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両親



湯あみ後、マリアの寝室をグラントは訪ねた。


カレンを妾として受け入れてから、寝室は別となっていた。


マリアはベットに腰を下ろしていたが、恥ずかしそうにうつむいていた。

夜着を着てしっとりとした金髪がするりと流れるように左に垂れている。

(使用人たちの仕業だな・・・マリアは本当に美しい・・・)



マリアの隣少し間を開けて、グラントもベッドに腰を下ろした。

「マリア、フルールにいわれたように、改めてちゃんと伝えようと思う。僕は僕の気持ちを君に伝えてこなかった。

…僕は婚約する前から君のことが好きだった。」



「えっ…」

マリアが驚いていた。


「嘘じゃない。婚約が決まった日は踊り狂って喜んだ。でも、君はいつも俺によそよそしく、結婚してもカレンも妾に迎えるよう説得してくるし、表面上は仲が良い夫婦を演じてくれるけど、僕に興味すら持ってくれていないと思っていたんだ。その考えは違かった?」



「…私、あなたがカレンのこと好きだと思っていたの。私の目の前ではカレンの前のような表情はしてくれなかったし・・・」


「!っそれは、君の前ではかっこよくいた・く・て・・・」


「…本当はカレンと結婚したかったんだろうなと思ってたの。カレンもあなたのこと好きなように見えたから、私は2人の邪魔者だとずっと思っていた。罪悪感でいっぱいだったの。結婚しても、2人に申し訳ないっておもってた。カレンの婚約の話を聞いた時、カレンを迎えれば、やっと2人を幸せにしてあげられると思ったの。」


「マリア・・・」


「・・・私、グラントのことが婚約前から好きだったの。だから、2人のこと邪魔してるのに、グラントと結婚できることがうれしかったの。だけど、だからこそ、ずっと・・・苦しかったの。嫉妬なんてする自分が嫌いだった。カレンのこと大切だったから。だから、リゼのこと幸せにしないとって思ってた。結果、フルールを犠牲にして・・・本当にダメな人間だわ・・・。軽蔑するわよね・・・」

マリアは涙を流していた。


グラントはマリアを抱きしめ言った。

「君は聞きたい話ではないと思うけど、カレンが僕に好意を抱いてくれていたことは、ずっと気づかなくて、カレンとの初夜できいた。初夜を遂行できるか監視がいたのも気付いたよ。でも、僕はカレンを幼馴染というか妹のようにしか見れなくて、・・・その・・・できなかったんだ。だから、カレンに「マリアだと思って今日だけ抱いてほしい」と言われて、抱いたんだ。・・・カレンにはすごい悪いことをした。けど・・・僕はマリアだけをずっと愛している。君によそよしくされて、表面上だけ仲良くされて、すごく悲しかった。フルールをかばったら、もっとマリアに嫌われると思ってできなかった。僕のほうが最低な人間だ。」


「・・・でも、マリアは僕のことをずっと好いていてくれたんだね。嘘じゃない?本当に?」


コクンとマリアは頷いた。


「こんなうれしいことはないよ!マリア、愛してる。ずっとずっと愛しているんだ。」

グラントは泣いていた。


泣きながら抱き合った。


その夜、結婚後の初夜ぶりに2人で過ごした。

幸せな夜だった。



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