火鳥
朱雀『──私は朱雀。四神の一人、火を司る者なり。
少年よ。よくぞ荒れ狂う私を恐れず立ち向かってくれた。感謝する』
最初の熱気はなく、俺達のいる空間は暖かな空気になっている。
陽矢「礼なんて…ましては神様に言われるものじゃないさ。俺はただ、…俺が何者かを知りたい。それだけだ」
朱雀『ほう…己が何者か、か。…其方は不思議だ。「あの男」と同じ強く温かな気配がする』
陽矢「…あの男?」
朱雀『「陰陽寺吉平」。…宝刀・十六夜、もとい神笛・巫月夜。其方の先代…九十九代目執行者だ。そうだな…九十九と呼ばれておったな』
夜月「…父上」
陽矢「えっ…」
…じゃあ、この笛は…元々、夜月の父さんの…。
──貴様…どこでこれを手に入れた。
──何故貴様がこの笛を持っておる…この笛は…。
陽矢「…」
レキ『陽矢…』
夜「…」
夜月「私のことは気にするな。…何らかの形で、お前に引き継がれたのだろう」
朱雀『さて、其方よ。名は何という』
陽矢「…道陰陽矢だ」
朱雀『道陰陽矢、か。…其方は百代目執行者…「百」と呼ぶことにしよう』
モモって…。
桃芽「…桃は昔から陰を跳ね返す陽の力があるのです。…『陽矢』という名前に相応しい渾名じゃないですの」
朱雀『陽矢よ。我ら四神が仕えし主の命により、「百」の汝に、烈火を操る我が力を授けよう』
青龍の時と同じく、笛に朱雀の力が宿る。
朱雀『さて…其方等を祠の外に導こう。我らの同胞のことを、任せたぞ』




