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第20章

「ありがとう、玲子」

「私もメアリといっぱい話ができて、楽しかったわ」

 メアリが顔を寄せてきたので、玲子は身をかがめると、メアリは玲子の頬にキスをした。玲子もお返しにキスをする。メアリはマルスとトリオにもキスをして、「おやすみなさい」といって、メアリはエイミーの手を引いて部屋を出て行った。

 玲子はマルスとトリオを両手で抱きしめると、

「今度はマルスとトリオの番だよ」と言った。マルスとトリオはしばらく玲子のぬくもりを確かめるように、玲子の腕の中でじっとしていた。マルスがぽつっと、

「メアリ、元気になるかな?」と言うと、

「なると思うよ。メアリには優しい家族がいるもの。それはメアリもわかってるから」

 玲子はマルスとトリオを離すと、

「私にもね、マルスやトリオ、伯父さんや小母さんやロビーがいるから、元気になれるの。だから、感謝してる。今日も私に付き合ってくれて、ありがとう」

「ぼくはお姉ちゃんが大好きだよ。そばにいられるだけ、ぼくはうれしいの」とマルスが言うと、トリオも、「ぼくもだよ」と言った。

「じゃあ、寝ようか」と玲子が言うと、マルスとトリオはベッドの上に上がった。ただ、寝る位置が決まらず、しばらくの間、わちゃわちゃとやり合うことになった。結局、マルスを中心に、玲子とトリオが端に寝ることになった。トリオはどちらかというとお兄ちゃん子なので、こういうことになったのだ。

「3人一緒に寝るって、新鮮な気分ね」と玲子が言った。

「家のベッドも大きいといいのにね」とマルスが言うと、

「部屋が小さいもの。大きいベッドは入らないから」

 玲子はマルスとトリオの頬に順番にキスをした。マルスとトリオも順番に玲子にキスをすると、お互いキスをする。トリオはキャッといって、マルスに抱きつき、そのまま押し倒して横になった。

「お休み」と玲子は言うとリモコンで照明を暗くし、自分も横になった。マルスが玲子のそばに寄ってきて「おやすみなさい」といって、動かなくなった。

「幸せなんだろうな・・・ 私」

 時々、マルスを失うことを考えて、どうにも胸が苦しくなることもあるが、いま、こうしていることが幸せに感じる。トリオが来てからというもの、マルスがいない夜にロビーがそばにいてくれることもなくなった。ロビーはそれでいいのだと言う。トリオは上原をマスターとしているとはいえ、玲子にずいぶんとなついているのも,

ありがたかった。

 玲子はマルスを撫で、手を伸ばしてトリオも撫でた。トリオはマルスがいないときは玲子になついているが、マルスがいるときはマルスになついていた。お兄ちゃん子なのだといえばそれまでだが、おそらく上原がトリオに命じて、マルスが存分に玲子に甘えられるようにしているのだろう。玲子にとって、二人とも大切な弟である。玲子は小さなあくびをすると、目を閉じた。



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