1話
なぜ、なぜ、なぜ?!
妹と弟を庇って暴走族からはねられたところまでは記憶がある。そして起きると。なぜかキラキラした雰囲気の部屋にいた。
明らかに病院ではない。
「あうー!(なんでー!)」
そしてこの通り、声も出ない。手を見るとちっちゃい。
どうやら、ちっちゃくなっている。
「姫様、どういたしました?」
そして何かあるとメイドさんがやってくると。もう絶対、確定で間違いない。
ー流行りの転生!
である。思いっきり。
「あうあう、あうああうううあうあううー!(神様、なんで転生させたんですかー!)」
まず一つ、この世界に神様がいるかどうか知らんし、もとの世界でもどの宗教にも属してないけど、こんな現象科学的に説明しようにも無理だし、考えるならプラトンの不死の魂とかいろいろ持ち出して哲学しなきゃいけない。紙とペンも持てないし、とりあえず、神様に文句を言っておく。
そもそも私は小学生だし。今まで読んだ転生ものでも小学生が転生はなかった。ほんとに。最低でも中学生。
そして転生すること自体望んでない!転生させるならファンタジーとかにあこがれる中学二年生にしてあげて。
次に二つ、どうやらこの世界の人は魔法が使えるらしい。そしてそしてなんとみーんな脳まで筋肉でできてるのかもしれない。
それを決定的にしたのは、この国の王たる叔父様が私の様子を見に来た時のこと。
「おお、わが姪よ。どうやら其方は魔力がとても多いらしい。王を狙えるぞ。なんといっても、この世界は力がすべて。魔力が強いものが上に立つのだからな。」
今の状況を見る限り、元居た世界に当てはめるとこの世界はまだやっと王侯貴族という存在ができたばかりの古代初期ってところ。まあつまり、まだまだ学問とかがしっかり登場してないのかな?
もともと私が居た世界の学問の始祖たる最初の哲学者と呼ばれるタレスなんかもこのころに登場したはず。
まあだから力がすべてだね。
元の世界との大きな違いは男尊女卑があんまりないこと。力って言っても元の世界みたいに筋力とかそんな感じじゃなくて魔力だから。でも魔力の使い方は非効率極まりない。ただただ力をぶつけ合う感じ。
だから脳まで筋肉、いや魔力かな?に侵されてると思ったわけ。
ある程度状況は飲み込めた。
あとは私自身のことだけど、周りの会話を聞く限り、王様が叔父様、そして王宮に住んでいるわけではなく、周りが私のことを姫様と呼ぶこと。あと母が私の名前を言っていた。
私の名前は、レオナ・ヘック・リーディングらしい。
どうやら、公爵家の嫡女になってしまった。