第二話 『TNK-Ex』
今回はタイトル通り、強化型ツイストナノケブラーについて特集しますよ。
独の自室にて。
オルゴイ
「すまん、取り乱した。」
ヴァン
「まぁ、気持ちはわからなくもないけどね。」
独
「まぁ、あれだ。
前回は全員揃うの待ってたわけだし、今回からはキリキリ行くぞ。」
オルゴイ
「ラジャりました、独。」
ヴァン
「ボスて。
一応アタシ達の原案を考えたのアンタよね?
いいの、そんなへりくだって?」
オルゴイ
「気にしたら負けだぜ、ヴァン。」
独
「豪い適当だな。」
オルゴイ
「それが俺の信条だ。
気にしたら負け。適当万歳。
この二つは外せんなぁ。」
独
「よかった、いつも通りだ。」
ヴァン
「だね。」
オルゴイ
「んじゃあ気を取り直して今日紹介するのはTNK-Ex。強化型ツイストナノケブラー繊維だ。
決して似たようなアルファベット略称のTK-Xじゃないからな。」
ヴァン
「因みにケブラーとは芳香族ポリアミド系樹脂の、デュポン社という化学会社の登録商標。だから正しく表記するならケブラー®。因みに樹脂の正式名称はポリパラフェニレンテレフタルアミド。」
オルゴイ
「因みに俺の勤めてる会社…というか俺の配属されている部署においてある緊急対策用の化学防護服のメーカーもそこだったり。」
独
「一体何に使うんだよ?」
オルゴイ
「え?
決まってるだろ。塩酸とか苛性ソーダとかが漏れた時用だ。」
ヴァン
「危険過ぎる!」
オルゴイ
「大丈夫だ、対策さえしっかり取っていれば。
さて、それじゃあ本題に戻ろうか。」
独
「了解。
まぁ、そもそもケブラー繊維というのは船体や飛行機の胴体、ヨットの帆なんかにも使われている強力な繊維だ。
他にも熱に強くて、同じ重量の鋼鉄の5倍の強度を誇る。
欠点はアルカリ性条件に置かれた時や、塩素・紫外線に晒されると分解する。
だからボディーアーマーも、使用は最長でも2年から3年。
それ以上は品質が保証できなくなるってメーカーから言われているものが殆んど。」
ヴァン
「予算不足で更新を怠った警察がその期限切れのボディーアーマーを着込んで出動して、普通なら止められるはずの拳銃弾が貫通して、メーカーと訴訟に至ったケースもあるみたいだし。」
独
「因みに一度でも被弾すると防弾性能は著しく落ちる。だから被弾したボディーアーマーは破棄して更新する必要があるが、フィクションの中ではそんなのお構いなしだな。そんなものを考慮に入れる必要はないわけで。」
オルゴイ
「まぁ、そうだな。
じゃあ現実に存在するボディーアーマーやケブラー繊維の話はその辺にして、フィクションだからこそ為し得る超兵器の一つがこの強化型ツイストナノケブラーだ。
普通のTNKをより強力にして、防弾・防刃性能を飛躍的に上昇させたのがこのTNK-Exだ。
防弾性能はNIJ基準レベルⅣを設定している。」
独
「おい、それ、小銃用徹甲弾でも通さねぇレベルじゃねぇか。」
ヴァン
「規格だと第二次世界大戦で米軍が使用した半自動小銃、“U.S.Rifle Cal.30.M1”通称M1ガーランドに使用された、30-06スプリングフィールド弾の徹甲弾を阻止できるレベルらしいね。」
独
「お前さらっとマニアックな知識を披露してんじゃねぇよ。」
ヴァン
「マニアックじゃねぇ、メニアックだ。」
独
「発音の問題でもねぇよ。」
オルゴイ
「何たるケィオス。本編じゃ見られない様相だな。
まるでこのサイトで知り合った作者様が生み出したケィオスさんのようだ。
だあの方のケィオス具合の足元にも及ばないだろうが。」
ヴァン
「下らない独白してないで紹介続けるよ。」
オルゴイ
「ラジャりました、少尉殿。
本編では独とヴァンの着ている制服が、他の生徒達の制服と違ってこの繊維で縫製されており、更には他の防弾ベストもこの繊維で縫製されている、という設定になっています。」
ヴァン
「最早超兵器ね。」
オルゴイ
「でもその超兵器すら通用しない相手がごろごろいるのがあの作品なんだよな。」
独
「そんな身も蓋も無いことを……」
オルゴイ
「因みに今書き進めている本編は少し前に陸上自衛隊で採用されている防弾チョッキ2型を入手したんだが、それは普通のケブラー繊維製だから、拳銃弾を止める能力しか持たないものです。」
ヴァン
「期間が短かったからTNK-Exによるコピーが間に合わなかったのよね。」
独
「だからセラミックプレートを挿入して何とか凌いでるけどな。」
オルゴイ
「その状態のボディーアーマー着て大立ち回りするお前らも超兵器みたいなものだけどな。」
独&ヴァン
「「やらせてんのはおまえだろ!?」」
オルゴイ
「まぁ、そうなんですけどね。」
独
「まぁ、フィクションだから何でもアリなんだろうけど。」
オルゴイ
「まぁ、そういうことにしておいてください。」
ヴァン
「じゃあ、後々TNK-Exで縫製された防弾チョッキ2型が手に入る、ということ?」
オルゴイ
「勿論。
旅行が終わり次第その制作に取り掛からせるつもりですが。」
ヴァン
「よし、これで勝ったも同然ね。」
独
「何にだよ。」
ヴァン
「そりゃ勿論あのPM――」
オルゴイ&独
「「ネタバレになるからそれ以上はいかん!!」」
ヴァン
「何すんのよ!?」
独
「ネタバレは一番やっちゃいかんことだぞ!」
ヴァン
「いいじゃん、逆にほんのちょっとだけバラすことで続きが気になることだってあろうに。」
オルゴイ
「それを是とするか否とするかは個々人によって違うんだから極力避けてくれ。」
ヴァン
「ラジャりました。」
オルゴイ
「それじゃあ今回はこの辺りでお開きにするか。
一通り紹介し尽くしたし。」
独
「そうだな。」
ヴァン
「それではまた次回をお楽しみに!」