警察
この短編集で最初に投稿した話です
俺の職業は警察官。
まだ、不慣れなところはあるが、こうして夜間の
パトロールに同行させて頂ける事を誇りに
思う。
今夜のパトロールは、増田さんがパトカーの運転を担当してくださった。
乗った瞬間から周囲に目を光らせ、差し入れであるアンパンを徐々に口へと運ぶ。
控えめでなめらかなこしあんが、集中力と忍耐力を
高めてくれた。
口でパンを柔らかく噛み、目では注意深く観察し、
耳では増田さんの言葉を聞き続け、
そんな作業に近い時間がしばらく続き、
今日のパトロールが終わろうとした時のことだ。
「ん……? あの人怪しくないか」
増田さんがそういうと、俺たちの乗っていた
パトカーが急停車し、ベルトを外して降りるように
指示された。
外に出た時、ようやく増田さんの言っている人の
正体がわかる。
「あれは……いくらなんでも怪しすぎませんか?」
思わず俺の口から、心の声が漏れ出した。
かといって慌てる事もなく、ただ今の言葉に
対する増田さんの反応をまっている状態だ。
そりゃ、あんな人見たら怪しまない人はいない
だろう。
背中にはパンパンに膨らんだ緑の風呂敷、
顔の下部は少々汚い紺のバンダナ、
泥棒か……? そんな考えが頭をよぎる。
それと同時にコスプレの可能性も考えたが
今は夜の十一時だ。
どちにろ怪しい。
俺と増田さんがコクリと頷きあうと、そのまま
泥棒風の男の元へと歩き出す。
これまで、怪しい人とあまり接してこなかったもの
だから、俺の緊張感はとてつもなかった。
「君ぃ、こんな時間に何してるの?」
「なんだ、てめえは?」
そうこうしているうちに、増田さんは泥棒風の男と
話を始めている。
増田さんの誠実でブレない態度に対して、
男は今にも刃物を出してしまいそうな口調で
威嚇をしていた。
その対比が余計に俺を緊張へと誘う。
俺はただ、二人の様子を見つめている
しかなかった。
自分が警察官だということも忘れて。
「とりあえず君、署まで来てもらおうか」
「あ? ふざけんなよてめぇ」
泥棒風の男はさっと右手にサバイバルナイフを
持つと、少し離れた所から増田さんに刃先を向ける。
「おめえ殺すぞ?」
「ぎゃーー!? 刃物!? 増田さん気をつけて
くださいぃ!! 」
俺は突如、緊張感の中に見せられた刃物で、
一気にパニック状態に陥ってしまった。
「ふん、心配無用だ。
こっちだって、銃は持っているからな。
悪いが銃刀法違反で取り締まる必要がありそうだ。」
そういうと、増田さんは銃先を男に向ける。
刃先の先には銃先。そしてその先には人。
銃、刃物、緊張。
その三つが俺を本当にどうかさせてしまった。
「ま、まま、ま増田さんの銃……!!
そしては、はっ、は刃物……!!!」
更に俺は続ける。
「銃……! 刃物……!!
だ、誰か警察を
呼んでくれぇええー!!」
警察が警察を呼んでしまう展開が好き