目覚め
愛未は光を感じ目を開けた。
ここはどこだ、病院か、きょろきょろとあたりを見渡すが、病院ではなさそうだった。
煌びやかな寝室のベットに横になっているようであった。
絹のネグリジェを着ている。
髪の毛は金色だ。
鏡を見つけ、覗いてみると、琥珀色の目と金髪の少女が立っていた。
「ゆめかな」
ベットにに戻り再度寝ようと試みるも寝られない。ほっぺをつねっても痛い。起きて頭を壁にぶつけてみたがやっぱり痛い。
やっと冷静になって、考える。
「これははやりの異世界転生?転移かな…まぁ何の作品だろう」
愛未はラノベを読むことが好きだった。悪役令嬢ものをよく読んでいた。
少女の記憶は少なからず残っている。家族構成は父、母、兄、妹、そして自分。父親は公爵だ。
父と母は政略結婚で会話をしているところをあまり見たことがない。
妹は、異母妹だ。異母妹の母は出産後亡くなったようだ。
目がさえてくると少しずつ状況が整理されていく。
この世界は、「悪役令嬢に転生したら、皆を幸せにしちゃいました」の世界だと思う。
乙女ゲームのbecome a fiower の悪役令嬢に転生した娘が、皆の誤解を解きつつ皆が幸せになるルートを作るものだったかなと思う。不幸になる人は誰もいない。この体の本人フルール以外は。
フルールは両親に愛されていないと感じていた。父はともかく、実の母でさえ。異母妹ばかりにかまっていると。婚約者もいるが、婚約者は異母妹が好きなはずだ。また、もともと目つきが悪いことも相まって「悪役令嬢」と周囲から言われていた。
両親からも愛されず、婚約者からも愛されず、異母妹への憎しみ以外の感情がなくなり、最終的には犯罪まがいのことをしてしまう。
そんなフルールに転生した主人公は、ゲームの記憶をもとに、父母の誤解を解き仲良くさせ、自らの婚約を白紙とし、異母妹と婚約者(この場合は元婚約者か)を結婚させ、公爵家を継がせたはずだ。また、主人公はパンつくりが趣味で、ふわふわの白いパンやデニッシュ生地、シュークリームなどを前世の記憶をもとに作りはやらせたり、壊血病や衛生状況改善の大切さを訴え、女伯爵となったはずだ。
隣には幼少期からの側近のカイルがいて、実はその主人公はカイル推しだったため、隠しルートのカイルルートに入り喜んでいた。カイルも忠誠心以上の気持ちをもっていたため、そのまま2人は結婚したはずだ。
しかし、転生される前のフルールはのっとっられたまま。
その結末がももやとして、何とかフルール自身が戻ってきて幸せになってもらう方法はないのかと、妄想していたほど、読み込んでいた。
「とりあえず乙女ゲームのは架空のものだから小説のほうかな…んーでもゲームの可能性もある?…うーん、一つずつ確認しながらやるしかないか・・・」
ベットに ボフンと横になっていると。ノックが聞こえた。
「失礼いたします。朝の支度に参りました。」
侍女のエレンだ。
「おはよう」
笑顔で答えると、エレンが固まっている。
「・・・エレン?」
「申し訳ありません。フルール様。おはようございます。朝の支度をはじめますね」
顔を洗い、簡易なドレスに着替え、朝食の間へ向かう。
後ろをついてくるエレンはずっと下を向き、泣くのを我慢しているようだった。
(フルールは感情が欠如してほとんど言葉を発さなかったから仕方ないね)
朝食の間での家族の反応も想像しながら、朝食の間へ進んでいった。




