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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
参幕
13/61

南焔村

──南焔(ナンエン)


村について早々…


陽矢「…なんだよこれええええええッ!?」


レキ『知るかよおおおおおおおおッ!!』


何故か、村中妖怪が暴れており…

陽矢たちは逃げている最中だ。


夜月「くっ…!(なんという失態……怪我などで全力が出せんとは…)」


夜「夜月様! あまり無理をなさらず!」


桃芽「何故急に村で妖怪が悪さを…」



陽矢たちから遠い場所。

村を見渡せる高い樹の上に虚無僧が立ち、村を見ていた。


「…これは一体…昼間だというのに村人の姿が一人もないとは…

 その上、普段は大人しい妖怪が何故村で悪さを…」


そんな時、悲鳴のような声が聞こえてきた。

悲鳴の聞こえる方向を見ると…沢山の何かに追いかけられる数人の者たちの姿、村人ではなく旅人だ。


「……!あの者逹は…!!」

------------------------

陽矢「…!」


気が付くと、目の前に湖が広がっている。

どうやら湖畔まで来てしまったらしい。


陽矢「まずい…行き止まりだ!」


レキ『何だとッ!?』


夜月「くっ…」


妖怪たちに囲まれ、まさに『背水の陣』となった陽矢たち。

じりじりと距離を詰められる。


レキ『…!

 陽矢! お前青龍サマから力を授かったんだよな!?』


陽矢「あ、ああ…」


レキ『だったらお前も戦えるだろ!よし行け!』


陽矢「…行けるかッ!!」


その瞬間だ。

一匹の妖怪が、陽矢に襲いかかった。


陽矢「うわあっ!!」


夜月「!陽矢!!…くっ!」


夜「夜月様!!」


桃芽「まさか最初から彼を狙って…!?」


救出をしようとするが、周りの妖怪たちが行く手を阻んでくる。

陽矢は首を絞められながらも妖怪に抵抗し、レキも必死に助けようと抵抗する。


レキ『何すんだよ!今すぐコイツを放せ!』


陽矢「くっ…そ…」


レキ『コノヤロ!!放せ!』


意識が徐々に薄まる。

ここまでかよ…













































「──なんて、もう諦めるのかい?」


陽矢「…っ!?」


謎の声と共に辺りに花吹雪が舞い始める。

突然のことで陽矢たちは驚き、動きが止まる。


陽矢「…なん…だよ…」


レキ『…この花吹雪は………!…まさか!』


「──桃桜の神風」


花吹雪が勢いよく吹くと…

妖怪たちは消えうせ、首の締め付けがなくなった。


陽矢「っ…ゲホッ…」


夜月「陽矢!!」


陽矢「うわあ!?」


何故か夜月が抱きついてきた。

相当心配したのだろう。


夜月「大丈夫か?…何ともないか…?」


陽矢「あ…ああ…?」


レキ『……』


夜「……」


陽矢は、夜月の行動に分からず戸惑っていた。

だが同時に…得体の知れない感情が、不思議と沸き上がってくる。




桃芽「……」


桃芽は警戒を解かず、辺りに集中した。

…いつ、来るのだろう。


「…ふふっ、あまいなぁ」


背後から気配を感じ、後ろを振り替えると目の前が布で覆われる。

…いや、後頭部の圧迫感からしてこれは…袖?


桃芽「…何いきなり抱きついてきてるのです?」


「久し振りだねえー」


桃芽「……人の話を聞いておりますの…?

 このシスコン…」


少年は、どうやら桃芽の家族のらしい…(?)


「桃芽ー、心配したよー」


桃芽「……この……

 …変態兄めがッ!!」


桃芽の護身術が夜桜に…


──数分後


桃芽「まったくこの兄は…油断も隙もありませんわ」


「あははは。桃芽はホント容赦ないねー」


陽矢「……」


このとき陽矢は…「コイツを敵にまわしたら死ぬ」と思った。

「…僕は桃芽の兄、花護寺 夜桜(ヨザクラ)

 霊神村の新米陰陽師さ」


桃芽「チッ」


陽矢「(舌打ちした!?)」


若陰陽師-夜桜。

確かに……そういわれれば桃芽と似ている。


桃芽「…で、兄様。何用でここへ?」


夜桜「…うん?」


皆「「………」」

レキ『……お前まさか…ただ(桃芽)に会いに来ただけじゃ…』


夜桜「そっ…そんなことないよっ!?

 ぼぼ僕だって…ちゃんと理由があってここに来たんだよ!?」


レキ『じゃあ何でそんなに動揺してんだよ』


夜桜「…あー、いや実は…ちょっとお師匠様からあるお使いを頼まれてね…」


レキ『お使いだァ?

 あの爺サマがお前に頼むとなると…相当忙しいってことか』


夜桜「…それどういう意味だい?」


陽矢「…?」


話についていけてない陽矢に、夜が説明をした。


夜「夜桜殿のお師匠様は、夜月様の祖父のことです」


陽矢「へぇ…って、え?」


レキ『ついでにあの爺サマは霊神村の先代村長だぜ』

桃芽「現在の村長はご子息である吉平(ヨシヒラ)様、つまり夜月の父が引き継いでおります」

夜桜「まあ…今はある事情で弟の吉昌(ヨシマサ)様が代理をしているけどね…」


レキ『吉昌は朝美の父な』


陽矢「……つーことは…」


陽矢は夜月に顔を向けた。

夜月はそれとほぼ同時に顔をそらした。


陽矢「アンタ…結構凄いんだな…」


夜月「……」


陽矢「……次期村長、ってことなのか…?」


夜月「…私などではない。私よりも相応しい者が…」


陽矢「…?」


夜月「……何でもない」

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