人なのが羨ましい。


夜月「…私は、強くなんか、ないさ」


陽矢「…。…!?」


チラッと見ようと思ったつもりが、驚いてはっきりと見てしまった。

今まで見たことない、夜月の悲しそうな顔を。


夜月「…父上も、弟も、友人も、お嬢も…何一つ守れなかったのに、どこが強いのか…私にはわからないな」


陽矢「…」


夜月「…なんだ。意外だったか?」


陽矢「…いや、その…」


俺は一つ、気になったことがあった。桃芽にも聞いたことだ。


陽矢「…夜月は、俺の家族のこと…何か知ってるか」


夜月「…どうだろうな」


陽矢「前に、桃芽から聞いたんだけど…霊神村にいるかもしれないって」


夜月「…。…霊神村、か。そうかもしれないな」


夜月は月を見上げ、再度俺に顔を向けた。


夜月「霊神村なら、私や桃芽の故郷だ。村のことなら話せるだろう」


陽矢「…じゃあ、どんなところだったんだ」


夜月「そうだな…。

 とても長閑(のどか)な土地で、村の中央に四神を従える神を祀る祠があって、それを私の祖父が見守っていた。

 私はよく、弟と友人を連れて…村のあちこちを遊びまわっていた。とても平和な場所だった。…『あの日』が来るまでは」


陽矢「あの日?」


夜月「…妖魔・九尾が村を襲ったんだ。

 突然のことだった。大人達は向かっていったが、相手が悪かった。奴は、『大妖怪』と呼ばれる奴の手先で、…村一番の戦士で、同時に陰陽師でもある父上でさえも…敵わなかった。

 私は桃芽とともに、日美子様に助けられたが…。その後のことは私も知らない。唯一つわかっているのは…

 『父・吉平と弟・ヨウヤ。友人の(コヨミ)が行方不明になった』ことだ」


陽矢「…!?」


夜月「…驚いたろう。お前と私の弟は、名が同じなんだ。ただ、お前の場合は太陽の陽に矢で陽矢だが…弟は片仮名だ。

 弟は『ボク』と言っていたし、容姿も喋り方も中性的だった。…昔、桃芽が女物の着物を着せたら意外と似合っていた」


なんてことしてるんだ桃芽。ていうかそんな状況を見てたんかい。

…ん?まてよ…。


陽矢「…まさか…」


夜月「…どうかしたのか?」



──僕は…陽炎っていうんだ。



まさか、そんなことってあんのか…?もしかしたら、陽炎が…夜月の弟なんじゃ…




























「──どうか…我が子らが、奴の思惑通りにならないでくれ」

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