第一王子3
騎士は髪と赤子の手を持ち、王に報告のため戻った。
死体は、すぐ近くにある谷に投げたと使えるように命じた。谷底にある川は流れが激流でまず助からないし、死体も見つかりにくい。
産婆が戻ってきた。
王領とエル公爵領の境目あたりに小さな小屋があり、昔監視に使っていたものだ。現在は使用していない。
そこを事前に掃除はしておいた。王宮の皆にばれないように気を付けた。
少しずつ薪や、小麦、調理道具などある程度老侍女も生活上必要なものはそろえたつもりだが・・・。
非常用の飲料や食料も調達した。畑も作った。野菜はちょうど実っている。前世も掃除も好きだし、ベランダでだが野菜も作っていたからな。
「王子様、これは・・・」
「この程度しかできずすまんな」
「いえ、いえ、いえ、ここまで・・・」
「とりあえず数日は暮らせるようにはしておいた。」
「いえ、あの、大満足というか、感激というか、立派すぎて、王子が思っている以上にしばらく暮らせますので、ご安心ください。」
「時折、見に来る」
赤子を覗くとすやすやと眠っている。
子どもはかわいいなぁ。
「ありがとうございます。」
老侍女は私が見えなくなるまで頭を下げていた。
数日後、騎士も隣国へ移住が完了した。
王は信じたようだ。
数年は大丈夫だろうが、気を引き締めておかないとな。
それが私、いや俺がここにいる意味だ。




