がおー
「がおー」
という鳴き声が突如、海岸の村中に
響きわたった。
しかし怪物のようなドス黒いゴロゴロとした
物ではなく、小動物のような優しくて
愛くるしい声だ。
早朝であったため、
村の者の多くがこの声を聞いている。
そのため老若男女問わず、村の多くの者達は
自分のしていた事を中断して、声の主を
キョロキョロと探す。
空から地面から、山の方まで。
そして五分ほどが経過し、
大抵の者が声の主を探し、
結局たどり着いた場所は巨大な麦畑だった。
麦畑は村人だらけでぎゅうぎゅうに
なり、声の主を探すために歩きまわった
結果、麦はもうぐしゃぐしゃになっていた。
そんな中。
「……見ろ! 怪物だ! に、逃げろ!」
一人の少年が叫んで、全力で走り出す。
だが……。他の村人たちの判断は遅かった。
結局、声の主を探し、姿をとらえ、
この村で唯一生き延びたのは、
最初に走り出した『少年』のみになる。
他の村人は……。
麦と共に焼けてしまったらしい。
……
…………
………………
「可愛い鳴き声が聴こえて、
それで、それで
声のする方を見たら海の方に
怪物がいて……それで……」
どうやら逃げ切った少年の証言によると、
突如、村に可愛らしい声と容姿を持った
巨大な怪物が現れ、村の人を全員焼きつく
してしまったということだ。
そして、存在していた場所は海だと。
泣きながら語る少年の背中を、
穏やかな顔でさする取り調べ係。
彼は手帳につらつらと証言を書き留める。
「わかった、教えてくれてありがとう。
……辛かったろう、でも大丈夫だ。
国を挙げて怪物を倒してやるからな」
……そこから一日後のことだ。
国が派遣した部隊達は、
既に怪物のもとへ到達していた。
部隊は一万人ほど。
全員銃を持っていて、
戦闘機が数台構えていた。
海にいる巨大怪物は
それらを見下ろす。
口にすーっと息を深く吸い込むと
「がおー」とゆるゆるとした鳴き声を
吐き出した。
「……やつは炎を出すぞ!
早い所やってしまおう!
ひるむな、総員かかれ!!」
隊長らしき人が無線で伝達すると、
すぐさま部隊全体が銃を構える。
戦闘機は飛び立ち、怪物に近づく。
戦闘機が怪物を爆撃したと同時に、
陸上部隊も発砲を開始。
ドドドド、ババババと凄まじい轟音と
銃撃が怪物に襲いかかった。
「がおー」
しかし、大量の銃弾を浴びても
弾が全て跳ね返ってしまう。
それでも諦めず部隊は銃撃。
それをどこか調子の抜けた表情で、
怪物は首を傾げる。
「き、効かないだと!!?」「嘘……」
「弾切れです……!」「撃て撃て!」
「おい、どうすんだよあれ!」
部隊はパニックになりつつあった。
逃げ出す者もいた。
「がおー」
だが、それらを含めた全ての部隊が
怪物の放った炎で再び焼き焦がされて
しまったのだ。
それから再び1日後。
「これはもう国際的な問題です……!
日本だけの問題ではない。
我が国も協力しましょう」
「我々の国も協力します!
最高峰の技術をもって作られた、
『我が国最強の核兵器』で向かいましょう」
「私たちの国も協力する……!
『世界最大規模の爆発を起こすとされている核兵器』を使う日がきましたね……」
「俺たちの国も協力するぞ……!
『威力が世界最大と言われている
核ミサイル』で対処しよう」
海外からの声が上がり、すぐさま
各国が怪物のもとへ集まり、
それぞれが自慢の核兵器を怪物に
撃ち込んだ。
「がおー」
世界最高峰の核兵器は
凄まじい爆発を起こし、怪物の姿は
煙に隠れて見えなくなった。
……
…………
………………
それから三ヶ月。地球上から人類の
声が止んだ。
怪物が全て焼きつくしてしまったせいか、
それとも核兵器を使いすぎたか……。
なぜ人類が滅んだのか知る者はいない。
ただ地球上には、鳴き声だけが
悲しく響く。
「がおー」
読んでくださりありがとうございます!
今回は何も考えずに「がおー」という題名から
徐々に内容を作っていきました。
オチが急にきてしまったのはそのせいです笑
後、どうでもいいですけどルビふるのしんどい
ツイッター@chiba_nigo