俺は最強の力を手に入れた 第80話「複製者」
海上が蒼木の凶弾に倒れてしまう
「………」
「ッ、蒼木!!」
北時は激昂し、世界の時間を止める。そして空気の時間だけ動かしつつ蒼木に近づいていくが空間の歪みに守られた蒼木に攻撃が効かず再び時間を動かす
「また時間を止めたな」
蒼木は炎を人差し指に集中させ放出する。その炎の線は高速で北時の左肩を撃ちぬいた
「北時君!」
崎見は北時をすぐにキャッチし地面に寝かせ肩の止血をする
「はぁはぁ…」
崎見は周りの熱と焦りで汗が出る。崎見はふと周りを見る。海上の近くに降りたはずなのに海上がいない
「あれ?」
すると崎見の後ろから誰かがやってくる
「大丈夫か?崎見」
それは海上だった
「あれ、海上君?」
「北時!?」
海上は北時の傷をすぐに塞ぐ
「なんで?」
「? どうした?」
海上の体は多少の火傷はあれど先程の左胸の傷がない
「え?え?」
すると海上に続いてGマスターも現れる
「大丈夫か?」
Gマスターも健全。外傷はない。崎見の思考が追いつかない
(なんで海上君生きているの?さっき胸を撃ちぬかれて…どういうこと?)
崎見が考え事をしていると蒼木が地面に降りてくる。そして蒼木の横にミネカが付く。周りの炎はどんどん強まるばかりである
「なんで彩人が生きている?」
「は?」
蒼木も海上の健全な姿を見て驚いている
「確かに僕はお前を撃ち殺したはず…なんで」
「………?」
海上も蒼木の言葉に疑問を抱く
「どういうことだ?」
5人の間に沈黙が流れる
(俺を殺した?そういえば俺の服に穴が空いているな。それと関係しているのか?でも撃ちぬかれた記憶はない。もし炎の言っていることが本当なら…俺は一度殺されたが誰かが復活させた?)
海上は一度状況を理解する。すると右側から暴風が飛んでくる
「「「!!」」」
崎見、海上、ミネカは驚きすぐに吹き飛ばされないようかがむ。蒼木とGマスターは横にある燃える木に飛ばされないよう掴む。飛んできた暴風は一気に周りの森の炎を消し飛ばす
「………」
海上は一瞬人影を見た
「誰だ?」
崎見とミネカは起き上がる
「何?この暴風」
「自然のものにしては強すぎる。誰かが意図して撃った?」
土煙が周りの視界を見えなくする中はっきりそこにいる人影を全員が見た
「ミネカ!」
蒼木は声を出しミネカに空間の歪みを指示する。ミネカはすぐに空間を歪ませ土煙をすべて払う
「あれ?」
ミネカは先程まで後ろにいた蒼木の姿が消えたことを確認する。すると地面に影が映る。ふとその場にいた4人は空を見上げると蒼木が赤い鞭のようなもので拘束されていた
「なぜ?」
蒼木本人も何が起きたか理解できていない
「ようやくか…」
蒼木と海上、Gマスターは聞き覚えしかない声をはっきり聞く
「え?」「は?」「嘘…」
それぞれ別々の反応を示し先程の人影の正体と思われる左目に眼帯をつけた人物を見る。海上はその人物を見てこれまで起きたことがすべて納得できた
(他人を再生させる能力。周りの炎も吹き飛ばす暴風。一瞬のうちに拘束するスピード。拘束するのに使った赤い鞭のようなもの。すべて常人にすることは不可能。異能なら可能だがここまで複数の異能を持つ人物は少ない。いやいない。今この世界では…)
海上は口角を上げる
「唯一、こんな馬鹿げたチート能力を持つ人物がいたな」
その人物はかつて世界を救うために自身を犠牲にして敵のボス及びその後継者となりうる人物を倒し、最後は蒼木によって焼死した
「なあ。鬼頭雅太!!」
左目に黒い眼帯をつけた鬼頭は蒼木を睨みつける
「俺がいない空白の3年間でずいぶんと暴れてくれたな…蒼木」
「うるせえな。なぜ生きているんだ?鬼頭」
「そんなこといくらでも話してやる。下の奴を片付けてからな」
そういい鬼頭は左腕を振り下ろす。するとミネカの左腕が飛ぶ
「え?」
ミネカが困惑している間に鬼頭は右手でミネカの背中に触れる
「異能…睡眠」
鬼頭が異能睡眠を使いミネカを眠らせる。左腕を止血して。
「これで良し。話してやるよ。俺の復活劇をな」
第80話END




