俺は最強の力を手に入れた 第64話「Blue fire and Blue sea」
蒼木は小学校に入学してからいじめを受けていた。この頃の子供は何が正義で何が悪か分かっていない。だからいじめは少し激しいものだった。学校の終わりのチャイムが鳴る中蒼木はランドセルを担ぎ教室を出ようとしたらいじめっ子に引き止められた
「お前の力よえーな」
「このチビがよ」
蒼木はその相手に少しビビっていた。相手との体格差が大きすぎてとても戦っても勝てるものじゃないと思ったからだ
「や、やめてよ…」
「え!何!?聞こえなーい!」
蒼木が困っているといじめっ子の後ろに別の人物が立っていた
「何してるの?」
それは海上だった。海上はいじめっ子を後ろから押す。いじめっ子は前に倒れる。蒼木は倒れるいじめっ子を避ける
「何するんだ!」
「え!何!?聞こえなーい!」
海上は蒼木の手を取り教室を出る。海上はそのまま玄関まで行くと手を離す
「ああいう奴らはやり返さないと何も変わらないよ」
「え?」
「やり返すのはせいとうぼうえい?になるんだってさ」
海上はそう言って走り去っていった
蒼木は山の中の廃墟で一緒に逃げてきた悪用異能者にそう話していた
「あの時のあいつは輝いていた。僕にとってヒーローだった」
「ふぅーん」
「だが…」
海上は蒼木と仲良くなり気軽に話せる仲となった。蒼木はあれ以来いじめっ子に反抗、無事いじめられることは無くなった
「このまま遊びに行こう!炎!」
「うん!彩人」
海上と蒼木の関係はそれから5年間近くも続いた
4年生になってから9か月が経過した1月19日、この日は蒼木のある記念の日である
「え?崇拝日?」
「うん。僕の両親ってヒリストア教の信者でさ。その日は夕食を取らずに教祖様に祈りをささげる日なんだ」
ヒリストア教
異能が発現後に作られた宗教。仏教やキリスト教に並び信者が多い
異能を尊重し、教祖は『異能とは、ヒリストアによって与えられた特権である!』と説き異能の混乱を収める第一人者となった
ヒリストア教は日本では信者は少ない。そのためほとんどの人は名前だけ知っている状態だった
「ヒリストア教信者っていたんだ…」
「僕的にははっきり言って『邪魔』なんだよな…」
「ハハハ…」
海上は明らかにヒリストア教に対してあまりいい印象を持っていない蒼木を見て苦笑する
「じゃあ、すぐ帰らないといけないから。じゃあな」
「ああ。またな」
海上は走っていく蒼木の後ろ姿をみて少し心がざわついた
「………」
(炎の後ろ姿が…とても悲しく見える…)
翌日、蒼木は学校を休んだ
「今日、蒼木が休みなのか?」
「あいつが休むとは珍しいな」
「蒼木君ともっと話したいよ」
クラスメイトは蒼木の休みに動揺していた。あいつは学校を休むということをあまりいい印象を持っていない。その本人が休んでいるからな…
「まさか…」
海上は昨日の胸騒ぎを思い出した
(炎に何かあったんだ!)
海上は学校から抜け出し蒼木の家に向かった。しかしそこに人はもう住んでいなかった
「………」
海上はもう人のいない家を見つめる。すると窓になにか張り付けられていることに気づいた
「!『ストリート』」
海上はストリートと書かれた紙を見て思い出した。あいつはストリートという単語を使うことがある。その言葉の意味は『地下室』
「フッ」
海上は蒼木の家の後ろにある施設を見る。その施設の地下室が蒼木のいう『ストリート』である
「ふぅー…」
海上はその施設に忍び込む。施設のオーナーとは顔見知りだが学校の時間にいると気づかれたら面倒だから隠れて侵入する
「………」
地下室への階段を見つけるがその前に受付の人がいる
「しょうがない…」
海上は持ってきた水を触り量を増やし床に流す
「あら?濡れている…」
受付の人は受付から出てきて濡れた床に向かう。その間に海上は受付の前を通る。そして地下室への階段を下りる
「ここにいるはず…」
海上は暗くなった地下室の電気をつける。すると蒼木が立っていた
「炎!」
「あ…」
海上が蒼木の名前を叫んだ瞬間施設が崩壊する
「な!?」「はぁ…」
海上は地上に出ると施設は崩壊しただ地下室への穴があるだけの更地と化した
「なんで…」
「本当に侵入するとは…」
「炎!何か知ってるのか?」
海上が蒼木に近づこうとしたら蒼い炎が海上を囲む
「あっち…」
「あの人の計画通り。じゃあな、海上!お前があいつを救わなかったからこうなった…」
「は!?」
炎が消えるころには蒼木はその場を去っていた
「炎…」
第64話END




