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経験値100億の最強チートな付与術師の復讐劇  作者: クソラノベ量産機
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第十九話 付与術師と好意への裏切り

未来のキカーヌがカップルばかり手にかける要因になった話しになります。

 キカーヌが薙ぎ払ったコボルドの大群は直ぐに立ち上がり再び襲いかかって来るのを見た俺は付与で対処する。


「この数ならあれかな? 付与発動、鈍足!!」


「何だ? コボルドの動きが遅くなった!?」


「これで少しはマシになる! 誰か知らないが感謝する!!」


「そこだ!」


(思った通りだ、このコボルド……何者かにゾンビ化を付与されている。 最悪の未来になる前から何か壮大な悪意が動いていたか。)


 コボルドの大群に鈍足を付与しステータスを見るとそこにはゾンビ化のスキルと遠隔操作のスキルが付与されており、何度倒しても襲いかかって来るのに納得した俺は全域にゾンビ化を付与されているコボルドに対してかけられている付与を解除する。


「何だ、……コボルドが動かなくなった?」


「勝った……のか…………?」


「やった! こんな何時まで戦えばいいのか分からない戦は終わったんだ!!」


「君は一体。」


「俺はネダヤス、未来から過去を救いに来た救世主だ!」


「未来? よく解らなんが助かった礼を言う。」


(よし、これで過去のキカーヌから信頼を得た。 後は何処かで狂う時のターニングポイントが存在するはずだ。 俺の見立てではおそらく、幼馴染みへの告白…………いや婚約時に裏切られるといった場面に遭遇する可能性の方が高いか、どちらにせよ未来の様な心まで醜い姿にする訳にはいかないな。)


 コボルドの大群が一斉に倒れ込み動かなくなった事で安堵した兵士達は緊張状態から開放されたからか喜び叫ぶ。

 そんな中、俺は他に存在する悪意を持った付与術師の存在が気にはなったが今はキカーヌの狂ったターニングポイントを探る事にした。


「では、戻るとするか。」


「なあキカーヌ。」


「何だ、確かネダヤスと言ったな応えられる範囲であればなるべく応えよう。」


「さっき幼馴染みに告白するって話を聴いたんだが本当か?」


「なっ! あいつ喋ったのか!? 全く口の軽い奴め、助けてもらっといてなんだがプライベートな話しはな。」


「ああ、デリカシーが無かったな……けど馴れ初めくらいは話してくれないか?」


「はあ、俺はな昔から顔が不細工で何時も周りからイジメられてたんだ。 ある日、好きな娘が出来た……自身は無かったが幼馴染みの娘に“男は顔じゃ無い”と言われて勇気を出して告白した……案の定答えはノーだ、その後は慰めてくれる幼馴染みに心惹かれて彼女を守れる様に強くなりたいと思いツヨスギール王国の騎士にまで登り詰め付き合う事が出来た。 あれからもう5年付き合ってるし遠征から帰ったらこのダイヤの指輪を見せてプロポーズするんだ。」


「そうか、頑張れよ。」

(そう言う事か、つまり告白して振られた事による自暴自棄に何かされたか、または既に何かされているかのどっちかだな。)


 キカーヌの色恋話しを聴き、正体不明の付与術師の存在と狂ったであろうタイミングを分析しながらヒメル達の居る場所へと戻る。


「キカーヌさん、終わりましたか?」


「勿論です、彼のおかげで早急に任務を遂行できました。」


「御主人様! ご無事で何よりです!」


「ネダヤス様なら当然の事でしょう。」


「あぁん、ダーリンの勇姿見たかったちゃ!」


「なんだか寧田君一人で何でも解決してるわね。」


「このアーチ、神様のお役に立てて光栄です。」


 センシーとスペール以外は俺の事を心配し力になりたそうだったが連れて行かなくて正解だった。

 あまり手の内を見せるのは得策ではなく、もしあの場に連れて行っていたら付与術師に情報が筒抜けになっていたかも知れない。


「皆よくぞ戻られた、我が国に降りかかる驚異を退けた事誠に感謝する。」


「当然の事をしたまでです。」


「此度の活躍、ツヨスギール王への感謝状を届けてもらえるかの?」


「承知致しました。 では、速いですが街でも散策し土産でも買って帰還したいと思います。」


 チカック王から感謝状を受け取ったキカーヌは踵を返し城から出て行くと宿にチェックインし鎧を外し鏡に映る自分を見る。


(やっぱ醜いな、けどこんな俺の事を男は顔じゃないって言ってくれて勇気を与えてくれた彼女アバ・ズーレに感謝しないとな。)


 キカーヌは宿屋でシャワーを浴びスーツ姿に着替えると薔薇の花束を手にし外に出てアバの元に向かう途中、ある光景と自分に関する話しを耳にしてしまう。


「…………だからあ、あんな不細工に興味あるわけないでしょ?」


「じゃあ何で付き合ってるんだい?」


「あははは付き合うとか冗談言わないでよ、あいつ私の為って言ってツヨスギール王国で過酷な訓練して出世したから気分だけでも夢を見せてあげてるだこよ? それにほら欲しい物言えばこんな簡単に買ってくれるし、何より男は顔でしょキャハハハ!」


(何で…………、アバ……嘘……だよね…………?)


「言えてる、この俺みたいに金も名誉も有る訳でも無いのに君と釣り会えると思っているとか気持ち悪いよな!」


「所詮は財布、利用できるなら最後まで利用するわ! ご利用は計画的にってね♪」


「嘘…………だった……のか………。」


 キカーヌは信じていた幼馴染みに裏切られ仕舞には財布として利用されていた事に絶望し薔薇の花束を地面に落とすとカップルがそれに気付く。


「あーらキカーヌじゃないバレちゃった?」


「何で!?」


「どうせ聴いてたんでしょ盗み聞きとか顔面と同じで気持ち悪いわね、そうよアンタなんて最初から眼中に無いわ。」


「どうして! 男は顔じゃないって言ったのは君じゃないか!!」


「何それ、本気にしてたの? きっしょ、解ったならどっか消えてくれる? アンタみたいな不細工は同じ不細工な女でも探したら? ま、そうそうアンタより下の顔してる女なんて居ないでしょうがね♪」


「ぶははは! 違いねえ、俺もここまでの不細工は初めて見たぜ!! 自分が不細工と解ったなら消えな、あんまりしつこいと憲兵呼ぶぜ?」


(何だよ……それ…………。)


 眼の前には金髪のロン毛男と赤髪の女がキカーヌを馬鹿にし嘲笑う。

 そんな感情を弄ばれたキカーヌの心にはドス黒い感情が芽生えようとした時、俺はその場に姿を現す。


「やれやれとんだクズ共だな。」


「あ? 何だよてめえ。」


「このキショい奴の知り合い?」


「ネダヤス、何故ここに?」


「あら、誰かと思えばボウラック家のガイアール様ではありませんか。」


「おいおい、口煩いババアじゃねーかボウラック家での仕事はどうした? サボりか?」


「セワスル、こいつの知り合いか?」


「ガイナスの一人息子ですね、素行が悪く働く事もしない世間知らずのクソガキです。」


「何だと! 言わせておけば、まあいい父上に言いつけて奴隷落ちさせてやるからなババア! 楽しみにしとけよ!!」


「待ってよガイアール!!」


 俺はキカーヌに対して暴言を吐くクソ女と自信過剰な世間知らずなクソ野郎に憤りを覚え言いたい事をぶちまける。

 そしてどうやらクソ野郎の方は前に毒殺したガイナス・ボウラックの一人息子の様だ。


「大丈夫かキカーヌ?」


「…………。」


「安心なさいませキカーヌ様、あの女はきっと貴方に泣き縋りに来ます。 その時には徹底的に拒絶し貴方を裏切った事を後悔させてあげましょう。」


「だな、俺も久々にとんだクズ共に怒りを覚えたぜ。」

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