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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
肆幕
26/61

道陰陽矢

レキ『お、おいおい…お前いきなりなに言い出すかと思えば…「本当の名前が何か」だ!?』


桃芽「貴方は、『道陰陽矢』でないと?」


陽矢「…分からない。分からなくなってきたんだ…。少しずつ記憶が戻れば戻る程、俺が何なのか…」


夜「陽矢殿…」


夜月「…」


顔を俯かせていると、頭に手を乗せられた。

その相手が俺の今の目線に合わせしゃがむ。


夜月「お前が何者かなんて、気にすることでは無いだろう」


陽矢「…けど」


夜月「何者であろうと、お前はお前だ。陽矢。私達の中では…本当の名を思い出すまでは、お前は『道陰陽矢』であることには変わりない。

 そう気に悩むな」


陽矢「……。…ありがとな、夜月」


こうやって見ると…夜月が姉のように思えてくるな。

…まあ、現に弟がいたらしいしな。…てことはあれ、俺子供扱いされてるのか?

――――――――――――

──その頃、夜桜。


夜桜「あいたった…ヒドいなー僕の虚無僧衣装持って行っちゃうんだから」


「はは…すまない、夜桜」


夜桜「まぁ、貴方もあの二人の前に出られないことは分かってますから、あまり文句は言いませんがね。

 それに、もうそろそろ出てくる頃だと思いましたよ。先輩」


「神通力、か」


夜桜「いえいえ。僕はただ、貴方ならアイツが生身で出られない所から無理矢理出てきて、それで動けるようになるのがだいたいこのぐらいだろうと考えただけですよ」


「…やれやれ、君には恐れ入るよ夜桜。だからこそ、私が表に出てこれない間の、あの子等の護衛を任せられた」


夜桜「…さて、僕は一足先に村に向かいます。倭代さんからの御遣いもありますし」


「倭代は相変わらず人使いが荒いみたいだな…」


夜桜「慣れればそうでもありませんよ。それだけ僕が信用されているってことでしょうし」


「そうだな。それがわかってこそ、一人前だ」


夜桜「それでは、僕はこれで。…あ、そうだ。もしよかったら、『その時』までその衣装お貸ししますよ。どうやらここからは僕じゃなくて、貴方が彼らを見守った方が良さそうですしね」


「…ありがとう、夜桜」

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