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手紙
学園では普通に過ごし、殿下とリゼと昼食をとり、いつものように適当なことを言って一人逃げてきた。
あまり人が来ない裏庭のほうへ行き、ベンチで朝もらった紙の束を読む。
それは手紙だった。
『愛未さまへ
私の名はフルールと申します。
私はいまあなたの中にいます。あなたが考えていることなどいっぱい聞こえます。あなたの目からの情景も見えます。
ただ、夜、愛未様が寝られると、私は私に戻りました。そして、この手紙を読んでいるということは、私と違い、私の思考はあなたに伝わえられないということです。一応今夜もそうなるか確認してみます。何か困ったことがあったら、カイルにお話しください。
フルール』
「なるほど・・・カイルに気付かれたか。うまくやれてると思ったのにな・・・はぁ」
愛未はため息をつき、しばらく風に当たっていた。