中二病は治るのか?
最近の趣味は小説を読むことです
「今日はどうされました?」
白衣に身を包み、そう問いかけている男性は医者。
それに対し両手に黒い包帯を巻き、右目には黒い眼帯を付けた高校生の男の子がいる。彼は患者だ。
「今日……か。今日だけに限らず最近ずっとそうなのだが、どうも治し方がわからない心の病があってな……」
「えっと、具体的に症状はどういった感じですかね……?」
「俺を見てわかるだろう。見た通りの症状だ」
「症状がわからないから聞いてるんですが……。うーん見た目の通り行くと、眼科か整形外科にかかるような病気に見えますね」
「違う、さっきも言ったはずだ。 これは心の病であり身体的損傷は一切無い。見た目通りにいけばなんの病かわかるだろう。
……ったく俺に説明させるな」
「いやいやいや! こちらも先程言ったように何の症状かわからないんですけど……。
それに説明されなければ、こちらは何も対応することはできませんし……」
「くっ……仕方ないな。 俺だって説明するのは恥ずかしいんだ……」
「いや言っておきますけど、医者にかかる時はきちんと症状を説明してください。症状の事を一番良く知っているののは患者自身なんです。患者が説明できなければこちらもむやみに動けませんから……。速く正確な診察をするためには患者の説明が不可欠なんです。次からは気をつけてくださいよ」
「わかった……」
「で、症状はどうなんですか?」
「いや、その、えっと、な…………。
説明すると長くなるのだが……」
「いえ、大丈夫ですよ。症状に関する情報は多いほどこちら側も助かるので」
…
「そうか、すまないな………。では、いくぞ。
あれは今から3000年前の話。前世の俺の魂は闇によって葬られ……」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「なんだ?」
「あの、前世の話ではなく今の症状について具体的に説明していただきたいです……」
「説明が多い方が良いのではなかったか?
頑張って遥か昔まで記憶を遡ったのだが……」
「いや、気持ちは嬉しいですよ。
でも、できれば僕が生きている間の事が知りたいですね。発症した日や具体的な症状について説明していただけると……」
「わかった。 あれは今から一年前のこと。
俺は、体にかつて闇に葬られた悲劇の魂が入っていることに気がつき、それを信じてここまで生きてきた。だが最近、それは嘘であるかもしれないと薄々感じているのだ。
しかし、嘘であるとわかっていても俺は嘘を信じて行動をしてしまう……。先生なんとかなりませんかね?」
「はー……なるほど……。
ちなみに他に症状はありませんか?」
「他には、やる必要がないとわかっていても、わざわざ格好つけて色々やってしまう事があるな」
「と、言いますと?」
「ブラックコーヒーをわざわざ飲んでみたり、暗い話ばかり好んで見てしまったり、孤独な自分がかっこよく思えたり、敢えて難しい漢字を使って見たくなったり……、それに見てわかる通りこの腕の包帯と、眼帯……。
周りからは到底認められない事をしているとは思うのだが、辞められなくてな」
「なるほど……。 その話を聞いてようやく病名がわかりましたよ」
「本当か?」
「恐らくですがそれは『中二病』です。
邪気眼型とサブカル型の中二病でしょう」
「中二病か、聞いたことはあるな。
……ちなみにだが中二病は治るのか?」
「一応、医学上の病気ではありませんので治療法は明確になっていません。大体の人は自然に治っていくものなので治療の必要はないかと思います。そして自覚症状があるなら尚更必要ありません。しかし、周囲から浮いてしまったりだとか、あるいは日常生活に支障をきたしていると感じている場合は、一緒に治療していくこともできますがどうしますか?」
「うーむ、俺は治したいな……」
「わかりました。では、治療にうつりましょうか」
「ありがたい事だ……、しかし先生、一体どうやって治療するんだ…………?」
「薬も使えませんし、かといって手術をすることもできませんから、すぐに治療するならあの方法を使うしかありませんね……」
「あの方法……?」
「ええ…………、古来より伝わりし伝説の力
精霊の被傷治癒を使ってね!」
「え…………………?
あ、お、おう……」
「え、あっ…………」
「あ、あはは…………」
「いや、その……はは……」
「…………」
「………………」
「は、ははっ……」
「あはは……はは……」
「あ、な、なんか治った気がします……。
ありがとうございました。
先生もお大事に……」
微妙な空気になることってありますよね……。
ちなみに久しぶりの投稿なので描写力は落ちていますが、これからも執筆を重ね、描写力と構成力の向上を目指していくのでどうかよろしくお願いします!