第十一話 勇者召喚と幼馴染み
セワスル・ナニマーデ
職業︰メイド
命︰D
魔︰C
力︰B
守︰B
速︰S
銀髪で蒼い眼をし眼鏡を掛けた貧乳の女性、暗殺に長けており、ガイナスに仕えていたが雇い主が死亡した為ネダヤスに惚れ込み専属のメイドとして着いて来た。
俺達は馬車の中で他愛もない会話をヒメル姫と交わしていた。
「ネダヤスさんは、その……右手はワタクシの為に失われて……なんと言葉をかけて良いのか。」
「これなら問題ない、こうすれば生やせるし。」
「!?」
無くなった右手に力を込めるとニュッと元の状態になり、それを見たヒメル姫が驚く。
「これくらい普通だろ?」
「そう、ですね……そうかな……?」
「ところで姫様は何故あの様な場所におられたのですか?」
「アタシも気になるな、この近くにはゲヒール盗賊団が居る事は知っておいででしょう。」
不思議そうな表情でセンシーとスペールはヒメル姫へと質問する。
「助けていただきましたし話す必要はありますよね、実は勇者召喚の材料を集めていました。」
「勇者召喚の材料?」
「はい、これです。」
「これは! 魔法石!?」
「魔法石? 何だそりゃ?」
「ネダヤス様、魔法石と言うのは5個集める事で異世界から勇者を召喚する為に必要な不思議な石です。 希少な為高値で売られてしまうケースが多発していますが、勇者召喚を行うよりは効率的と言われている石です!」
「つまりはガチャ石か。」
「ガチャ石? 何ですか御主人様??」
「こっちの話しだ、気にするな。」
ヒメル姫が袋に入った虹色に光る魔法石を見せると周りは珍しさに驚き、セワスルが説明をする。
「つまりは、その石で勇者召喚して盗賊団の討伐に乗り出そうとしたところを襲われたってところか?」
「はい、何処から情報が漏れたのか護衛兵のレベルも把握されてました。」
「城内にスパイが混ざっている可能性があるな。」
「そんな! チカック城に潜入している者が居ると!?」
「あくまで可能性だ。 センシー、スペール、城内に怪しい動きの兵士が居たら捕まえておいてくれ。」
「貴様に言われなくても分かっている。」
「どんだけ上から目線なんだよ、別に良いけどよ!」
「御主人様、私達は何をすれば?」
「微力ながらワタシも協力致します。」
「そうだな二人には俺の側に居てもらおうか、もしもの時の為にな。」
「「はい♡」」
「…………。」
ヒメル姫はエイルとセワスルが俺の隣に居るのを見て羨ましそうな表情をし溜息をつくと、暫くしてチカック城へと馬車が降りたつ。 そして丁度置いてきた護衛兵達も転移魔法を駆使し馬車の周りに出現する。
「ヒメル様、ご無事で何よりです。」
「この方に救っていただきました、皆様失礼の無いようお願いしますね?」
「はっ! 姫様を救っていただき誠に有り難く思います!」
「では、城内を案内しますね? ワタクシに着いて来てください。」
ヒメル姫の後ろから着いて行くと厳格そうな顔をした国王が出迎え俺に近づいて来る。
「君が私の娘を盗賊から救ってくれたネダヤス君だね?」
「はい、俺がネダヤス・ゾテーメラだ。」
「この度は娘をゲヒール盗賊団のヒートを倒した事を誠に感謝しておる。 娘も君を好いておる様だし直ぐにでも婚姻の儀を……」
「お父様! 今は勇者召喚を速くするのが先でしょう? それに、ネダヤスさんにはワタクシなんて……」
ヒメル姫は頬を染めながらチラチラと俺の顔を見てモジモジとしている。
「やれやれ、モテる男は辛いな……俺は誰の愛でも受け入れる出来た男だぜ? ヒメルも俺の女になるか?」
「宜しいのですか?」
「勿論だ、王様も婚約に乗り気みたいだしな。」
(そうだ、今の時間軸のセンシーとスペールはまだまともみたいだし未来から来た時の為に時間かけてでも俺の女にしておくか。 一夜を共にしたと知ったら、きっと良い表情が拝めるだろうな!)
「では、お父様 勇者召喚を行いますね?」
「うむ、始めよう。」
(ガチャそのまんまの可能性を考慮して最大レアリティ確定を付与しておくか。)
俺はこっそりとヒメルに最大レアリティ確定を付与し、何も知らないヒメルが魔法陣を描き魔法石を5つ並べ勇者召喚を始める。
「うおっ!? これは虹色!?」
「お父様! せめてSSRと思っていましたが、これはURの勇者が召喚されるかも知れませんわ!!」
最高レアリティの勇者召喚に俺はどんな女の子が召喚されるのか期待し胸をワクワクさせながら踊らせる。
「う、うーん……ここは…………?」
勇者が召喚され煙が魔法陣の有った場所からモクモクと立ち込め暫くするとブレザーを着た黒髪でポニーテールの黒い眼をした女の子の姿が現れる。
「え、錦城?」
「その声、寧田君!?」
勇者召喚されたのは、あの幼馴染みの錦城ノコだった。
「なんじゃ、知り合いか?」
「ああ、幼馴染みの錦城ノコて言うんだ。」
「良かった無事で、トラックに撥ねられて死んじゃったのかと思ってた!」
「わ、悪かったな心配かけて。」
「感動の再開ですわね。」
ヒメルは俺達の再開に涙目を浮かべ嬉しそうにし、周りもなんだが雰囲気に飲まれ兵士達も拍手喝采を送る。
「コホン、では勇者よ早速だが水晶に手を翳しその力を見せてくれたもう!」
「え、何? 水晶?」
「こうするんだよ。」
「!?」
ノコに占い師らしき人物が水晶玉を持ち近付くと眼の前に差し出すが、どうして良いか解らずオロオロするノコの代わりに俺が手を翳すと水晶玉は木っ端微塵になった。
「な、なんと!? 水晶玉が耐えきれず粉々に砕けてしもうた!!」
「ネダヤス様なら当然ですね。」
「御主人様凄い!」
「つ、つまりどう言う事だ?」
「国王陛下、この水晶玉ではステータスの数値を計れないと言う事です! まさかこれ程とは、勇者としてどころか神になれる程の人材ですぞ!!」
「そうか、通りでネダヤスには王の私でも魅力を感じたのか納得だ! して、ノコとやらの数値をどう計ろうか?」
「こちらの旧型で計るしかないでしょうね、流石に壊れるとは思いますが……。 どうぞ手を翳してください。」
「これで良いの?」
「「「「おお!!」」」」
その場に居た兵士達が一斉に声を上げる、ノコのステータスは命SS、攻SS、防SS、速SS、魔SSと表示され紋章が出現し更に周囲が驚く。
「きょ、極王紋だ! あのステータスを100倍にする大当たり、極王紋持ちだぞ!! これで勝つる!!!」
周囲が沸き立つ中、ノコは何がなんだか理解できず涙目で俺に擦り寄って来た。
「寧田君、この人達何? なんだか怖いよ??」
「大丈夫だ、俺が居るから安心しろ。」
「召喚されたばかりで状況を飲み込めないでしょうが今日は部屋でお休みください勇者様、ネダヤスさん達も部屋を用意しますので旅の疲れを癒やしてくださいね。」
ヒメルからそう言われ俺達は用意してもらった部屋で休む事にした。
センシー・ティブ
職業︰戦士
命︰A
魔︰F
力︰SS
守︰B
速︰B
ツヨスギール王の銘によりネダヤスを見張りながら魔王討伐へと参加する事になった女戦士、鎧は軽いが非常に硬く衝撃を吸収する素材で出来ている。




