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ブルーライトニング 第2部 第29章

ブルーライトニング改訂版とは時間軸が違います。

ダグラス家に招かれた玲子とマルス達は、友人一同と会います。

ダグラス邸で玲子の姉弟と、あとから来た瑞穂の姉弟は出会った。

「マールスー」と言いながら瑞穂はマルスを両手で抱きしめた。

「マルスに会うのは久しぶりだー。会えてうれしいよー」と瑞穂は喜びを隠さなかった。

「お姉ちゃん、恥ずかしい」と弟の守がたしなめるが、そんなことはお構いなしだ。マルスも嫌がりもせず、瑞穂の腕に抱かれている。

「瑞穂お姉ちゃん、元気そうだね」

「元気だよ。マルスに会えて、余計に元気がでたんだよ」

 瑞穂がマルスのことを溺愛していることを、玲子は理解していた。嫉妬は感じない。むしろ、瑞穂がマルスのことをずいぶんかわいがっていることを、うれしく思っている。

 あいにくと、外は小雨の降る天気だったので、テニスは諦め、室内で茶会となった。恵とユリも加わって、楽しい茶会が始まる。

「今日はリョーカがいないんだね」と守が言うと、マルスが、

「リョーカとぼくは一緒に休みは取れないから」と言った。皆、マルスとリョーカがどういう仕事をしているか知っているので、特にマルスも隠そうとはしなかった。

「そうか、大変だね」とだけ守は言った。マルスとリョーカは入れ替えで学校にきたから、そういうことなのだろうと理解したのだ。

 マルスを囲うお茶会が穏やかながら楽しいものだった。マルスとユリは食べたりしなかったが、楽しげに会話に入り、学校での話題やテニスの話などで盛り上がった。

「マルスはまた学校に来ないの?」と恵が聞くと、

「ぼくもリョーカも今の仕事が大事だから、学校へは行かないの。でも、みんなと過ごしたことは忘れたことは無いよ」

 マルスは真剣な表情で続けた。

「ぼくもリョーカもみんなを守りたいの。それがぼくらが作られた理由なのだけど、それだけじゃ無くて、学校で優しくしてくれた、みんなを守りたいの。今はロボットを使えば、簡単にテロを起こせる時代になっちゃったから、ぼくらはそれと戦わないといけない。だからね、今の仕事を続けたいの」

 見た目が自分たちより、年下の子供に言われると、少し衝撃が大きい内容だった。ロボットだからという割り切りも、子供達にはなかなかにはできない。傍らで聞いていたサムも、子供達のその雰囲気は感じ取った。


 難しいなとサムは思う。玲子がマルスの意志を無視して、強行に命じれば、マルスは軍を退役して、玲子のそばにいるだろう。しかし、玲子は相手の意志を尊重し、無視したりはしない。一方、マルスは玲子のために、戦うことを選択するだろう。ましてや学校の友達を守るという気持ちもある以上、その意志は曲げられない。


 サムは子供達にこう告げた。

「まあ、これからはマルスとリョーカの休みを増やすよう努力するよ。みんなと遊べるようにね。軍の体制が整えば、マルスとリョーカが一緒に休める日が来ると思う。それは君たちに約束するよ」とサムは言った。子供達は目を輝かせて

「本当?」と聞き返した。

「私はね、軍のロボット部隊の運用責任者なんだ。そのあたりは融通が利くんだよ。約束するよ。それに、マルスとリョーカにとっても良いことだからね」

 子供達はわいわいと明るい話で盛り上がるようになった。玲子も心なしかうれしそうだ。そうだろう。できれば、玲子の気持ちを楽にしたいとサムは思った。


(ファントム最強のロボット)

 その事実が無くなれば、マルスの軍における存在意義は薄れ、マルスの退役が実現するかも知れない。だが、上原によれば、それが実現するのは数年先のことだという。マルスとリョーカを最強としている要素は、他ならない玲子やルイスに対する依存心だからだ。3号機以降は依存心は弱められ、その分、性能が低下している。マルスとリョーカが最強である事実はしばらくは揺るがない。

「J-9をベースとしているマルスとJ-9の機動性能の差はかなりのものよ。すべては人工脳のポテンシャルの差から来ているの」と上原はサムに説明したことがある。リョーカの性能低下のことを確認したときに聞いたものだ。

「人間への依存心を高めた結果、人間のケアなしには性能を維持できない欠陥が生じた。そのかわり、ケアさえ受ければ飛躍的に性能を向上させる。スミス博士が提唱したポテンシャル理論がこんな形で具現化するとは思わなかったわ。この差を人工脳の性能差で埋めるのは数年を要すると思う」

 上原はマルスとリョーカの特性を欠陥と呼ぶことにためらいは無い。マルスから、その欠陥を感じ取った上原は、可能な限り早く欠陥を取り除くことを試み、3号機からの修正がかなったのだ。

「マルスが性能低下をおこさなかったのは、サム、あなたの扱いが上手だったからよ。確かに玲子の存在は影響していたかも知れないけど、アルトシティ攻防戦で見せた能力は、サムのケアの功績が大きいと思うわ」と上原は説明した。全く、性能低下を見せなかったマルスの行動から、その欠陥に気づく上原もただ者では無いだろう。

「サム、あなたはすごいの。ノーマは他の姉妹に比べて、性能が抜きん出ている。これも、ポテンシャル理論の効果よ。あなただからこそ、いついかなる時もマルスは安定していたのよ」

 敷島の策略で、マルスと玲子が引き離されようとしたとき、マルスはわずかな性能低下を見せただけだった。上原は、著しい性能低下を起こすものと予測していたのだが、予測は覆されたと、後日、サムに打ち明けていた。

「つまり、サムもマルスのマスターとしては最高なのよ」と上原は告げた。しかし、サムはそのとき笑いながら答えた。

「玲子には及ばないと思いますよ」

 今、サムにできることと言えば、リョーカに負担をかけることになるが、その分マルスの休みを増やし、玲子と一緒に過ごさせることである。実際、ラルゴシティの一件が一段落したところで、リョーカとルイスをおいて、マルスとサムは帰還している。ルイスがマスターであるリョーカは、いつでもマスターと一緒であることから、リョーカの負担とはならない。マルスはサムのことをマスターとして認証はしているが、それでも玲子に及ばないのはサムも自覚していた。

(あんな笑顔は、俺にはなかなかみせないもんな)と、玲子や友達に囲まれて笑うマルスを見ながら、サムは思った。

ブルーライトニングの内容を改訂した改訂版を書いてはいますが、とりあえず、第2部も完結させようと思ってます。

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