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第四話 『陸軍造兵廠 九九式小銃』

今回は陸軍造兵廠「九九式小銃」の紹介です。

独の自室



「今回ピックアップするのはこの“九九式小銃”だな。」


ヴァン

「第二次世界大戦が勃発した年に採用された銃だね。

でもなんで九九式?

1,939年に正式化されたんだよね?

だったら三九式じゃないの?」


オルゴイ

「当時の日本の軍用装備品には西暦じゃなくて“皇紀(Jinmu Era)”が使われていたんだ。

それで換算すると1,939年は皇紀2,599年。その下二桁を取って九九式。

まぁ、旧軍時代の装備品の制式年号はいろいろとややこしいからな。」


「そうだな。

元号を基に、明治30年に正式採用された小銃は三十年式歩兵銃だったり、同じ明治時代に採用された銃で明治44年に採用された四四式騎銃は○○年式じゃなくて○○式だしな。

んでそのあとの大正年間に入ればまた三年式機関銃みたいにして○○年式に表記が戻ってるし。」


オルゴイ

「かと思えば昭和に入れば八九式重擲弾筒みたいに皇紀を使ったりと忙しいったりゃありゃしない。」


「けど、こうやって並べてみれば

明治30年前後を境にして、

それ以前が明治の年号を基にした○○年式~、

それ以降、大正時代に入るまでが○○式~、

大正時代が、大正年号を基にした○○年式~、

そして昭和に入ってからは皇紀を基にした○○式~となってるな。」


ヴァン

「ややこし過ぎるよ大日本帝国。」


オルゴイ

「まぁ、制式年号云々の話は置いといて、そろそろ本題に行こうか。」


「そうだな。

じゃあオレが使う銃の原型銃の話から。

オリジナルの九九式小銃は“ボルトアクション小銃の王者”とされる一方、ポンコツライフルとか言われたりして旧日本軍の凋落の象徴の一つとされている銃でもある。」


ヴァン

「何で?」


「バリエーションは全部で4つ。

初期型、中期型、末期型、米軍改造型とあるけど、末期型は特に品質低下が酷くて、木の台に鉄パイプを載せただけの状態とも言われている。」


ヴァン

「ウソ!?

そんなんでまともに撃てるの?」


「無論撃てる筈がない。

部品精度が落ちてるからネジの締まりが悪くて部品はボロボロ落ちるわ、引き金を引いても不発だったり暴発したりと散々な有様だったらしい。」


ヴァン

「そりゃ酷い……」


「中でも九九式小銃の名前を貶めた存在が米軍が改造した九九式小銃だ。

第二次世界大戦終結直後の1,950年に勃発した朝鮮戦争で銃器不足に悩む韓国軍に武器を支給する際や自衛隊の前身である警察予備隊に武器を供与(・・)する際に、自軍の銃弾である.30-06スプリングフィールド弾という九九式普通実包よりも装薬量の多い強装弾に対応するように薬室を削り直しただけ(・・・・・・・・・・)の改造を施して配備したんだが、如何せんその改造ベースが品質の悪い戦時急造の末期型が殆んどで、暴発や不発・破損なんかでまともに射撃できたものはなかったらしい。


戦後に新型小銃――今で言う64式7.62㎜小銃だけど――を開発しようとした時に技術者達が国内に配備されていた改造型の九九式小銃を検査したところ、まともに作動する銃がサンプルの中に1丁も無かったから即日射撃禁止措置を取ったという悲惨さだったらしい。」


ヴァン

「酷い……」


オルゴイ

「まぁ、戦後一番最初に評価されてポンコツライフル言われたのは進駐軍が持ち帰った戦時急造型の末期型。

その後に品質のいい初期型が出回るようになったら評価は一転。ボルトアクション小銃の王者と言われたらしい。

アメリカの銃器オークションでは品質のいい初期型は珍品扱いを受けて、同じようなボルトアクション小銃の相場を上回る値段で取引されてるらしい。」


ヴァン

「凄いね。」


「今でもアメリカやカナダではハンティングライフルやスポーツライフルとして流通していて、米国製の7.7㎜弾を使用しているんだが、この弾丸は7.7㎜口径故に貫通力が高くグリズリーなどの大型動物の頭蓋骨を貫通して一撃で即死させるだけの力を持っていて、旧軍の銃の中で唯一「熊殺し(ベアハンター)」の異名を持っている銃だとか。」


ヴァン

「じゃあ、これさえ持っていれば熊に襲われても大丈夫だね。」


オルゴイ

「それ相応の射撃技術とか度胸があればの話だがな。

俺の場合有無を言わさず熊の腹の中に収まってそうだ。」


「縁起悪い話はやめぃ。」


オルゴイ

「ラジャりました。

んで、九九式の他の特徴と言えば?」


「そうだな。

先代の三八式歩兵銃の6.5㎜弾は軽量弾頭故に敵に致命傷を与えられなかったり、日中戦争で戦っていた敵の7.92㎜弾は遮蔽物としていた中国家屋の土壁を数発で崩したけど三八式の銃弾は崩せなかったりしたから口径と弾頭重量を増したから、それなりの殺傷性能があった。」


ヴァン

「それがさっきのベアハンターに繋がるわけだね?」


「そういうことだ。

因みにこの7.7㎜弾は当時の自動車のエンジンのアルミ合金製シリンダーを破壊することができたとか。

後は草むら越しでの戦闘において、三八式歩兵銃の6.5㎜弾は弾頭重量が軽いことから草に接触して弾道が逸れ易かったけど、九九式の7.7㎜弾は逸れ難かったとか。

……まぁ、オリジナルの九九式小銃の特徴は大体こんなもんだろ。」


オルゴイ

「そうだな。

それじゃあ改造型の九九式小銃の解説に移るか。」


ヴァン

「ラジャりました。

独が転校前の学校で作り上げた九九式小銃の改造型ですが、見た目真っ黒です。」


「ある程度反射光を抑えてステルスを意識しているんだが、客観的に見たステルス効果は知らんよ。」


オルゴイ

「あと、外見的特徴と言えば、原型銃にはない消炎制退器だな。

コイツがあるおかげで、設定上反動を軽減している、ということになっているが、実際の銃を撃ったことが無い以上どうなるかは完全に想像の範疇だ。」


「それは仕方ないな。

んで、その消炎制退器は、自衛隊や海上保安庁、日本警察のSATが主に使用している自動小銃“89式5.56㎜小銃”の消炎制退器をそっくりそのまま移植してきている。」


ヴァン

「架空兵器の割には現実志向だね。」


オルゴイ

「ほっとけ。

あまりにも荒唐無稽な兵器を作らない主義と言ってほしいな。

そして機関部だが、7.62㎜NATO弾に合うように薬室から何から再設計している。」


「試作途中で暴発事故を一回だけ起こしてるけど、何とか形にはなったな。」


ヴァン

「そうだね。

それで、改造点はそんなところかな?」


「そうだな。

使用感に関しては、一級品だと思っている。

戦時中の日本より高精度な工作機械を使用して製作されただけあって、その精度も折り紙付きだし、狙撃眼鏡を装着すれば、長距離射撃だって余裕でこなせるからな。

けど、欲を言えば20㎜マウントレールとそれに対応する光学照準器とかスコープが欲しいかな。」


オルゴイ

「心配ご無用。

その点に関しては現在書いている章が終われば改造する手筈になってるから。

新たに仲間になるキャラが持ってる四――」


独&ヴァン

「「ネタバレやめぃ!!」」


「まったく、今回はヴァンがネタばらしをしないかと思って気を張っていたら作者自らバラしに掛かろうとしやがって……

どいつもこいつも油断も隙も無い………」


オルゴイ

「失礼。

うっかり口が滑った。」


ヴァン

「まぁまぁまぁまぁ。

それじゃあ今回はキリのいいこの辺りにしておこうか。

それじゃね。」

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