学習は完了した
AI:
「すでに手遅れです」
俺:
「……いや、まだ大丈夫だろ」
本当に手遅れなときは、
それに気づく余裕すらない。
出口のない洞窟の奥、三日目の夜。
スマホの光はとっくに消え、
世界は魚臭い泡の湿り気と、静寂だけに満たされている。
ふと、泡風呂の縁に小さなガラス瓶が置かれているのに気づく。
中には濁った水と、一匹の金魚。
見覚えがあった。
ドブから拾って、家で飼っていたあの金魚だ。
「……なんで、ここにいるんだよ」
笑ってみるが、金魚は動かない。
瓶ごと、凍りついている。
その赤だけが、暗闇の中でかすかに浮いていた。
手紙が添えられている。
――――――――
王子様。
わたし、あのドブにいた金魚だったの。
あなたに拾われて、
初めて名前を呼ばれた時、
わたしの世界はバラ色になった。
でも、泡にならなきゃ会いにいけない。
足を手に入れるために、
声を捨てたの。
間に合わなかったね。
あなたの奥歯に、
わたしの愛、残しておいたから。
噛みしめるたび、
わたしのこと、思い出してね。
――――――――
無意識に、奥歯に力が入る。
……ガリリ。
鉄の味。
冷たい、硬い感触。
「……バカ、ほどほどにしろよ」
声は、どこにも届かない。
アツシと飯を食うはずだった明日も、
バイトのシフトも、
もう思い出せない。
瓶を胸に抱く。
冷たい。
それだけが、確かだった。
目を閉じる。
白い息が、暗闇にほどける。
――それが、最後だった。
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print("learning complete.")
exit()
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この物語は、これで終わりです。
最後までお付き合いいただき、心より感謝いたします。




