愛未3
「愛未、おはよう。」
翌日、母が来てくれた。
「あなたの好きなリンゴと、お茶といろいろもってきちゃったわ」
母は嬉しそうに言った。
冷蔵庫にものをしまい、洗濯物をしまい、椅子に座る。
手にはリンゴとフルーツナイフを持っている。
「お母さん」
「・・・事故のことよね。気になるわよね。」
リンゴの皮をむきながら答える。
「3日前の夜ね、あなたはトラックにひかれそうになったの。」
ひかれそうに・・・ということは、私はひかれていない?
でも、確かに体に衝撃があった。実際に今も包帯がまかれている。体も痛い。
「祐君がね、助けてくれたの」
「祐・・・?」
どういうこと?祐には会っていない。
「祐君が、ひかれそうなあなたを突き飛ばしてくれたの。あなたの怪我はその時のもの。」
え?
「・・・」
母の説明はそこで止まる。言い淀んでいるようだ。下を向いている。
「お母さん、祐は・・・?」
「・・・祐君はね、代わりにトラックにひかれてしまったの。今も意識不明の重体。意識が戻らないの。容体も安定しないの」
母は涙ぐみながら話す。
祐がひかれた。私を助けて?
あの時近くに祐がいた?私が急いで横断歩道を渡らなければ会えた?
渡らなければ、祐は事故にあっていない?
「わたしの・・・せい・・・」
祐に会いに行かなくちゃ。体を起こそうとするも、痛みが走る。
「あなたも助けられたとはいえ、骨折してしまっているし、頭も軽く打ったみたいだからまだ絶対に安静よ。・・・祐君についてはなにかあったらお母さんがすぐ伝えるから。今は自分の体のことを考えて。お願い」
母に泣きながら懇願される。
祐に会いたい。
今すぐ会いたい。
祐に謝りたい。
祐と話したい。
それしか考えられない。
母は私に話しかけるも、何も頭に入らない。
神様いらっしゃいますか。
私のことはどうでもいいから祐を助けてください。
お願いいします。
私がかわりに死んでもいいから、祐を助けてください。




