南焔村
──南焔村
村について早々…
陽矢「…なんだよこれええええええッ!?」
レキ『知るかよおおおおおおおおッ!!』
何故か、村中妖怪が暴れており…
陽矢たちは逃げている最中だ。
夜月「くっ…!(なんという失態……怪我などで全力が出せんとは…)」
夜「夜月様! あまり無理をなさらず!」
桃芽「何故急に村で妖怪が悪さを…」
陽矢たちから遠い場所。
村を見渡せる高い樹の上に虚無僧が立ち、村を見ていた。
「…これは一体…昼間だというのに村人の姿が一人もないとは…
その上、普段は大人しい妖怪が何故村で悪さを…」
そんな時、悲鳴のような声が聞こえてきた。
悲鳴の聞こえる方向を見ると…沢山の何かに追いかけられる数人の者たちの姿、村人ではなく旅人だ。
「……!あの者逹は…!!」
------------------------
陽矢「…!」
気が付くと、目の前に湖が広がっている。
どうやら湖畔まで来てしまったらしい。
陽矢「まずい…行き止まりだ!」
レキ『何だとッ!?』
夜月「くっ…」
妖怪たちに囲まれ、まさに『背水の陣』となった陽矢たち。
じりじりと距離を詰められる。
レキ『…!
陽矢! お前青龍サマから力を授かったんだよな!?』
陽矢「あ、ああ…」
レキ『だったらお前も戦えるだろ!よし行け!』
陽矢「…行けるかッ!!」
その瞬間だ。
一匹の妖怪が、陽矢に襲いかかった。
陽矢「うわあっ!!」
夜月「!陽矢!!…くっ!」
夜「夜月様!!」
桃芽「まさか最初から彼を狙って…!?」
救出をしようとするが、周りの妖怪たちが行く手を阻んでくる。
陽矢は首を絞められながらも妖怪に抵抗し、レキも必死に助けようと抵抗する。
レキ『何すんだよ!今すぐコイツを放せ!』
陽矢「くっ…そ…」
レキ『コノヤロ!!放せ!』
意識が徐々に薄まる。
ここまでかよ…
「──なんて、もう諦めるのかい?」
陽矢「…っ!?」
謎の声と共に辺りに花吹雪が舞い始める。
突然のことで陽矢たちは驚き、動きが止まる。
陽矢「…なん…だよ…」
レキ『…この花吹雪は………!…まさか!』
「──桃桜の神風」
花吹雪が勢いよく吹くと…
妖怪たちは消えうせ、首の締め付けがなくなった。
陽矢「っ…ゲホッ…」
夜月「陽矢!!」
陽矢「うわあ!?」
何故か夜月が抱きついてきた。
相当心配したのだろう。
夜月「大丈夫か?…何ともないか…?」
陽矢「あ…ああ…?」
レキ『……』
夜「……」
陽矢は、夜月の行動に分からず戸惑っていた。
だが同時に…得体の知れない感情が、不思議と沸き上がってくる。
桃芽「……」
桃芽は警戒を解かず、辺りに集中した。
…いつ、来るのだろう。
「…ふふっ、あまいなぁ」
背後から気配を感じ、後ろを振り替えると目の前が布で覆われる。
…いや、後頭部の圧迫感からしてこれは…袖?
桃芽「…何いきなり抱きついてきてるのです?」
「久し振りだねえー」
桃芽「……人の話を聞いておりますの…?
このシスコン…」
少年は、どうやら桃芽の家族のらしい…(?)
「桃芽ー、心配したよー」
桃芽「……この……
…変態兄めがッ!!」
桃芽の護身術が夜桜に…
──数分後
桃芽「まったくこの兄は…油断も隙もありませんわ」
「あははは。桃芽はホント容赦ないねー」
陽矢「……」
このとき陽矢は…「コイツを敵にまわしたら死ぬ」と思った。
「…僕は桃芽の兄、花護寺 夜桜。
霊神村の新米陰陽師さ」
桃芽「チッ」
陽矢「(舌打ちした!?)」
若陰陽師-夜桜。
確かに……そういわれれば桃芽と似ている。
桃芽「…で、兄様。何用でここへ?」
夜桜「…うん?」
皆「「………」」
レキ『……お前まさか…ただ妹に会いに来ただけじゃ…』
夜桜「そっ…そんなことないよっ!?
ぼぼ僕だって…ちゃんと理由があってここに来たんだよ!?」
レキ『じゃあ何でそんなに動揺してんだよ』
夜桜「…あー、いや実は…ちょっとお師匠様からあるお使いを頼まれてね…」
レキ『お使いだァ?
あの爺サマがお前に頼むとなると…相当忙しいってことか』
夜桜「…それどういう意味だい?」
陽矢「…?」
話についていけてない陽矢に、夜が説明をした。
夜「夜桜殿のお師匠様は、夜月様の祖父のことです」
陽矢「へぇ…って、え?」
レキ『ついでにあの爺サマは霊神村の先代村長だぜ』
桃芽「現在の村長はご子息である吉平様、つまり夜月の父が引き継いでおります」
夜桜「まあ…今はある事情で弟の吉昌様が代理をしているけどね…」
レキ『吉昌は朝美の父な』
陽矢「……つーことは…」
陽矢は夜月に顔を向けた。
夜月はそれとほぼ同時に顔をそらした。
陽矢「アンタ…結構凄いんだな…」
夜月「……」
陽矢「……次期村長、ってことなのか…?」
夜月「…私などではない。私よりも相応しい者が…」
陽矢「…?」
夜月「……何でもない」




