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フルール


目が覚めるとそこは闇だった。

真っ暗な場所に私はいた。四つん這いになって動いても、壁を探そうとしても何もない、闇だった。


恐怖でおびえていた時、急に2つの光が見えた。

まるいかたちをし、そこから見えるものは私の部屋だった。私になっている人はきょろきょろと見渡しているようだ。



「ゆめかな」

「これははやりの異世界転生?転移かな…まぁ何の作品だろう」

「とりあえず乙女ゲームのは架空のものだから小説のほうかな…んーでもームの可能性もある?…うーん、一つずつ確認しながらやるしかないか・・・」


不思議なことを言っている。





「失礼いたします。朝の支度に参りました。」

侍女のエレンだ。私はここよ!叫んでも誰にも伝わらない。私になっている人にも伝わらない。




「おはよう」

私になっている人は笑顔で答えるた。すると、エレンが固まっていた。


「・・・エレン?」

「申し訳ありません。フルール様。おはようございます。朝の支度をはじめますね」




朝食の間へ向かう時、後ろをついてくるエレンはずっと下を向き、泣くのを我慢しているようだった。



(なんで・・・?)



朝食の間でも、私が笑うと皆の様子がおかしかった。そして私になっている人はお父様たちに謝っている。


なぜ勝手に謝ってるのが。怒りがわいた。異母妹が喜んでいることにもイラついた。



でも誰にも伝わらない。



学園の登校も殿下とリゼと一緒におった。お昼も夜もたべた。殿下とお昼なんていつ以来だろう。。

私になっている人はなぜこんなことするんだと怒りを覚えた。



その時私になっている人の思考が流れ込んできた。

フルールは、両親からも愛されず、婚約者からも愛されず、異母妹への憎しみ以外の感情がなくなり、最終的には犯罪まがいのことをしてしまう。

そんなフルールに憑依した私になっている人は、父母の誤解を解き仲良くさせ、自らの婚約を白紙とし、異母妹と婚約者を結婚させ、2人に公爵家を継がせようと考えているらしい。また、「私」が庶民向け、貴族向け各々に喜ばれるものを作る事業を展開したり、病気の予防や改善の大切さを証明し、父は女伯爵にさせるらしい。



そして同時に、私を私に戻す方法を考えているようだった。



私は状況を整理した。

すべては両親のこじらせと、わたしのこじらせが原因だ。カレンのこともしらなかった。私は徐々に冷静になっていった。


夕食では、私になっている人は、両親に話し合うよう勧めていた。両親からも謝られ、私になっている人は、私の代わりに両親にもリゼにもまた謝っていた。



夜寝る前、私になった人はつぶやいた。


「絶対元に戻してあげるからね、フルール。…リゼや両親との仲直りなんて勝手にやられて嫌だろうな…ごめんねフルール。でも、全ては貴方のために…。」




こんなにも私のことを考えてくれる人がいたことに驚いた。



「祐、ごめんね、あいたいよ…愛未なんて名前、愛がある未来なんてできるのかな…。」


今度は悲しさで一杯になっている。涙を流しているようだ。

そして、私になった人は愛未というらしい。






愛未が寝ると、私が私に戻った。


そういう仕組みなのか。一応明日以降も検証しないといけないが。


急いで紙の束を作りそこに手紙を書き、ルゥをよんだ。ルゥが一番信頼できる人だ。

ルゥは私が私でないことを分かってくれていた。嬉しかった。


ルゥに、愛未と会話をしたいと紙の束を渡し、これからのことを話した。

所作は体が覚えているようだったため、その他の領地経営や知識などこの世界のことを、手紙に書いた。私が学んだことは愛未の助けになるはずだ。ルゥも助けてくれる。


私と愛未とルゥのやるべきことは困難かもしれない。


でも、なぜだか愛未のことを信じられた。実現できる気がする。


そんな気がして、私は再び眠りにつき、闇へと戻った。

もう闇のなかは怖くない。




一人じゃない。

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