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陰陽師物語  作者: 睦月火蓮
弐幕
10/61

自分の使命

次に気が付いた場所は…村長の家だった。

外を見ると、既に暗くなっていた。


夜「…お気づきになられたようですね」


陽矢「…えっと…」


夜「夜です。

 …青龍の祠の前で倒れていたそうですね」


陽矢「…そうなのか?」


夜「夜月様が陽矢殿を見つけたそうですから。

 それはもう、傷だらけになりながら必死に…」


陽矢「…アイツが…」


横を見ると、夜月が安堵の顔で寝ている。

普段見せている表情とは違い、どこか優しい。


夜「…あんなになるまで、一生懸命捜していられて…

 …あの方と、重ね合わせているのでしょうね…」


陽矢「…?」


夜「…さあ、お休みになられてください。

 まだまだ子供なんですから、夜更かしはあまりよくはありません」


陽矢「…」


子供じゃない。

そう夜に言い返そうと思ったが、返って子供っぽい気がするし、なんだか自然と眠気がしてきたので、そのまま眠った。


──翌朝


綺羅に叩き起こされて、目が覚めた。

文字通り、顔を叩かれたので手形が赤く残っている。


夜「あ、おはようござ…

 …凄い顔ですね…」


陽矢「…綺羅に叩き起こされたからな…」


(力加減間違えちゃった…)

(これは流石に…)

(朝から凄い音がしましたわね…)

------------------------

ミクマリが話があると、座敷に呼び出された。


ミクマリ「…先程父上から先日の話を聞きました。

 巫月夜…十六夜に水龍の力を宿したことを」


笛を出すように言われ、ミクマリに笛を渡す。

ミクマリが笛を撫でると、刀…十六夜に変わった。


夜月「笛が刀に…!?」


ミクマリ「…『四神の君主に導かれし者。水龍の力、月に授かり、己の使命を知る』

 …これがこの村の言い伝えです」


陽矢「言い伝え…?」


十六夜を笛の姿に戻し、陽矢に返す。

ミクマリは全員の顔を見ると、再び陽矢に目を向けて説明をした。


ミクマリ「陽矢君。貴方は父上に、力を授かったのですね」


陽矢「あ、はい…」



夜月「何…?」


三人とも、その話しには驚いたようだ。

何せ5神のうち一人、青龍から力を授かったなど、普通あり得ない事だ。


ミクマリ「…実を言うと、この東清村以外の三つの村は…ここ最近、異変が起きたようです」


桃芽「…異変、というのは一体?」


ミクマリ「…各村の村長の話によると…あまり信じたくはありませんが…」


一度、言葉を区切る。

目を見ると、信じられないという目をしている。


ミクマリ「…各村に祀られている、神々が…村を襲っているそうです…」


夜月「何だと…!?」


夜「何故そのような事が…神々は一体…」


ミクマリ「私にも詳しくは分かりません…ですが、話によると…

 何者かの笛の音が聞こえた。とのことで…」


笛の音…。

陽矢たちには、思い当たる人物がいた。


夜月「天邪鬼か…」


陽矢「あの変人か…」


ほぼ同時に、陽矢と夜月が言った。


桃芽「仲が良いですわね」


陽矢・夜月「「全然違う」」


ミクマリ「…陽矢君。貴方には神々を静める事が出来る資格があるようですね」


陽矢「………え?」


ミクマリ「父上より水を操る力を授かったのなら、そういうことです」


陽矢「いやいやいやいや…え?俺が…?」


ミクマリ「はい」


余りにも唐突すぎる話に、陽矢は自覚が出来ないようだ。

しかし、不思議なことに話は理解できた。


それが導かれた者ということに、陽矢は気付いていない。

ミクマリ「…ここから最も近い場所は、南焔(ナンエン)村。

 火を司る神、朱雀を祀る所です。

 そこで、新たな力を授かると良いでしょう」


陽矢「…分かりました」


そう答えた陽矢の目には、決意の色が滲んでいた。


















「…うん。どうやら自覚をし始めたようだ。

 だけど、次からはそう簡単にはいかないか…」


その様子を遠くから見ていた、虚無僧が一人呟き、何処かへ去っていった。

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