ブルーライトニング 第2部 第25章
敵ロボットの暴走がラルゴシティの惨劇を生む
マルス プレスト海軍の戦闘用アンドロイド。切り札ともいえる存在
リョーカ プレスト海軍の戦闘用アンドロイド。マルスと同型のアンドロイド
西郷 プレスト海軍第7艦隊の司令官
ブラウン ロンドシティ第3艦隊の司令官
リヨン 連邦大統領。シティ防衛軍を束ねる連邦軍の総司令官でもある。
マルスとリョーカはフライトユニットを切り離し、フライトユニットの攻撃で1機の敵ロボットを牽制しつつ、2機のロボットに襲いかかった。すでにティム以上の実戦経験を積むマルスとリョーカにとっては、敵のロボットは赤子の手をひねるようなものだった。勝敗は一瞬で決し、牽制していた1機もマルスのプロメテウスが撃破した。
「さほど変わらないか・・・」とマルスは感想を漏らした。
「マルス、リョーカ、上出来だ。直ちに帰還しろ」と西郷の指示が飛ぶ。
「了解」
再びフライトユニットを装着したプロメテウスとアトラスは第7艦隊へと帰還する。
「エレクトラ、ラルゴシティ軍事拠点に対し、報復攻撃。巡航ミサイルを発射」
「了解、巡航ミサイル20基発射」
護衛艦隊軍の巡洋艦から巡航ミサイルが次々と発射される。
「エレクトラ、敵攻撃ロボットの攻撃目標の書き換えを実行しろ」
「了解、攻撃目標を書き換えます。命令を上書きした以降、すべての命令を遮断します」
「よし・・・・」
のちに100年前の惨劇の再来と呼ばれた悲劇が幕をあけた。
第3艦隊司令部は、ソプラノシティ攻撃のため発信したロボットがガバメントシティに戻っていくことをキャッチした。
「攻撃を諦めたのですかね」と艦長がブラウン司令に言う。
「そうかもしれん」
当初の攻撃をことごとく潰され、フェニックスも帰還したことから、十分に考えられることだった。
「しかし、警戒は続けろ。フェイントかもしれん」
今ひとつ、釈然としないブラウンであった。
異変はスタッフの報告から始まった。
「敵ロボットがラルゴシティとガバメントの工場施設を破壊してます」
偵察機の映像を確認し、ブラウンは息をのんだ。ティムの攻撃であっさりとやられたロボットであるが、その破壊力は想像を絶する。もし、まともに艦隊が攻撃を受けていたら、無事では済まなかっただろう。
「何故、自分たちを攻撃させる? 自分たちがテロの被害者であるという狂言のためか」
だが、狂言と言うにはあまりにも徹底した破壊ぶりである。やがてシティの居住地区にも破壊の魔の手が及ぶ。おそらく、多くの家庭で一家団欒の時間であったろうが、瞬く間に火の手が上がり、徹底的に破壊されていく。遅ればせながら、ラルゴシティの基地からグリフォンが出撃するが、基地方面を襲った敵ロボットに瞬殺された。敵ロボットは明らかにグリフォンをこえる性能をもっていたのだ。
「シティの行政施設も破壊されています。これでは非常時対応が麻痺しているはずです。司令、救援は?」とスタッフが声を上げる。目の前に繰り広げられる殺戮と破壊を目の前にして、平常でいられるはずがなかった。
そこへ連邦軍司令部から通信が入った。
「第3艦隊と第7艦隊の司令部に確認したい。現在、ラルゴシティに発生しているロボットの暴走に対し、ロボットの無力化は可能か?」
最高指揮官としての地位にあるリヨン大統領だった。
「第7艦隊には介入の準備があります。ご命令があれば、敵ロボットを制圧します」と、西郷の冷静な声がブラウンにも聞こえた。その声色で、ブラウンは西郷の意図を理解した。
「第3艦隊も介入の準備があります。総司令部のご命令をどうぞ」
「では、第3艦隊と第7艦隊に命じる。速やかに暴走したロボットを制圧せよ」
「了解しました」
「ブラウン司令、第7艦隊のほうが駆けつけるのが早いと思います。居住地域と行政区域で暴れるロボットは最優先で第7艦隊が対処します。残り、基地と工場施設で暴れるロボットをお願いしてよろしいか」と冷静な西郷の意見に、ブラウンはそれが最適であろうと判断した。
「いいでしょう。そのように対処します」
「では、よろしくお願いする」とリヨンの通信が切れた。




