王5
ロイが出て行ってどのくらい時間がたったのだろう。まもなく出発の時間となる。
コンコンコン
ノックする音が聞こえた。
「シェリアです」
「・・・入れ」
王妃が入室するとともに、胃がキリキリと痛くなる。
「王、私たちの婚姻の約束事を覚えていらっしゃいますか」
「・・・覚えている」
「互いの国の慣習を尊重すること。相違があった場合は両国が納得するまで話し合いをすること。簡単にいうとそうでしたわね」
「・・・そうだ」
胃が痛い。息が苦しい。
「あなたが私とあの子を守りたかった気持ちはよくわかりました。この国は当時双子を忌避していました。しかし、私の出身国では反対の意味を持っていましたから、辛い思いをさせるよりかはいっそのこと・・・と考えてくれたのでしょう。双子は私の国では幸福の象徴でも、当時この国は違った。改善されたとはいえ、今でもその感情は国民は抱いています。だからこそ、当時双子を王妃が産んだことを発表すれば、私もあの子も国民に忌避される存在になっていたでしょうことは推測できます。」
「・・・」
王妃は分かってくれたのか。淡い期待が浮かんでくる。
すこし息ができる。
その後沈黙が続く。
次に来る言葉は…。怖い。
「だからこそ、あの子が花が取れなかった場合、離縁をお願いいたしいます。」
「・・・っ」
冷汗が垂れる。一番恐れていた言葉を言われる。一気に呼吸が苦しくなる。
「私にとってロナルドも息子です。2人とも応援したい。しかし、ロナルドも、試練というよりなにか私利私欲の理由が織り交ざっているように思います。カイルはフルールさんのため、ロナルドは自分のため。」
「あの子を私に無断で殺そうとしたこと・・・これは国家間の問題です。もしあの子が花をとってこられればこの件は水に流します。しかし、ロナルドが2輪とってきた場合、…おそらく花は枯れるでしょうね。その場合、離縁を申し込みます。」
「・・・っ。本気かシェリア。」
「はい。」
「・・・わかった。」
「私はどちらにも加担しません。王もどちらにも絶対加担しないように。もちろん王弟様もロイも。それでは失礼いたします。」
王妃は退出した。
息が苦しい。
ロイよ、なぜあの時あやつを助けたのか。
私はなぜ、なぜ、あやつが生きていることが分かった時殺さなかったのか
息子達を憎む自分がいることにはっとする。
しかし思考は止まらない。
自分は愚王なのだろう。
もはや人間としても劣っている。屑だ。王の器なんてない。
あやつがしっかり殺されていれば、そもそも生まれてこなければ皆幸せだったのに。
私が幸せだったのに。




