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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
肆幕
24/61

緑亀

玄武『我が名は玄武。四神の一人、草木を司る者なり。

 「百」の執行者よ、よくぞ我を正気に戻してくれた。心から感謝するぞ』


さっきまでなかった花がいたるところに咲いている。

なるほど、よくよく思い出せばさっきは蔦や蔓だらけだったが、今は色々な種類の花が咲き誇ってる。


玄武『「百」の執行者よ。我との戦いではなかなか面白い機転を利かせたようだな、それもまた執行の一つの手である』


陽矢「そう…なのか?」


玄武『規則に縛られたままでは、思うように身動きもとれなくなるだろう』


さっき物理的にそうだったわ。文字通り縛られててな。


玄武『…と、お主。名を陽矢というらしいな』


陽矢「ん。あ、はい」


玄武『陽矢…。お主、徐々に記憶が戻り始めておるな。“この日神祀にいた頃”の記憶が』


陽矢「…え?」


日神祀にいた頃の…記憶?

俺が、ここにいたってことか…?


桃芽「…どういうことですの?」


夜月「…」


玄武『お主は昔、この地にいたのだ。「あの時」が来なければ、お主は「九十九」により外の土地に行くこともなく、この地で生涯を過ごしていただろう』


陽矢「あの時って…あの時って何だよ。一体何があったんだよ」


玄武『妖魔・九尾(ツヅラオ)だ』


陽矢「…ツヅ、ラオ?」


玄武『お主は知らぬだろうが、お主は童とは思えぬ程の霊力を持っていた。妖怪どもにはお主の存在が目障りだったのだ。

 お主は一度、九尾に殺されかけたこともある。その時、若い陰陽師と「九十九」が救出に向かい助かったのだがな』


夜「…」


玄武『「百」の執行者、道陰陽矢よ。我ら四神が仕えし主の命により、お主に、草花を操る我が力を授けよう』


十六夜から笛の姿に戻った巫月夜に玄武の力が宿る。


玄武『祠の外に導こう。少年らよ、最後の四神…白虎を、頼んだぞ』

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