表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

孤独な影

作者: 江南 玲

「ねえ、知ってる? この公園の怖い話」

「怖い話?」


 一緒にブランコに乗っている友達の葵が言った。


「そう! というかこのブランコの話だよ!」

「え!?」


 私はすぐにブランコから飛び出した。すると一緒に乗っている葵がバランスを崩してしまい、倒れてしまったのだ。


「葵! 大丈夫?」

「いてて、なんとか」

「ごめん! 私が考えっこなしに飛び降りちゃったから……」

「ううん。環奈は怖い話苦手なのに話しちゃって」


 葵はブランコの周りにある棒にぶつかりそうになりながらもなんとか手を使って棒を避けた。


「あれ?」

「どうしたの?もしかして頭打った!?」

「いや、私はぶつけてないけど……この棒を見て」


 葵が向いている方向の棒を見ると、そこには血痕がこびりついてた。


「これは……血?」

「もしかして……私が言おうとしてた怖い話の……」


 葵がそう言ったとき、周りが暗転した。


「え? 葵、なにかした?」

「いや、私はなにも……」

「もしかして、さっき言ってた怖い話と関係が?」

「わからない、けど、もしかしたらと思って」

「どんな話なの?」

「……このブランコには、夜になると1つの影が現れるの。その影はもともと夜に2人で一緒にブランコに乗っていた。けど、目の前に何かの影が現れて驚いてしまい、ブランコから飛び出すように逃げていってしまった。すると、一緒に乗っていた子がバランスを崩してしまい、ブランコの周りにある棒に頭が当たてしまったの」

「じゃあ、あそこの棒に付いていた血痕は、もしかして……」

「頭をぶつけた子は亡くなってしまった。だから、待っているんだ。ブランコにのって」


 すると、後ろにあるブランコから『ギィ...ギィ』と、音が鳴った。すぐさま後ろを向くと、周りの黒さよりも、もっと黒いような影がブランコに座っていた。


「あれは...まさか」

『一緒に乗ろう。一緒に乗ろう』


 黒い影の手が私の手首を捕まえて引き込まれていった。


『もう死なないでね。もう死なないでね。』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ