第三十一話 同盟と作戦
「センシー、スペール、悪いが俺一人で魔王と話をつけてる間、皆の事を頼む。」
「了解した、何時何処にあのような輩が潜んでいるか分からんからな。」
「アタシ達の目的は魔王討伐なんだけどね、まああの命令書にあった刻印はツヨスギール王国の物だし信じざるを得ないからね。」
「じゃあ行ってくる。」
俺は皆を残し魔王城へと入ると魔物が一斉に襲いかかって来るのを無視し、ズカズカと魔王の居る玉座まで到達する。
「ほう、何者も止められんとは貴様人間ではないな? 要件は分かっている我の首を取りに来たのだろう。」
「いや、俺はアンタと同盟を結びに来ただけだ。」
「同盟だと?」
「近い未来、俺はアンタを倒して一時的な英雄になった。 だが、その国の連中に裏切られ何度も死なされては蘇生させられを繰り返される拷問を受けてきた。」
「ふむ。」
「だからこうして未来からこの時代にやって来て、人間と魔物の平和の為にツヨスギール王国を滅ぼそうと思ってる。」
魔王は顎に手を当て考える、おそらくオ俺が未来から来たと言う話を疑っているのだろうが証拠が無い以上黙っている事にした。
「父上!」
「ベアトリス、今は取り込み中だ。 後にしなさい!」
「久しいな何日ぶりかな?」
「ネダヤス様、この前は助けていただき有難う御座います♡」
「助けとは何だベアトリスよ!?」
「それはな、ベアトリスはツヨスギール王国に所属する付与術師に犯されそうになっていたところを俺が助けたんだよ。 服もビリビリに引き裂かれて、俺が助けるのがもう少し遅かったら淫乱下衆じじいに種付されて孕まされていたところさ。」
「なにいいいい!? 我が大切な愛娘を犯そうとしていただと!! ゆ、許さん!! 分かった貴様ガ何処の誰かは知らんが娘を傷物にした代償を払ってもらわねばなあ!!」
魔王は娘が酷い目に合っていた事を知ると全身から禍々しいオーラを放ち怒り心頭になる。
「ま、魔王様が心の底からお怒りになられている!?」
「そりゃそうだろ、娘を傷物にされたんだぞ! 下等生物の更に下劣なじじいにだぞ!!」
「父上、それと私は……」
「何だベアトリス!」
「ネダヤス様の女になりとう御座います♡」
「「「「はあー!? おいてめえ!! 何処の魔物か知らねーがベアトリス様との婚姻を夢見てた俺達を差し置いて何抜け駆けしてんだ‼」」」」
「うっせえな、知らねーよそんなの。 ベアトリスは俺に惚れてんだから潔く諦めるのが漢ってもんだぞ。」
「止めないか貴様ら! このネダヤスと言う漢、明らかに魔王である我の何倍もの強さを感じるのだ! 下手に手を出せば一瞬で存在を消されかねんぞ!!」
「「「「!?」」」」
魔王の一言に魔物達はざわめき互いに顔を合わせる青褪めていくのが解る。 魔王の強さは相当な物なのだろう、しかしその魔王が俺に対して何倍もの力を感じており、怒らせない様に立ち回っているのも納得だ。
「では、何時襲撃してやろうか。」
「取り敢えず、俺が合図したら頼む。 それと魔王、ベアトリスは最高の女だから貰ってくが構わないか?」
「構わん連れて行くがいい、娘も満更では無さそうなのでな。」
「ネダヤス様♡」
「ツヨスギール王国を崩壊させた後は皆で宴を開くか。」
俺はベアトリスを連れてイニシエ村の宿屋へと戻ると皆に紹介し、一日経つとチカック王国へと戻る。
「おお、ネダヤスではないか目的は果たせたのかね?」
「勿論だチカック王、明日に備えて準備したいから部屋を使わせてもらっても良いか?」
「無論じゃ、好きな様に使うが良い。」
「チカック王の許しも得たし、俺はやる事があるから皆は自由にしていてくれ。」
「準備って寧田君何するの?」
「今は何も聞かないでくれると有り難いのだがな。」
「御主人様を信じましょうよノコさん。」
「ネダヤス様はワタシ達には到底理解に及ばない策をお持ちのようですね。」
「ダーリン、ウチら本当に手伝わなくていいちゃ?」
「バブルさん、ネダヤスさんの言葉聞いてましたか?」
「ああ、今はセンシーとスペールには着いて来てもらって作戦内容を企てるつもりだ。」
「アタシ達か?」
「つまりはキカーヌとスピードが揃った時だな。」
「そうなるな、キカーヌはまだ帰還してない筈だな。」
俺はキカーヌを捜して街を散策するとキカーヌと立ち話をしているスピードと仲間に引き入れたマッスルが居た。
「つー訳ぜよ。」
「これだけの証拠が出揃えば確実か。」
「フンッ、俺も雇われた身だ惜しみ無く協力しよう。」
「揃ってるな。」
「ネダヤスか、今アンタの仲間にしたマッスルってのと合っていたぜよ。」
「おい待て、スピードお前何時ネダヤスと連絡してた? 旅の途中じゃ会話してる素振りすら見せて無かった筈だぞ!?」
「あー、それはスピードに情報共有のスキルを付与していたからだな。 マッスルの事も知らせられる様にしておいてたんだよ。」
「恐ろしい程の用意周到さだね、こんな奴を敵には回したくないわ。」
「で、因みにだがツヨスギール王国との戦争を反対する奴は居るか?」
そう言うと5人は真剣な眼差しで俺を力強く見つめると首を横に振る。
「決まりだな、決行は明日だ! 世界の平和の為に戦うぞ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
作戦を5人に伝えた俺はチカック城へと戻り、国王へと一人一部屋を用意してもらった。
「さて、明日は勝てるかどうか分からない相手と戦う分けだが。 どう考えても厄介なのがツヨスギール王の側近の大臣の能力だな。 幾ら攻撃しようがノーダメージならジリ貧に追い込まれるのは確実、かと言ってツヨスギール王の極王紋の能力は未知数。 正直言って、未来でも手を拱いているようだしどうするか。」
ツヨスギール王をどう攻略するかを考えながら、良いアイデアが出ず何かの拍子に閃く可能性を示唆しノコを部屋に入れて相談する。
「なあノコ、無敵の相手とどう戦えば良いと思う?」
「無理じゃない? どう考えても勝てないでしょ。」
至極当然の応えが返って来た、ノコに聴いたところで何も変わらないのは分かっていた。 俺らしくない、何度も殺されては蘇生をさせられた相手だ。 正直あの顔を思い出すだけでも無意識に恐怖が襲って来る。
「寧田君大丈夫? 顔色悪いよ?」
「ノコ、頼みがある……。」
「何?」
「その、言い辛いんだが……。」
「珍しいね、寧田君からお願いなんて。 私に出来る事なら良いよ。」
「正直な話、明日勝てるとは限らない……だからノコ、子孫を残す為に俺と…………」
「ね、ねねね、寧田君!? そ、そそ、それって! そう言う事だよね!?」
「ああ、ノコが嫌なら別にしなくても良いが。」
(寧田君と!? そう言う事に興味は有ったけど、まさか寧田君から誘って来るなんて!!)
「悪いノコ、嫌だよな怖い目にも合ってるし俺みたいなのとじゃ。」
「良いよ。」
「そうだよな、やっぱ駄目……なんて!?」
「寧田君となら……良いよ。」
「本当に!? なら、遠慮はしないぞ。」
勇気を出してノコに夜の営みをお願いすると顔を赤くしながら横顔で嬉しそうにはにかむのを見て俺はキスをし営んだ。
夜の営みはノクターンノベルズで投稿する予定です。




