試練15
「・・・2度も助けられた。いや、3度目だ。礼を言う」
「殿下・・・」
ロナルドは地に座り下を向きながら、礼を言った。
「俺の方が捨てられれば良かったよ。そしたら、こんなみじめな思いをせずに済んだ。お前が兄であればよかったんだ」
「・・・」
「そしたら、父上も母上も・・・兄上もがっかりせずにすんだんだ。私が先に生まれなければよかったんだ」
「・・・殿下、殿下はみじめな男ではありません」
「はっ、同情か」
「フルール様の隣で、ずっと見てきました。あなたが日々努力していたこと。あなたは私の誇れる兄です」
「フルールには冷たく当たっていたがな」
「その点は許していません」
カイルはにこりと笑った。
「・・ふ」
ロナルドも笑みを浮かべた。
「殿下」
「ロナルドでいい」
「ロナルド兄さま、一緒に花を取りに行きませんか。もう終了の時間が近いと思われます」
「もう賭けは負けだ。何度も助けられている時点で、花は私を認めない」
「私は王族には興味はありません。戻る気もありません。フルール様と結ばれるなんて大それたことも考えていません。ただ、フルール様を助けたいだけです。フルール様を助けると、愛未様とともに誓ったのです」
「愛未?」
「詳しいことは私にもわかりません。これも妖精のいたずらなのいたずらでしょうか、フルール様の意識を閉じ込め、フルール様の体に愛未様の意識を勝手に連れてきました」
「何を言っている?」
「頭がいかれていると思うでしょうが、事実です。私は愛未様と、フルール様を助けると誓い、そのために花を取りに来ました」
「・・・」
「兄上にお願いがあります。私の片足は負傷しています。兄上もですよね。」
「・・・」
「私も兄上も、一人ではもうできないでしょう。一緒に花を取りに行きませんか。そして、願っていただけませんか。フルール様の意識が戻るように。」
「・・・ここ最近フルールの様子が変わったのは、その者のせいというのか」
「そうです」
「もしそうだとしても、お前はそのものに怒りを覚えないのか。そいつのせいでフルールは閉じ込められているんだろう」
「初めはそうでした。でも、愛未様はいつもフルール様のために行動してくれました。フルール様の意識が戻ったら、愛未様はどうなるのかわかりません。消えてしまうかもしれません。愛未様も被害者なのです。それなのに、フルール様の意識を取り戻すためにいつも考えてくれていました。時々フルール様の意識が戻ることもありました。フルール様は愛未様に感謝されておりました。しかし、もう時間がないのです。もうしばらく、フルール様は現れなくなりました。もう、花に頼るしかないのです」
「・・・すぐには信じがたい」
「分かっています。ただ、フルール様のために、願っていただきたいのです。」
「・・・カイル、行くぞ」
肩を取り合い、2人は立ち上がり、歩き出した。




