西地村
──西地村。
ここに、最後の四神がいるんだな。
俺達がついた時には、日がそれなりに沈んでいた。
陽矢「…」
…気のせいだろうか。この村はどこか異様な感じがする。
レキ『なーんかさっきから変な気配がするな…』
夜月「…」
桃芽「何かこう、…いつかの村での時を思い出しますわね」
村人が一人も見えない。見た限りどこも完全に戸締りをしている。
刹那。殺気を感じた。
『ギャギャッ!』
陽矢「はっ!」
考えるよりも先に体が動いた。…わざわざ巫月夜を出さなくても勝手に懐から出てきて十六夜の姿になってるな。
最初に出てきた妖怪を初めにぞろぞろと妖怪が出てきた。
レキ『おー、腕を上げたじゃねぇか』
陽矢「神様相手にしてたら流石に上がるっての」
夜月「…」
桃芽「来ますわよ!」
桃芽の声と同時に妖怪達が一斉に掛かってくる。
最初の頃とは違う、逃げ回ってるわけにはいかない。
──そこまでだ!」
急に聞こえてきた男性の声に、驚いた。
ふとそっちの方を見ようとしたがその必要はなく、向こうから俺の前に立った。
…ていうか、たぶん民家の屋根いたんだろうな。現れた時の状態からして。
…ん?男性の声で一目散に妖怪達が姿を消した。
陽矢「…スッゲー…」
「全く…近頃の妖怪どもは、子供にさえ手を出すのか」
振り返った時、その顔に驚いた。
綺麗な女性に見える。髪も長いし。
「大丈夫か。お前達」
陽矢「…あ、はい」
「私はこの西地村の村長、オオヤマだ」
西地村村長‐オオヤマ。
綺麗な女性に見えるんだけど、やっぱ男性だよな…?
------------------------
オオヤマさんの家に案内され、白虎の祠には明日向かうことになった。
オオヤマ「ここ最近、妖怪が村の中でよく見られてな…。大変だったろう」
陽矢「ああ、いえ。えっと、そうでもないです」
レキ『コイツは一応「百」の執行者だからな』
オオヤマ「…そうか。お前が『百』の執行者か」
屋敷の中に入ると、そこには見覚えのある人物が…。
夜桜「……」
桃芽「兄さっ、……」
陽矢「…?」
オオヤマ「夜桜には、村の結界を張ってもらっている。さっきも言った通り、ここ最近妖怪が村でよく見かけるようになったからな」
夜桜「…………。…フゥ…、これで一先ずは…」
オオヤマ「ありがとう、夜桜」
夜桜「いえいえ。これもまた陰陽師として、僕の仕事なので。先輩の分までしっか…り…」
桃芽「兄様!」
突然、夜桜が倒れた。
自力では立てそうにもなく、桃芽に支えられている。
夜桜「あははは…流石に神様の代わりは大変だったかな…」
レキ『ったく無茶しやがって…』
陽矢「…神様の代わりって…。…まさか」
夜桜「ああいやえっと、大丈夫だよー」
オオヤマ「…今現在、母上の結界が薄れ、その代わりをしてくれたのだ」
陽矢「そん…。…っ」
オオヤマ「どこへ行くつもりだ」
陽矢「白虎の所に…」
夜桜「それは駄目だよ、陽矢君…。君はさっき、玄武様と戦ったばかりで、その上…どうやら妖怪とも少し遣り合ったみたいじゃないか。
そんな状態で、まともに戦えるわけがないだろう」
陽矢「けど!」
夜桜「陽矢君」
陽矢「……。…分かった」
子供な俺が、悔しかった。




