自分の使命
次に気が付いた場所は…村長の家だった。
外を見ると、既に暗くなっていた。
夜「…お気づきになられたようですね」
陽矢「…えっと…」
夜「夜です。
…青龍の祠の前で倒れていたそうですね」
陽矢「…そうなのか?」
夜「夜月様が陽矢殿を見つけたそうですから。
それはもう、傷だらけになりながら必死に…」
陽矢「…アイツが…」
横を見ると、夜月が安堵の顔で寝ている。
普段見せている表情とは違い、どこか優しい。
夜「…あんなになるまで、一生懸命捜していられて…
…あの方と、重ね合わせているのでしょうね…」
陽矢「…?」
夜「…さあ、お休みになられてください。
まだまだ子供なんですから、夜更かしはあまりよくはありません」
陽矢「…」
子供じゃない。
そう夜に言い返そうと思ったが、返って子供っぽい気がするし、なんだか自然と眠気がしてきたので、そのまま眠った。
──翌朝
綺羅に叩き起こされて、目が覚めた。
文字通り、顔を叩かれたので手形が赤く残っている。
夜「あ、おはようござ…
…凄い顔ですね…」
陽矢「…綺羅に叩き起こされたからな…」
(力加減間違えちゃった…)
(これは流石に…)
(朝から凄い音がしましたわね…)
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ミクマリが話があると、座敷に呼び出された。
ミクマリ「…先程父上から先日の話を聞きました。
巫月夜…十六夜に水龍の力を宿したことを」
笛を出すように言われ、ミクマリに笛を渡す。
ミクマリが笛を撫でると、刀…十六夜に変わった。
夜月「笛が刀に…!?」
ミクマリ「…『四神の君主に導かれし者。水龍の力、月に授かり、己の使命を知る』
…これがこの村の言い伝えです」
陽矢「言い伝え…?」
十六夜を笛の姿に戻し、陽矢に返す。
ミクマリは全員の顔を見ると、再び陽矢に目を向けて説明をした。
ミクマリ「陽矢君。貴方は父上に、力を授かったのですね」
陽矢「あ、はい…」
夜月「何…?」
三人とも、その話しには驚いたようだ。
何せ5神のうち一人、青龍から力を授かったなど、普通あり得ない事だ。
ミクマリ「…実を言うと、この東清村以外の三つの村は…ここ最近、異変が起きたようです」
桃芽「…異変、というのは一体?」
ミクマリ「…各村の村長の話によると…あまり信じたくはありませんが…」
一度、言葉を区切る。
目を見ると、信じられないという目をしている。
ミクマリ「…各村に祀られている、神々が…村を襲っているそうです…」
夜月「何だと…!?」
夜「何故そのような事が…神々は一体…」
ミクマリ「私にも詳しくは分かりません…ですが、話によると…
何者かの笛の音が聞こえた。とのことで…」
笛の音…。
陽矢たちには、思い当たる人物がいた。
夜月「天邪鬼か…」
陽矢「あの変人か…」
ほぼ同時に、陽矢と夜月が言った。
桃芽「仲が良いですわね」
陽矢・夜月「「全然違う」」
ミクマリ「…陽矢君。貴方には神々を静める事が出来る資格があるようですね」
陽矢「………え?」
ミクマリ「父上より水を操る力を授かったのなら、そういうことです」
陽矢「いやいやいやいや…え?俺が…?」
ミクマリ「はい」
余りにも唐突すぎる話に、陽矢は自覚が出来ないようだ。
しかし、不思議なことに話は理解できた。
それが導かれた者ということに、陽矢は気付いていない。
ミクマリ「…ここから最も近い場所は、南焔村。
火を司る神、朱雀を祀る所です。
そこで、新たな力を授かると良いでしょう」
陽矢「…分かりました」
そう答えた陽矢の目には、決意の色が滲んでいた。
「…うん。どうやら自覚をし始めたようだ。
だけど、次からはそう簡単にはいかないか…」
その様子を遠くから見ていた、虚無僧が一人呟き、何処かへ去っていった。




