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第35章

 プレストシティへのテロ攻撃の翌日、連邦政府はコーダシティに、プレストシティ攻撃の証拠を突きつけた。ドックでの偽装作業から出航の様子と航海途中の映像、そして攻撃行動をすべて記録した映像資料に対して、コーダシティ政府は言い逃れができなかった。すでに、第3艦隊がコーダシティ沖に進出し、攻撃準備行動についたことから、コーダシティ政府は、間髪を入れず、ガバメント・コーダ支社の関係者の拘束に踏み切った。コーダシティ当局は連邦政府に厳正な捜査と関係者の処分を約束し、第3艦隊の攻撃をかろうじて回避した。


「今回は、偽装中から、出航、攻撃に至るまで、一つの動画データとして証拠に残しましたから、言い逃れはできないでしょう」とオルソンは高野長官に報告した。プレスト海軍司令部の会合で、昨日のテロの詳細報告が行われていた。

「今回はドラグーン、すなわち、グリフォンの改良型で襲ってきたのは、新型ロボットの製作データが失われ、製作できなかったのだろうか」と高野が聞くと、

「いえ、それはあり得ませんね、セキュリティの観点から、複数の拠点に設計データのコピーが置かれていたはずです。こんな短期間では製造できなかったというのが理由ではないでしょうか。コーダシティ防衛軍ではグリフォンが3機喪失したと連邦軍に報告があがっています。コーダシティ防衛軍に納入した3機を工場に戻し、1機分は予備部品として解体して、2機を大急ぎで改造したのでしょう」

「そんなやっつけ仕事のロボットで、プレストシティを落とせると思われたとしたら、心外だな。プレストシティにはドラグーンを圧倒する戦闘力があることを、内外に示さないといけない」とスコットが言った。

「ドラグーンが倒される映像はマスコミにも流しましたし、ネットの広報チャンネルでも流しています。十分な抑止になり得るでしょう」とサムが報告する。オルソンは淡々と語る。

「ガバメント社のグリフォンは、完全に兵器としての価値を喪失しました。今や、ローウェル社にタイタンシリーズの導入を打診するシティが多いです。戦闘機のフェニックスも、演習において、ドルフィンに一勝もできなかったことは有名な話ですし、まして、これだけのスキャンダルが露呈すれば、ガバメント社は新規受注は望めないでしょう」と、オルソンはレポートを表示し説明する。すでに、世界のシェアは完全にローウェルインダストリーに傾いている。

「ガバメント社製の艦船で構成された第2艦隊も、第7艦隊に完敗、殲滅されたからな。あれは相手が西郷とエドワーズだからということもあるが、まあ、あれだけ一方的にやられると、イメージはよくないな」とスコットが言った。暁作戦から始まり、数々の実戦で、ガバメント社製の兵器では、ローウェル社製の兵器に全く敵わないという実績を作ったのだ。西郷がファントム作戦で構想したガバメント社の経済力をそぎ、セレクターズを瓦解させるという目的は、すでに達成している。もはや、ガバメント社には大規模なテロを起こす経済力は無く、後ろ盾を失った武装テロリスト「セレクターズ」も大規模な軍事活動はできない。

 ガバメント社の独占を推進していた連邦軍司令部も一掃され、旧司令部の要人はリヨン大統領暗殺未遂の容疑で逮捕された。軍事裁判では酌量の余地無く、死刑が確定し、即日執行された。遺体は廃棄物として焼却処分され、遺骨すら遺族に返還されない。墓を作ることも許されない。それがテロリストに対する世界共通の処置である。暗殺未遂とはいえ、ロボットを使った大規模テロを起こした罪からは逃れられなかったのだ。

「プレストシティ内に潜伏しているセレクターズの残党はこれからどう動く?」

 高野はオルソンに聞く。

「今回は、テロロボットの潜入に動いただけで、直接攻撃には参加していません。今日あたり逮捕されるでしょう。それでもって、極刑は免れないでしょうね。直接テロに参加しないのは、テロリストに対する厳しい処置、死刑を恐れていると思われます。先に、プレストシティ各所で行われたテロの実行犯は、すべて逮捕され、死刑が執行されています。抑止効果はあると思います」

「テロ実行犯は、その場での射殺が容認されている。これは度重なるテロ被害により、世論の理解も得られている。ファントムにもその主旨を徹底させたほうが良くないか。テロリストのために無駄な社会のリソースを割く必要なはい。一部の活動家にはテロリストを殺すのは反人道的と反対する向きもあるが、これは、彼ら自体、テロリストであるからな、他人事では無いのだろう」

 こういう高野の意見に、サムが反対意見を述べた。

「今のファントムのロボットは、敷島玲子の意志に従っています。彼女はテロリストに対して厳しい意見を持っていますが、ファントムは玲子の目の前で血を流さないという気遣いを見せてます。かといって、玲子に、テロリストを必ずその場で殺せとファントムに命令させたくありません」

 高野はその意見に理解を示した。

「それはもっともな話である。彼女にそんな命令を出させるわけにはいかん。いままでどおりでいい」

 オルソンは高野に、

「活動家達は常に監視下においています。何かことを起こそうとすれば、察知できるようにはしています。テロ活動をしなければ、逮捕することはありませんが、今回のようにテロ実行に手を貸したなら、己の命で罪は償ってもらいましょう。逃がしはしませんよ」と、力強く言った。

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