路中
──南焔村
陽矢たちは、そこに向かうのだが…
桃芽「…夜月。アナタ何か言いました?」
夜月「何も言っていない。全部私のせいだと思うでない」
夜「…やはり、いきなりあんなことを言われては…」
陽矢はずっと、考え事をしていた。
東清村でミクマリに言われたことだ。
──貴方には神々を静める事が出来る資格があるようですね。
何故…俺なのだろう。
その言葉がグルグルと頭の中でまわっている。
しかし、不思議と心のどこかで理解している自分がいる。
…これは一体どういうことなのだろうか…?
夜月「…そのうち転ぶぞ」
陽矢「…うおっ!?」
夜月「…だから言っただろう」
派手に地面に転倒した陽矢は、顔をあげた時…
何故か、千里眼が勝手に発動した。
陽矢「…え?」
千里眼で見えたのは…陽炎の姿だ。
微笑んでいるが、どこか哀しそうだ。
何かを喋っているようだが何も聞こえない。
陽炎『__…______…』
何を…言っているんだ…?一体何処に…
それに応えるかのように、微かだか声が聞こえた。
『ヨウ…ミナラ…ダイジョ…』
しかし、ハッキリとは聞こえない。
俺に何を言いたいんだ…?
「…何をボーッとしているんだ。さっさと起きんか」
夜月の声で、千里眼が解けた。
夜月「全く…世話が焼ける奴だ」
襟を掴まれ、持ち上げられそのまま立たされる。
陽矢「あ、ありが…と?」
夜月「こんなこと。礼を言われる程ではない」
桃芽「素直に言えないのですねー」
夜「やはり、照れくさいのでしょう」
夜月「…お前達、覚えていろよ…」
顔を赤らめた夜月が、湧き上がる怒りを何とか抑え込む。
そんな時…
『おーい、陽矢ーァ!』
陽矢「この声……げっ…」
後ろを振り返ると…
ピョンピョンと地面を跳ねながらレキがこっちに向かってきていた。
夜は錫杖を傾けてレキを先に乗せ、それを陽矢に向けた。
レキ『ふー、やっと追い付いたぜー。 やっぱこんな姿にされたら、色々と不自由だぜ』
夜月「…なんだこの、
…蛍のようなものは。コロボックルか?」
そんなことを言われたレキは、体の周りの光を真っ赤にして起る。
レキ『はあ――ぁ!?誰が蛍だ!?コロボックル!?
俺はなあ、こんな姿にされたけど元は人間!!』
夜月「そ、そうか…それはすまない」
レキの勢いに、思わず謝る夜月。
それでレキの怒りが収まったようだ。
レキ『…さて、陽矢。ミクマリさんからお前に届け物があったんだ』
レキは、そんな小さな体のどこに持っていたのか分からない箱を陽矢に渡す。
陽矢はその箱をおそるおそる開けてみる。その中には…
陽矢「……青い、勾玉?」
陽矢の持っている巫一族の勾玉と比べると小さい。
レキは、それについて説明した。
レキ『それはな、“四神宝玉”っていう宝の一つ、“蒼水玉”といってな。
それがないと、十六夜に宿した青龍サマの力は使えないんだってさ』
陽矢「…何でそれを早く渡さなかったんだ…?」
レキ「うーん…まあ、あの人はしっかりしてるように見えるが…
実は結構、抜けてるトコがあるんだよな…」
陽矢「……あそ」
桃芽「…ところで、貴方が何故ここまで?」
桃芽がその質問をすると、心なしかレキの光が強く輝いた。
レキ『良くぞ聞いてくれたな!実はな…』
陽矢たちは、レキの言葉を待った。
レキ『…陽矢。
お前のサポートをしに追いかけてきたんだ!』
陽矢「…は?」
レキ『いやー、お前危なっかしいしな。
それに俺、霊神村に戻んねーといけねーし』
陽矢「……訳が分からん」
レキは錫杖から、陽矢の肩に跳び移った。
陽矢「うわぁ……」
レキ『なんだよ“うわぁ”って。
祠でも乗ってたじゃねえかよ』
陽矢「いや…何て言うかその、木曜夜七時の…」
レキ『やめいやめいやめいそれ以上言うな。よりによってお前が言うな』
桃芽「まさか遂に…作者の脅威が彼にまで…」
夜月「お前もそんなことを言うな」
…そんなこんなで、南焔村へ向かう一行であった。




